大手メディアを手玉に!? 元NEWS手越祐也の独立初仕事は「YouTuber」 - 渡邉裕二
※この記事は2020年06月24日にBLOGOSで公開されたものです
ジャニーズ事務所が自社の公式サイトで「この度、当社は手越祐也との間で専属契約の終了について話し合い、本日をもって専属契約を合意解除することになりました」と公表したのは先週19日のことだった。
手越祐也(32)とは、ジャニーズに所属する人気アイドルグループ、NEWSの元メンバーのこと。
手越は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」さなかの4月下旬、複数回にわたって外出。女性を呼びつけ〝飲み会〟を開いていたことが「週刊文春」(5月13日発売)で報じられた。
この行動を問題視したジャニーズ事務所は「不用意な行為だった」と謝罪した上で、手越を無期限の謹慎処分にした(5月26日)。さらに当初、参加を予定したジャニーズの所属タレントによるチャリティーソングを歌う期間限定のユニット「Twenty★Twenty」のメンバーからも手越を外した。
ところがその後、事態は急展開。手越はジャニーズ事務所を退所し「独立」することを宣言した。この動きに業界内では「滝沢秀明副社長(38)の逆鱗に触れクビになった」とか、「逆ギレ退所」と〝裏事情〟を報じる一方で、独立後は「実業家になる」「YouTuberになる」といった情報が飛び出していた。
「手越の人気は高かったのですが、とにかくアッケラカンとした性格で、そのヤンチャぶりには事務所も手を焼いていた。ジャニーズだからこそフォローできたことも多かったのは確かです。ところが今回は、さすがに事情が違った。不要不急が叫ばれていた緊急事態宣言下の行動としては誰から見ても不用意だった。業界内からも擁護する声がありませんでしたね。だいたい、あの石田純一でさえ仕事だと言って沖縄に行き、騒ぎを起こして批判されたのですから、当然でしょう」(芸能関係者)
さらに、「ジャニーズからは、NEWSのメンバーにも相談もせずに飛び出てしまったようです。ハッキリ言って無責任。他のメンバーや、これまで応援してきたファンに対しても裏切り行為です。しかも、その退所も弁護士を通しての交渉で、直接の話もなかったようですからね」(ジャニーズに詳しい音楽関係者)
そのような情報が出回る中で、手越は「事実とは違う」「真実を話したい」と23日夜、東京・神田にある神田明神内のライブハウスで緊急記者会見を行った。しかもその会見は、「YouTuberを目指す」と言った情報の通り、自ら開設した「手越祐也チャンネル」で同時配信するなど、実に用意周到だった。
会見で明かされた「真実」
会見を開いた理由について手越は、前述した通り「間違った情報が出続けるのは困る」「1日も早く自らの口から経緯を説明したかった」とした。
それによると「5、6年前から新たなジャンルで勝負したいという思いが強くなっていた」そうで、事務所には今年3月に退所意向を伝え、独立に向けての準備を始めてきたと説明した。
「ジャニーズに甘えないで、男、32歳。もう一度、新たなチャレンジをしたいと思っていた」
「NEWSとして新たな(プロジェクトが)スタートする前に、思い切って辞めて勝負をしたいと思った」
また、緊急事態宣言下での〝飲み会〟については「事務所に退所を宣言してしまった以上は、いつ(事務所を)辞めても動けるように、自分の今後の活動を支えてくれる仲間(医療従事者)との意見交換会だった」と説明。
同席していた女性については「僕は大切な男友達と遊ぶこともあれば、女性の友達と遊ぶこともある」とし「それを〝手越ガールズ〟という名称にするのかは分からないが、実際には双方で知人女性を連れて行くことになり、僕はウイルスに感染していないことが確認できた女性に来てもらった」と説明、そのことについては「事務所のチーフマネージャーに報告していた」とした。
また、独立について弁護士を通しての話し合いになったのは「ジャニーズの意向だった」ことを明らかにし、退所日の6月19日についても両者の弁護士の合意だったことが明かされた。
ただ、手越の契約は実際には来年の3月末まで自動延長されていることから、今回の契約解消はジャニーズにとっても異例の措置だったことが分かる。しかし、会見の中で、その部分については手越から具体的な説明はなく、現在でも「ジャニーズの藤島ジュリー景子社長、さらには滝沢副社長とも会えていない」ことを考えると、果たして、どこまで退所が円満合意だったのか不透明さが残るものとなった。
肝心の会見の中身にしても、30分以上にもわたる〝独演会〟になったが「事務所には退所の意向を示していた」「自分の行動は全てチーフマネージャーに報告していた」と、自分の行動を正当化する一方で「ジャニーズは大好きな事務所だったし感謝している」「NEWSはグループもメンバーも大好き」と説明。退所の理由については「とにかく新しいことにチャレンジしたかった」「家族(母親を扶養している)を支えていかなければならない」とした。
その反面「15歳からNEWSとして活動を続けてきたので、他のことは全く分からない」などと曖昧さを繰り返す。結局手越が、ここで何を説明したかったのか実のところ分からなかったが、昨年、亡くなったジャニー喜多川前社長は今回の独立についてどう思うだろうかと問われると「ちゃんと自分のことを説明したら、きっとユー、頑張れと納得してもらえたと思う」などと述べていた。
「会見では歌って踊れるパフォーマーを主軸にしたいと言っていたし、今後はソロライブもやりたいと…。要するに、基本は現在の活動と変わらないということです。手越本人は『まだ言えないことがある』と話していましたが、おそらく実業家めいたこととか、中国あるいは米国進出を考えているのでしょう。
とは言っても現状は、すぐにできるTwitterやInstagram、YouTubeチャンネルなどの開設、あとはファンクラブぐらいですからね。正直、ジャニーズを辞めてまで…という印象は否めず、説得力に欠けていました。
あとはボランティアにも力を入れているようですが、それにしてもSNSの延長です。おそらく手越に独立を進言した人物がいたのでしょうね。ただ、手越としては来年3月の契約満了までジャニーズにいる算段だったのでしょう。
それが新型コロナの影響で自分でも考えていなかったほど事態が急展開したように思えますね。ですから方向性が固まりきっていないのかもしれません。もしかすると、現状には手越本人が焦っている可能性もあります」(プロダクション関係者)
だとすると、今回の専属契約の合意解消はジャニーズの先手、あるいは何らかの思惑が込められていたのかもしれない。
「ジャニーズがテレビに圧力」という時代遅れ
記者会見の質疑応答では、今回の独立によって今後のテレビ出演などへの影響を問う記者もいた。ジャニーズから独立したことで、これまで出演していた日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」などの番組を降板したことに対し、元SMAPの「新しい地図」に関連させてジャニーズからの圧力についての不安など、手越の気持ちを記事にしたかったに違いない。
その問いに手越は「ジャニーズと日本テレビが話し合われて決めたことなので、残念だけど仕方がない」とサラリと流していたが、現実を考えると、いまだにテレビ出演にこだわること自体が時代遅れに近い。と言うのも、緊急事態宣言以降の流れとして、テレビ視聴よりYouTube視聴の方が上回っているのが実情だし、今や多くのタレントや芸人、さらにアーティストまでもがYouTubeのチャンネルを開設している。
そう考えると手越自身も、このタイミングで自らのメディアを持ったことになる。事実、会見で手越は「これからは自ら発信していきたい」と言っている。おそらくテレビ出演などにはこだわっていないだろうし、さすがに百戦錬磨のジャニーズであってもYouTubeに圧力はかけられないだろう。
今回の手越の会見動画は視聴回数が700万回を超えており(24日12時時点)、チャンネル登録者も55万人に達した。しかし、このチャンネルプロモーションの立役者は実は大手メディアだったわけで、メディアを手玉にしたYouTuber手越の戦略が大成功だったことだけは確かだ。