元カノと3年交際後、わずか半年で今の彼女と結婚した男。2人の女には“ある決定的な差“があって…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか？
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「結婚願望がなかったはずの元彼が次の相手とすぐに結婚した理由は？」という質問。さて、その答えとは？
― この子と結婚したい。
今の妻である里帆に出会った時、自然にそう思えた自分がいた。
まさか自分が結婚するなんて思ってもいなかったけれど、いざ入籍と結婚式を終えると、ようやく実感が湧いてきた。
出会って半年で入籍、というスピード婚だったけれど、結婚して幸せだと感じている。
しかしここまでトントン拍子に進んだことに一番驚いたのは自分だった。なぜなら、僕が里帆と交際する前に3年ほど交際していた彼女がいたからだった。
彼女の名前は、遥という。遥はとてもいい子だったし悪いところは特になかったように思う。
でも遥と交際している間、結婚したいなんて思ったことは一度もなかった。
今の妻である里帆と、長年交際した遥…。
二人ともいい子であることに違いはないけれど、そこには結婚を決めきれなかった理由と、一方で即決したワケがあった。
A1：ちゃんと方向性を擦り合わせておくべきだった。
遥と出会ったのは、5年くらい前だったと思う。食事会で一緒になり、可愛いけれど少し大人しそうな子だな、という印象だった。
しかし実際に話してみるとよく笑ってくれる子で、興味を持った。だから食事会の後に僕から連絡をし、その結果よく遊ぶ仲になった。
ただその当時彼女はいなかったものの、適当に遊ぶ相手は何人かいた。正直に言うと、最初は遥もそのうちの一人でしかなかった。
しかし何度かデートを繰り返しているうちに、頻繁に会うようになっていく。
「遥と一緒にいると、なんか落ち着くんだよね」
そうは言ったけれど、最初はデーティングだった。でも遥のほうはそう思っていなかったらしい。
「啓太、私たちの関係って何？付き合っているってことでいいの？」
デートを開始して3ヶ月。頻繁にこう聞いてくる遥が若干面倒だなと思ったけれど、関係性をバッサリ切る気もなかった。なぜなら一緒にいると楽しいし、諸々の相性も良かったから。
でもこれくらいの適度な距離が、最高だと思っていた。
海外だとオフィシャルな関係になる前に、お試し交際の“デーティング”期間がある。
デーティングは非常に効率的で、いろいろな人を見ることができる。比較相手がたくさんあるからこそベストなパートナーを選べるという、理にかなっている期間だ。
だから僕は、曖昧なこの関係性をしばらく保ちたかった。
「まぁそんな感じ？でもそもそも、そういう何かのカタチに落とし込む必要なくない？」
「でも…こんなに毎週末会っているのに、彼氏彼女じゃないっていうの？」
「“付き合って”という言葉って、必要なの？いらなくない？」
しかし半年で遥が痺れを切らし始めた。結局、遥かの根気強さに負け、僕はオフィシャルに交際することを決意する。
ただデートを繰り返して半年にもなるし、言葉にしなくてもわかっていると思っていたけれど、遥的にはやっぱり言葉が欲しかったらしい。
同期のホムパに遥を連れて行った際に、同期が何気なく尋ねてきたので、僕は素直にこう答えた。
「遥ちゃん、初めまして。啓太の彼女さん？」
「うん。彼女だよ」
後々聞くと、この言葉があってようやく「ホッとした」と遥は言っていた。ただこの言葉の真意を、僕は後で気がつくことになる。
僕には結婚願望がないことを伝えた上での交際スタートだった。
A2：過去のデーティング期間のことを言われても、知らない。
遥は性格も穏やかで、僕は彼女のことが好きだった。ちゃんと大切にもしていた。もちろん遥と正式に交際がスタートしてからは、浮気なんてして一切していない。
女性のいる場に行ったことはあるけれど、それ以上進むことはなかったし、散々遊び尽くしたからこそ、今更火遊びをしようなんてまったく思わなかった。
でも遥は自分に自信がないのか、どうも信用できなかったらしい。
交際1年目くらいで箱根へ行った際に、遥が慎重な面持ちで僕に問いかけてきた。
「啓太。疑いたくないんだけど、周りからすごく啓太の噂を聞くの。女の子と遊んでいたとか、そういう類の話」
― 何それ？
死ぬほど、どうでもいいと思った。しかも聞けば、昔の話でもある。
「それ、いつのこと？」
「友達曰く、1年くらい前とは言っていたけど。でもその時、もう私たち出会っていたよね？デートもずっとしていたよね？」
「そんな過去のこと言われてもな…。今ちゃんとしているから、いいじゃん」
過去のことを掘り返されても、どうしようもない。でも遥は納得のいかない様子で、まだネチネチと言ってくる。
「そうだけど…。でも、こういう話を聞くのはもう嫌なの」
「わかったよ。気をつけるから」
― 気をつけるって、何を？
自分で言いながら、少し笑いそうになってしまう。過去の女関係を…しかもデーティング期間に遊んでいたことを怒られても、防ぎようもない。
でも遥は、交際期間中ずっとこんな感じだった。
勝手に卑屈になって、変えられない過去のことを引きずっている。
― なんだか面倒だな。
そう思い始めてきた。
当然のことながら、こんなタイミングで結婚なんて考えられるわけがない。
「啓太、結婚はいつするの？」
「何度も言うけど、ごめん。俺結婚願望がないんだよね。あんなのただの紙切れ上の契約でしかないし」
「私のこと、好きじゃないの？」
「それとこれとは話が別だよ。遥のことは好きだけど、結婚という制度に縛られるのが嫌なだけで」
遥のことは好きだ。でも結婚となると一生のことだし、人生が変わる。
長過ぎた春も良くなかったと思う。でも僕は遥と一緒にいる時に、一度も結婚を意識したことがなかった。
遥のような一途だけれども、その分過去を気にしてイジイジするような子は、僕にとっては曖昧な関係が一番心地よかったのかもしれない。
その一方で、今の妻は自分からグイグイ来た。そして底抜けに明るくて、陽気だった。一緒にいると自然に上へ上へと引っ張られる感じがしたし、流れと勢いに任せてそのまま結婚してもいいかなと思えたのだ。
男は変えられないことや過去のことをぐちぐち言われると、かなり冷める。また勝手に不安になって自爆するような子は苦手だと思う。
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