※この記事は2020年07月16日にBLOGOSで公開されたものです

熊本、福岡、鹿児島、大分・・・九州を始めとする各地の豪雨、被害に遭われた方はほんとに大変だろうな。どうしてこんなにも降るのかね。天に向かってもう少し手加減してくれって言いたいよ。この豪雨災害には「令和2年7月豪雨」という名称もついて歴史的な大雨だって言ってるけど、なんだか毎年のように凄い大雨が日本を襲っているよね。そういう資料ってある?

< 最近の豪雨被害一覧 >

・平成21年 7月中国・九州北部豪雨  (死者36人)
・平成23年 台風12号による豪雨    (死者83人)
・平成24年 7月九州北部豪雨       (死者30人)
・平成25年 台風第26号         (死者40人)
・平成26年 8月豪雨(広島市の土砂災害)(死者77人)
・平成27年 関東・東北豪雨       (死者14人)
・平成28年 8月北海道豪雨        (死者4人)
・平成29年 7月九州北部豪雨      (死者42人)
・平成30年 7月豪雨(西日本豪雨)   (死者263人)
・令和元年  台風19号          (死者91人)
・令和2年   7月豪雨

はぁ、ため息出ちゃうな。ホントに毎年なんだな。しかも九州は雨の通り道で豪雨に襲われっぱなしじゃないか。なんだか、この10~20年で大気の具合がどんどん変わってきてるよな。昭和の頃は大雨被害って台風がもたらすものだった。沖縄、四国、紀伊半島あたりに台風が上陸して、その進路が果たしてどうなるのかってのが常だった。だけど最近は台風のルートが上へ上へと緯度が上がって、めったになかった東北地方や北海道に幾つも台風が上陸するようになったりしてる。かつてなかったことが起きている。

それと、最近耳にするようになったのが「線状降水帯」って言葉だよ。これも聞いたことのなかった言葉だよな。昭和のニュースでは聞かなかった。あと「ゲリラ豪雨」もそう。新しい言葉が出てくるってことは、それまでに無かった気象現象が起きてるってことだ。せめて「ゲリラ小雨」ぐらいで勘弁してほしいよ。急な小雨っていうぐらいでさ。

水害大国・日本 コンビニより多い土砂災害警戒区域

なんだい編集部、実は日本が水害大国だって話があるの? なになに政府広報によると「全国にある1741市区町村(平成27年末)のうち、平成18年から27年までの10年間に一度も河川の氾濫などによる水害が起きていないのは、わずか49市区町村(2.8%)に過ぎません」・・・って、そうなの!? 

つまり、河川がある所はほぼ水害あり、河川に絶対の安全は無し、ってことか。日本中どこもかしこも、いつ起きるかわからない水害と隣り合わせなんだな。考えてみたら俺の身近な地域でも、去年の10月、台風19号で多摩川が氾濫して世田谷が浸水したもんな・・・。

まだあるのか? なになに、「日本で土砂災害警戒区域に指定されている箇所はコンビニの数より多い」って、そうなのかい?

・土砂災害警戒区域→37万箇所
・土砂災害危険箇所→52万箇所
・全国のコンビニの店舗数→5万8千店

おいおい、コンビニってどこにでもあると思ってたけど、土砂災害の危険性のほうがそれよりもよっぽど多いのか。なんだか頭抱えちゃうな。

救助活動中は落ち着いて食事もできない自衛隊

しかし、災害のたびに現地に派遣されて救助活動に励む自衛隊には頭が下がるな。今回も避難者乗せたボートを引っ張ったり、空からヘリで救助したり、陸海空が総出で500人以上救助したって話だ。

頼もしいけどその大変さも察するよ。前に聞いたことあるけど、自衛隊っていったん現場に入ると落ち着いて昼メシも食えないんだってね。急を要する現場だからってこともあるだろうけど、メシぐらいゆっくり食べてほしいよ。自衛隊だってきちんと休まなきゃ充分に働けないよ。だけど休んでる姿をそのまま見せたりすると「休んでないで働け」なんて心ないクレームを言うバカげた連中も出ちゃうんだろうな。体も使うし気も使う、自衛隊は大変だよ。

今や災害だらけの日本で自衛隊は無くてはならない存在だ。だけど自衛隊にしてもレスキューの専門でもある災害救助隊にしても、その人数は無限じゃないよ。今や毎年のように九州や西日本は豪雨に襲われているわけだろ。そこで、あらためて考えたんだけど、豪雨のシーズンに合わせて九州や西日本の守りを強化するっていう発想はどうかな?

奉仕の精神に頼る消防団 若者不足で存続の危機

そこで着目したいのが各市町村の地区ごとにある消防団。あれってほとんど有志だろ。普段は会社勤めしたり自営で働いてる人がさ、いざ災害って時に出動するわけだ。重要な役割だけどみんな常勤ではなく非常勤。ちょっと編集部、消防団の待遇ってどうなってる?

なになに、消防団に入団すると年額で「36500円」の報酬が出て、あとは一回出動するごとに「7000円」の支給か。アルバイトと変わらないな。それでいて、いざとなると火事や水害の危険な現場に駆け付けて最前線で仕事にあたるわけだから、金額以上の奉仕の精神に支えられてるところが大きいよな。

でも、今や梅雨と台風を合わせたら6月~10月は水害と土砂災害の対策を強化するべき時期だ。そこで消防団をこの時期に合わせて増強する制度を考えたらどうかな。九州や西日本で豪雨シーズンに期間限定で入団できる特別枠、たとえば「豪雨防災枠」を設けてその期間の人員を増やすの。あと、その期間は従来の消防団員にも特別手当をアップして士気を高める。

ここで若い人が消防団を身近に感じて、入りやすくなるといいんだよな。というのはさ、今の消防団って少子高齢化の影響でどの地域も高齢化してる。それが問題。

俺さ、前に浅草の演芸ホールの会長に頼まれて、台東区にある日本堤消防署で一日署長をやったことがあって、その時に聞いたんだけど年々消防団が高齢化してきて、ホース持つのもひと苦労だって。消防のホースってすごい重いんだよな。あと階段やハシゴを上がるのも足元がおぼつかないって言ってた。消防団はもっと若者を確保しないとえらいことになるって。

若い人集めるのにどうすればいいかね編集部? なになに「入団して出動した回数に応じてポイントがもらえて、ポイントがたくさんたまると好きなアイドルに名指しでホメてもらえる」・・・、アハハハハ、動機はどうあれ、好きな人にホメてもらいたいってのは今も昔も男のサガだな(笑)。

まあ、一番手っ取り早いのは「住民税が安くなる」とか「地元で使える商品券が支給される」とか、地元への貢献が地元からの還元になるのがいいかもな。そうして少しでも若い体力を防災の為に確保しておく。これ、重要な問題だよ。

もちろん年齢に関わらず、一定の体力テストをクリアしたら入団資格がもらえるようにするのもOKだろうね。

命を守る現場の待遇が劣悪な日本

消防団は非常勤の防災組織だけど、その上にいるのが24時間体制で勤務している消防署員だ。こちらはれっきとした専門職の公務員。あのさ、消防署には「消防うどん」ってのを作ってる所があるんだよな。知ってる? 消防署内で署員が作るんだ。ほら、いつ災害が発生するかわからないから、勤務中の署員は消防署を離れられないんだよ。ちょっと外に食べに行ってきます~って表に出かけるワケにはいかないの。だから署内で自炊してる。それが消防うどん。

うどんは乾麺を使う。日持ちするし非常食になる。これを茹でてザルにあけて、つけ汁を作ってつけ麺にするのが基本。ドンブリでかけうどんにすると、いざ出動で食い損ねた時に伸びちゃうからな。だからつけ汁は飽きないように色々と味を変えるらしい。相撲部屋のちゃんこ鍋みたいなもんだな。

そこで問題、「なぜ、消防署員は消防うどんを食べるのか?」・・・わかる? 答えは「ショウカ(消火・消化)にいいから」。なんてな(笑)。

消火とは逆に、問題の火がくすぶり始めてるのが病院だな。コロナの影響で多くの病院が収入減の経営難に傾いているってね。コロナ患者を受け入れれば受け入れるほど収支が下がってく。東京女子医大だっけ、給料減額とボーナスカットで約2千人いる看護師のうち400人が退職希望になってるってニュースになってたよな。あと、看護師さんたちがボーナス減額に対してストライキを始めた病院もあったな。どこも切実だよ。何とかしてあげたいよ。

あのさ、そうして見渡すと日本って、最前線で人の命を守ったり救ったりする仕事がどうにも「安い」んだよな。消防団もそうだし、看護師さん、介護士さんもそう。どこかで人が持っている「義務感」や「道徳心」や「善意」に寄りかかって、そこにそそがれている労力を安く消費している。

ああ、それは結局、命の値段が安い、ってことなのかね?

(取材構成:松田健次)