埼玉らしさ全開!? ふかや花園プレミアム・アウトレットと交通 なんかスゴイ列車きた!
首都圏では10年ぶりとなる大型モール「ふかや花園プレミアム・アウトレット」がまもなく開業。秩父鉄道の直結駅もある同モールは、店内だけでなく交通もある意味“埼玉らしさ”が溢れています。
テレビCMから“埼玉らしさ”全面に
埼玉県深谷市に2022年10月20日、「ふかや花園プレミアム・アウトレット」が開業します。それに先立ち17日に報道陣向け内覧会が行われました。
ふかや花園プレミアム・アウトレット(中島洋平撮影)。
首都圏では約10年ぶりという大型アウトレットモールの新規出店です。場所は関越道の花園ICから約1.5km。秩父鉄道の新駅「ふかや花園」に直結しています。コロナ禍以降、観光地が軒並み打撃を受ける中、近場のレジャー先としてアウトレットの人気が高まっている傾向があったことから、交通面でも期待が寄せられています。
ハイエンドブランドを中心に137店舗が出店、うち41店舗はフード系で、地元グルメもふんだんに取り入れられています。また、地元企業である赤城乳業とコラボした日本初のアトラクション「あそぼ!ガリガリ君」があるほか、深谷市が整備した公園「深谷テラスパーク」、キューピーが手がける「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」も隣接するなど、官民一体となって整備されたテーマパークのような側面があります。
その“地元推し”な雰囲気はアウトレットの施設全体から感じられます。プレミアム・アウトレットといえば、非日常の演出としての“外国風の町並み”が特徴でしたが、ここでは深谷の特産であるレンガをイメージした外壁や、木材が建屋に多く使われ、外国風は鳴りを潜めています。
ふかや花園駅前のバスロータリーには、ねぎ畑と大きな「ふっかちゃん」の看板が。そもそもアウトレットのテレビCMからして、思い思いの服を来た人たちが鉄塔の立つねぎ畑の中を練り歩くなど、ある意味“埼玉”を感じさせる風景をあえて映しているほどです。
このふかや花園駅には、秩父鉄道のSL「パレオエクスプレス」も停車します。人で賑わうアウトレットモールの脇をSLが駆け抜けるというのも珍しいですが、実は珍しい列車は他にも。
駅前の踏切が閉まり、「あれ、通過が遅いな」と思ったら、そこへやってきたのは、秩父からの黄色い電気機関車に牽かれた長大な石灰石運搬列車でした。これも“埼玉らしい”風景のひとつでしょう。
交通にも大きな影響を与えるアウトレット
「開業に際し、秩父鉄道さんにも大幅に増便してもらいました。高速バスについては、様々なバス事業者と増便や新規路線の交渉にあたります。鉄道利用、バス利用は引き続き促進していきます」
こう話すのは、ふかや花園プレミアム・アウトレット支配人の相本泰裕さん。開業に際し、秩父鉄道は熊谷〜寄居間で平日60本、土休日58本だった列車本数を、それぞれ92本、94本まで大増発するダイヤ改正を行いました。さらに多客期には臨時列車も運行されます。
アウトレットを含む一帯の集客は、年間650万人とする深谷市の試算もあります。それだけでなく、相本さんによると従業員数だけでも2000人を数えるとか。ふかや花園駅員に聞いたところ、アウトレット開業前から従業員教育などで通勤利用する人が多いということでした。
高速バスについては、東京駅・バスタ新宿発着の便が1往復(ジェイアールバス関東)、大宮駅・川越駅からの直行便が1往復(広栄交通バス)。ほかJR高崎線の深谷駅、東武東上線の森林公園駅から路線バスがあります。
アウトレット側は、公共交通機関での来場のほか、クルマ利用に向けても“オフピーク時間帯の出場”に様々な特典を用意し、周辺混雑を緩和させる構えです。これらバス路線は今後も増便の可能性があります。
秩父鉄道のふかや花園駅。秩父鉄道は2022年3月にPASMOを導入したばかり(中島洋平撮影)。
これまでプレミアム・アウトレットは、地域の交通に大きな変化をもたらしています。御殿場プレミアム・アウトレットは多くの高速バスが発着し、富士山周辺観光におけるひとつの拠点になっているほか。深谷に近い栃木県の佐野プレミアム・アウトレットは、隣接する佐野新都市バスターミナルに発着する高速バス路線が成長し、「東京への高速バス通勤」が地域に定着しました。
アウトレットを展開する三菱地所・サイモンの山岸正紀社長は、「まだ船出したばかりですが」と前置きしつつ、「アウトレットを地域のハブ(拠点)にしていくことは、当社の企業理念のひとつです。深谷市やキューピーさん含め、地域に貢献していくことを不断に考えていきます」と話します。