サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー〜

Question 
右サイドから攻め込んだスタッド・ランスは、このあとどのように崩したか

 リーグ・アン第15節、日本代表・伊東純也所属のスタッド・ランスがアウェーでモンペリエと戦い、1−1のドローとなった。スタッド・ランスは直近のリーグ戦で2勝5分と7試合連続で無敗を記録し、11位で中断期間に入った。

 右サイドハーフで先発した伊東は序盤から積極的に攻撃で見せ場を作り、32分に伊東の突破から決定機が訪れるも得点ならず。0−0で前半を折り返した。

 後半に入ってオープンな展開になるもスコアはなかなか動かなかったが、終盤の42分、スタッド・ランスがマーシャル・ミュネツイの得点で均衡を破る。しかし、アディショナルタイム1分にモンペリエに追いつかれ、1−1のドローとなった。

 今回はスタッド・ランスの先制点のシーンを取り上げる。

 後半42分、右サイドに開いたミッチェル・ファン・ベルゲンがボールをもらうと、後方からトーマス・フォケがオーバーラップを仕掛ける。


右サイドで受けたファン・ベルゲンに対し、フォケがオーバーラップ。このあとスタッド・ランスはどう崩したか

 次の場面で、スタッド・ランスはどのようにして崩しただろうか、というのがQuestionである。

Answer 
中央の伊東がもらいに動きワンツー。抜け出してクロスからゴール

 右サイドでの数的同数の局面だったところを、伊東のタイミングのいいサポートによって打開した場面である。


伊東純也が寄ってきてファン・ベルゲンとワンツー。クロスからゴールが生まれた

 ライン際のファン・ベルゲンにボールが渡った時、フォケがオーバーラップを仕掛けた。モンペリエ側はこれにフェトゥ・マウアサが対応。しかし、左センターバック(CB)のニコラ・コザは伊東が中にいるため、サイドへスライドしてのカバーができなかった。

 モンペリヘは中盤のレオ・ルロワが戻ってサイドを数的同数にしたが、ルロワがそこからファン・ベルゲンの対応に向かったことで、中のスペースが空いた。ここがポイントとなった。

 次の瞬間、中央の伊東がルロワの空けたスペースに動くと、ファン・ベルゲンがすかさずボールを預け、縦に抜け出していく。ここで伊東のマークについていたコザが釣り出されると、ポケット(※ゴールライン近くの、ペナルティーエリアとゴールエリアの間付近のスペース)に大きくギャップが生まれる。

 そのポケットに走り込んだファン・ベルゲンは、伊東のワンタッチの折り返しを受けて鮮やかに抜け出し、最後はクロスをミュネツイが合わせて先制点となった。

 伊東がCBを引きつけてスペースを作る動きからのワンツーが起点となり、お手本のように崩したシーンだった。

 カタールW杯前最後のリーグ戦でも、スタッド・ランスの攻撃を牽引した伊東。その好調さを、まもなく迎える初戦のドイツ相手にも発揮してくれることを期待したい。