【REPORT】K-POPの未来を担うのは誰? 日本進出を目指す気鋭のアーティストが集結したイベント『KOREA SPOTLIGHT』

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K-POPアーティストを海外の音楽マーケットに向けて紹介するショーケース『KOREA SPOTLIGHT』が11月9日、東京・渋谷のSpotify O-EASTで開かれた。

このイベントは韓国の国家行政機関である文化体育観光部の主催により世界各地で行われてきたが、日本では初めてとなる。今まで多くのスターを国際的な成功に導いてきた同公演への注目度は高く、1300人を収容できる会場は熱狂的なK-POPファンで埋めつくされた。

オープニングを飾ったのは、女性5人組のPIXY(ピクシー)。2021年2月にデビューしたニューフェイスで、グループ名はイングランドの神話に出てくる妖精を意味する。ステージに現れた彼女たちは、まずは名刺代わりにと「Villain」を披露した。この曲は最新ミニアルバム『REBORN』のリードトラック。エッジの利いたディスコサウンドとウィスパー系のボーカルが印象的だ。

続く「Bewitched」をはじめ、「Moonlight」や「翼(Wings)」といったナンバーでは、セールスポイントとなるファンタジー要素の強いダークな世界観をしっかりアピール。そうかと思えば、ラストの「安否(Greetings)」ではアコースティックギターの穏やかな演奏をバックに伸びやかな声を響かせるなど、短時間にもかかわらずグループの個性を余すところなく伝えてくれた。

TWICEに代表されるような多国籍グループは、K-POPの海外進出の拡大にともなって増えているが、次に出演したBEAUTYBOXもそのなかの一組。韓国、日本、タイ、ベトナムからやってきた女性6人(注:今回のイベントはベトナム人メンバーのアンが不参加)で構成されている。

きらびやかなダンスポップ「ぐつぐつ(Boggle Boggle)」で颯爽と登場したメンバーたちは、キュートなパフォーマンスを展開。瞬時にして客席を虜にした後も、「PLZ PLZ PLZ」や「関心事」といったフレッシュなナンバーを連発。なかでも今回のイベントのために日本語で歌った「ありがとう」や、チアリーディング的な要素を盛り込んだデビュー曲「RAT A TAT」などを聴いて、彼女たちならではの魅力に気付いた人も多かったに違いない。

韓国はオーディション番組出身の人気アーティストが他の国よりも多い。3番目に出演したLIM KIMは、2011年にMnetの番組『スーパースター K3』で3位になったのを機にプロの道へ。以降はソフト&メロウな楽曲を次々とヒットさせている。

しかしながら現状に満足できなかった彼女は、2019年に従来のスタイルを捨てて再出発。エキセントリックなボーカルと前衛的なシンセポップを武器にオンリーワンの道を歩んでいく。今回の舞台では中近東の香りが漂う「Yellow」やクールなエレクトロニカ「FALLING」など計6曲を通して、K-POPの枠に収まりきらない強烈なキャラクターを十分に示すことができたと思う。

ここまで女性ばかりがクローズアップされてきたが、4番目としてステージに立ったのは男性4人からなるバンド・W24(World 24 hours)だ。韓国では特定のジャンルに縛られないロックを“モダンロック”と呼ぶが、彼らはその代表格。軽やかなギターカッティング、華やかなシンセの音色、タイトなドラミング、清潔感のあるボーカルを組み合わせたサウンドは、本国のみならず、ラテンアメリカやヨーロッパ、アメリカなどの地域でも愛されているという。

今回演奏したのは、人気曲「息(Breath)」の日本語バージョンを手始めに、「僕が君の慰めになる(Under The Tree)」や「無数に(Everything Is Fine)」といったライブ映え抜群のオリジナルナンバーや、星野源の大ヒット曲「恋」のカバーなど計7曲。どの曲も親しみやすく、国境を越えて幅広い世代に支持されそうだ。特に南米育ちのボーカリスト、チョン・ホウォンの誠実な性格がにじみ出た真っすぐなボーカルは日本でも受けるのではないだろうか。