これらの変更は、スターバックスの小売戦略の大きな移行を示すものだ。同社は数十年にわたって「サードプレイス」の代表的存在だった。この用語は、人々が仕事と自宅との中間で時間を過ごす場所を示すものとして、社会学者のレイ・オルデンバーグ氏によって作り出されたものだ。同社は現在、「あらゆる場所で顧客と結びつきを持つ」ために「サードプレイスでの体験を実店舗以外にも拡大する」過程にある。この新しい環境で、スターバックスは、「よりゲストセントリック(顧客中心)になる」と、カンター(Kantar)のグローバルコマースエキスパートであるバリー・トーマス氏は米モダンリテールに語った。「同社は顧客中心主義を忠実に守っており、その多くはオフプレミス(店舗外)で行われている。顧客はスターバックスを訪問して、飲み物を買い、デジタルドライブスルー、配達のいずれかの方法で受け取り、出ていく。オフプレミスはレストランのもっとも急速に成長している分野のひとつだ」。「小売店やレストランが実店舗で何をしているかを見てみると、その主な目的は、流通仕様、つまりフルフィルメントセンターになっている」と、同氏は付け加えている。スターバックスはすでにかなりの期間にわたって、この方向への移行を進めてきた。同社は2020年、今後18カ月で米国内においてドライブスルーやカーブサイドピックアップなど「利便性を重視したフォーマットを増やす」と発表した。「アンビエント・コーヒー」と呼ばれるモデルを採用するコーヒー・コンセプトも増えていると、トーマス氏は指摘している。ニューヨークで創業され、最近ロンドンに進出したブランクストリートコーヒー(Blank Street Coffee)は、店舗スペースがニューヨークの平均的なコーヒーショップの半分のサイズだと語る。同じニューヨークのアバウトタイム(About Time)は、モバイルファースト世代を意識して、「直感的な注文、カスタマイズオプション、迅速な受け取り」のすべてを提供しているという。コカ・コーラ(Coca-Cola)のコスタコーヒー(Costa Coffee)は、完全自律型のコーヒー自動販売機を構築している。「コーヒーの世界を見渡せば、すべての業者がコーヒーの行く末を考えてこの道をたどっているとわかる」と、トーマス氏は説明している。
雰囲気より効率を重視する顧客
同様に、スターバックスの場合、「体験の中心になるのは、雰囲気ではなく、効率性だ」とコンドラット氏は述べている。「スターバックスがまったく新しい顧客と結びつきを持つことができる世界が実際に存在すると思う。その新しい顧客は雰囲気を重視しないだろう。このような顧客が重視するのは、コーヒーを注文できるか、すぐ飲めるか、そこに行くまでのあいだに準備ができているか、ということだ」。それでも、これが、サードプレイスの終わりを意味するものだとコンドラット氏は見なしていない。「サードプレイスには、オフィス空間の一部としてのニーズはまだあると思う」と、同氏は述べている。「振り子は片方に大きく振れた。そして今度は、その振り子が反対側に戻りつつある。オフィス文化は永久的に変化したと思う。しかし、職場でも家庭でもない、そして生産的な気分になれる場所は、依然として求められ続けると、私は考えている」。[原文:As Starbucks changes its growth strategy, the ‘third space’ café model fades from view] JULIA WALDOW(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)