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国内の宗教研究者有志の25人が、国に対して世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する適切な対応を要望する声明を出した(10月24日付)。

東京大の島薗進名誉教授と北海道大の櫻井義秀教授が10月28日、都内で会見。統一教会問題は長期にわたって被害が続き、違法性を認めた裁判が既に多数ある特異な団体だとし、研究の蓄積や判例に基づいて、実態を整理すべきだと訴えた。

声明には迅速な動きを求める文言があるものの、会見では政治の性急な動きにたいして慎重な意見が目立った。質問権の基準を決める専門家会議が非公開であることなどを挙げ、宗教法人法に基づく法的手続きは「適切に、公正に、透明性を持って」と注文した。

●研究者として見解示す責任ある

櫻井氏によると、25人は国内の宗教研究関連の大学はほぼ網羅しているという。宗教学者が連名でこうした声明を出すことは異例で、島薗氏は「日本宗教学会が2018年のゲノム編集の子どもの誕生について」の共同声明を出して以来だとする。

島薗氏は、安倍元首相の銃撃事件以降、宗教に注目が集まり、国民もメディアもどう捉えればいいか戸惑いが広がっていると説明。このタイミングで発出したのは「解散請求が視野に入ってきており、どういう対処が好ましいのか検討するには、社会に対して研究者として見解を表明する責任がある」と判断したからだという。

●解散命令請求は「視野に」

声明では、正体を隠した勧誘は「信教の自由」を侵害し、家計を逼迫させ破産に追いこむほどの献金要請は公共の福祉に反すると指摘。「人権侵害に対して教団としての責任を認めてこなかったことは許容できない」とし、行政に「迅速かつ適切な遂行」を求めている。

具体的には、以下の4点を盛り込んだ。

▽宗教法人法の報告・質問権を速やかに行使して事態を把握すること
▽確定した裁判の判決、宗教家や法律家への専門的な調査などをもとに、宗教法人審議会における公正な検討
▽法令遵守に違反し公共の福祉を害するものがあれば、裁判所への解散命令請求も視野に入れること
▽霊感商法や高額献金被害者の救済と2世信者への支援