横浜市内で圏央道の一部となる「横浜環状南線」「横浜湘南道路」の建設が進んでいます。その交点となるのが、市南部の「栄JCT」。まさに“ここしかない”立地で、周囲は劇的に変貌しています。

ぐるぐるJCTを作るなら「ここしかない」立地

 国土交通省 横浜国道事務所が2022年10月30日0時から5時のあいだ、横浜市内の主要道路のひとつ県道23号を一部、夜間通行止めしたうえで、巨大な橋脚を設置する工事を行います。圏央道の一部をなす「横浜湘南道路」建設の一環です。


栄JCT・IC周辺。田園地帯に高架のJCTが構築されている。2022年8月(乗りものニュース編集部撮影)。

 新湘南バイパス(藤沢IC)から横浜市内へと延びる「横浜湘南道路」と、国道1号に接続する戸塚ICから横浜横須賀道路の釜利谷JCTを結ぶ「横浜環状南線」、将来の圏央道を構成するこの2路線が横浜市内でそれぞれ建設中です。その交点となるのが「栄JCT・IC」で、今回架設される橋脚は、そのすぐ近くで横浜湘南道路の本線の橋桁を支えるものです(なお、未開通のIC名などは仮称)。

 栄JCT・ICができる県道23号の田谷交差点付近は現在、田園地帯のなかにこれらの橋脚が林立し、橋桁の工事も並行して行われている状況となっており、のどかだった風景は一変しています。

 この栄区田谷地区は南北に柏尾川が流れ、周囲は山に囲まれています。横浜湘南道路、横浜環状南線とも、住宅が広がる横浜周辺の山がちな地形を克服すべく、ほとんどが地下トンネルで構成され、栄JCT・ICの前後もトンネルです。地上のJCTで両路線を交わらせるうえで、田谷地区のまとまった平地は絶妙な場所なのです。

 さらに、横浜湘南道路から北へ延長するような線形で、都市計画道路の「横浜藤沢線(一般道)」も計画されており、栄JCTは将来的に十字の線形になる予定です。

 ただ、横浜湘南道路、横浜環状南線ともトンネル工事の遅れなどから、2025年度までの開通は再び白紙になっています。そうしたなかで栄JCT・ICについては、ランプ橋が複雑に交差し合い、とぐろを巻くようなその全貌が現れつつあります。地下トンネル主体のため、外からは掴みづらい両路線の進捗を実感できる数少ない場所といえるでしょう。