厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第26回:ジャスティンボルト

 はや2歳GIが開催する時期を迎えるが、これからデビューする面々のなかにも注目の逸材たちがいる。

 栗東トレセンの友道康夫厩舎に所属するジャスティンボルト(牡2歳/父キタサンブラック)も、その1頭である。


周囲の期待も大きい良血ジャスティンボルト

 血統は間違いなく一級品と言える。母はアルゼンチンのGIを制しているマラコスタムブラダ。繁殖牝馬として来日してからも、優秀な子どもたちを次々に送り出しているのだ。

 なかでも、代表的な一頭と言えるのが、2017年生まれのレシステンシア(牝5歳/父ダイワメジャー)。同馬は、2019年10月にデビュー。新馬、GIIIファンタジーS(京都・芝1400m)と立て続けに勝利すると、その勢いのままGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)も勝って、デビュー3連勝を飾った。

 その阪神JFでは、後続に5馬身差をつける完勝劇を披露。2歳女王の座に就くとともに、3歳クラシックの主役へと躍り出た。

 結局、同クラシックではのちに牝馬三冠を達成するデアリングタクトに主役の座を奪われてしまうが、GI桜花賞(阪神・芝1600m)で2着。距離適性を重視して向かったGI NHKマイルC(東京・芝1600m)でも、牡馬相手に2着と好走した。

 古馬になってからも、短距離、マイルの重賞戦線で活躍。GIタイトルにはなかなか手が届かないものの、4歳時にはGI高松宮記念(中京・芝1200m)、GIスプリンターズS(中山・芝1200m)と、スプリントの春秋GIでいずれも2着という結果を残した。

 さらに、海外GIの香港スプリント(香港・芝1200m)でも2着と健闘。5歳となった今年も、GIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で3着となって底力を示している。

 レシステンシアの他にも、2018年生まれのグラティアスがGIII京成杯(中山・芝2000m)を制覇。重賞馬となって、現在もオープンクラスで奮闘している。

 そんな兄姉の活躍もあって、セレクトセールで1億9000万円(税別)という高値で取引されたジャスティンボルト。現在はデビューに向けて調整を進めているが、厩舎スタッフからは前向きなコメントが聞かれるという。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「ジャスティンボルトについてスタッフの評価は高く、乗った人たちが口々に『乗り味がよく、フットワークもすばらしい』と好感触をつかんでいるそうです。本格的な追い切りはまだ2本しか消化していませんが、『併せた相手にしっかりと食らいついて、いい動きを見せている。素質がありそう』と、スタッフは笑みをこぼしていました」

 馬体のサイズはかなり大きいようだが、それも決してマイナスの要素にはなっていないという。トラックマンが続ける。

「馬体重は540kgほどありますが、スタッフは『順調に絞れており、いい形になってきた』と話していました。体が分厚いというより、体全体のフレームや骨格が大きいようです。大型な分、器用さは欠けるかもしれませんが、『広々としたコースで、距離も長いほうがいい』という見立てで、陣営としては大舞台での飛躍を見込んでいるようでした」

 デビュー戦の予定は、12月4日の2歳新馬(中京・芝2000m)。鞍上は、世界的名手のライアン・ムーア騎手が務めるという。

 周囲がその活躍に期待を膨らませているジャスティンボルト。初陣でどんな走りを見せるのか、必見である。