お店も、オフィスも、住民も、ファッショナブルで洗練された人・モノが集う街。

それが「北参道」である。

物件自体の数は少ないが、住民からは「住み心地がいい!」との声が上がる。

このエリアに魅了され、感度の高い大人が集う理由を徹底解剖する!

東京の街の個性を徹底調査する連載「東京ご近所探訪」。過去にご紹介した街も、要チェック!


今月のエリア【北参道】


今回取り上げるのは、原宿から新宿へと抜ける明治通り沿いにある北参道駅近辺。住所でいうと、千駄ヶ谷3丁目、4丁目近辺を重点的に掘り下げていく。

地下鉄・副都心線の駅があり、開業は2008年と非常に新しい。駅が設置される際、当初は「新千駄ヶ谷駅」という駅名の候補もあったそうだ。


ファッショナブルで洗練された、お洒落なエリア

北参道付近の明治通りは、歩道も広く、朝夕は多くの人が行き来する。千駄ヶ谷方面に行けば「国立能楽堂」なども近い


そんな比較的、新しい街である「北参道」だが、街の人はどんな印象を持っているのだろうか。

2004年のオープン以来、人気のカフェ『Tas Yard』の杉江篤志店長は「一帯の住所が千駄ヶ谷なこともあって、北参道という名称に慣れるのは時間がかかりましたね」と笑う。

同店は、インテリアデザインなどを手がけるランドスケーププロダクツが運営しており、一帯には関連施設が多数。

「元々、事務所が北参道にあって、自分たちが欲しいものを……と思い、ショップやカフェ、コーヒースタンドを造ったと聞いています」と杉江さん。

同社のみならず、近隣を歩けば、デザイン事務所やアパレルショップ、ショールームなどが多く、それらが放つファッショナブルで洗練された空気感が街を形成している。

千駄ヶ谷3丁目にお店を構えるアイウエアブランド「ayame」のPR・松本満寸美さんも、こう話す。

「この一帯は、ファッションの本場である原宿の城下町といったイメージでしょうか。原宿と違ってゆったりした空気が流れていて、買い物にも集中できます。

目的を持って来店してくださる方が多いので、すごく気に入っています」

お店を訪ねれば、広々とした開放的な空間にゆったりとアイウェアが並び、どこか優雅さも感じる。

店員さんとじっくり話して買っていく人が多いという。


北参道を代表するカフェ!『Tas Yard』


ゆったりとした空気が流れる、北参道を代表するカフェ。

甘さとスパイシーさがクセになる「タスヤードカレー」(M/1,100円)や、コク深い「珈琲牛乳」(700円)で、ゆったりとした時間を。


センスあふれる人気店『ayame optical store』


2010年創業の、アイウエアブランドの旗艦店。

デザイナーの今泉 悠さんが手がける、普遍的なデザインが評判。定番の「NEWOLD」などが人気だ。


北参道住民が「住みやすい!」と太鼓判を押す理由


アクセス良好で緑豊か。住みやすさは抜群!


そんなお洒落偏差値の高い北参道だが、住む場所としても優秀。

「北参道駅だけじゃなく、少し歩けば原宿、代々木、千駄ヶ谷も使えてすごく交通の便がいいと感じます。

あと、特筆すべきは緑の多さ。周辺には新宿御苑、明治神宮外苑もありますし、線路の向こうには代々木公園や明治神宮があります。そういった意味でも、東京屈指の気のいい場所だと思います」という住民の声も。

ただ、物件自体の数が少なく、ファミリー向けはより少ないとか。

とはいえ、明治通り沿いの首都高手前には「パークコート神宮北参道 ザ タワー」などの大型物件も建設中。エリアとしての人気は高まる一方だ。

そんな住民たちを満足させるハイレベルなレストランが点在しているのも、このエリアの特徴。

全国から魚介好きが集う名店『ボガマリ・クチーナ・マリナーラ』や、2008年からこの地で営業している『トラットリア タンタボッカ』など実力派ぞろいだ。


魚介好きならココ!『ボガマリ・クチーナ・マリナーラ』


2013年オープンの住宅街に潜む名店。魚介が並ぶショーケースから、自分で魚を選べる。

写真は「神経〆魚介5種カルパッチョ盛合わせ(2人前)」3,000円。


陽気なイタリアン!『トラットリア タンタボッカ』


明治通り沿いにある、陽気な空気感が心地良いイタリアン。10種類近くそろうパスタや、A5ランクの「和牛の炭火焼き」(200g 4,620円〜)が評判。



「普通のビジネスマンといったお客様は少なく、デザイン系やアパレルなどクリエイティブなお仕事をされている印象です」と、タンタボッカの外川翔太さん。

明治通りから、テラス席を望めるが、見れば確かに堅苦しい格好の人は少ない。むしろ、お洒落や洗練というキーワードがしっくりくる印象だ。

また、「エグゼクティブ原宿」というビルの地下にはビアバーや小料理店、惜しまれつつ閉店したスナック『スウィング』などがあり、住民で賑わっていたとか。

このように、豊かな緑とファッションが共存。東京の中心にありながら、この優れたバランス感覚を成立させている街は、他にない。落ち着いた暮らしをするには、ぴったりの街だといえるだろう。

センスとは何かを教えてくれる、そんな街が北参道なのだ。

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