※この記事は2020年03月06日にBLOGOSで公開されたものです

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全国の小中高校と特別支援学校で3月2日から臨時休校が始まった。児童・生徒の多くは自宅で過ごすが、高校入試を控えた中学3年生からは「突然の休校で試験の直前準備ができなくなる」など悲鳴が上がっている。

休校が始まった当日、オンラインで学生や教育関係者が集まる座談会が開かれ、休校措置で抱える不安や今後の対応策について話し合われた。会を開催した政治活動家の原田謙介氏に聞いた。

週明けにも高校入試、学校で準備ができず不安

香川県で塾を経営する女性によると、高校入試を控えた中学3年生の教え子たちが不安を抱えているという。

同県の公立高校の入試(学力検査)では自己推薦選抜はすでに2月に実施されているものの、多くの生徒が受ける一般選抜は今月10日から始まる予定だ。

同県公立高校の一般選抜には面接も含まれているが、生徒たちは登校できないため学校で教員と練習ができず、対策が不十分のまま試験に臨まなければならないことに不安を募らせているという。

女性は、「教え子たちが通う中学校のカリキュラムでは入試前の1週間を利用して個別の面接指導を実施する予定だったようですが、それが今回の措置で不可能になってしまいました。面接練習の場合は、話し相手が必要なため、自宅で取り組むにも限界があります。もともと人前で話すことに対して苦手意識を持っている子ほどストレスを感じており、試験に悪影響が出ないか心配です」と案じている。

また自身の進路は決まっているものの同級生の多くはこれから入試を控えているという中学3年の男子生徒は、LINEのやりとりを通して友人から不安の声を聞くという。

男子生徒の住む地域では、自治体の判断で休校した学校と、従来どおり開校中の学校が混在している。「休校にならなかった中学の生徒は学校でラストスパートをかけることができる。それで入試の合否に差が出てしまうのだとしたら不公平だと思います」と話している。

「子どもに障がいがあり、中学生でも留守番は厳しい」

不安を抱えているのは受験生だけではない。関西地方で障がいを持つ中学生の子育てをしながら働いている医療関係の女性は、休校措置を受けて「放課後等デイサービス」(障がいのある子どもの学童保育)に預けようとしたが、定員が一杯で叶わなかったという。

「小学校低学年の子どもは自宅に1人にすることができないとして各自治体が対策を取るなどしているようですが、子どもに障がいがある場合、中学生になっても1人で留守番をさせるのは難しい。預け先も限られているので困っています」と訴える。

女性の場合、職業柄在宅ワークも難しい。幸い、近くに住む知人が子どもの世話を引き受けてくれたため出勤できている状況だが、難しい場合は仕事を休まざるを得ないこともあるようだ。

「国からの休業補償も、どのタイミングで、どのような形で支給がされるかわからず見通しが立ちません」と不安を募らせる。

休校による混乱を改善する策がない

座談会は2日の昼と夜の合計2回開催され、青森、東京、京都、愛媛、香川、岡山など全国から計20人が参加。中学生や、学校の教員、子育て中の親など10代~60代がビデオ会議ツール「Zoom」上に集まり、オンラインで話し合った。

ほかにも、

「区がFacebookやHPなどで様々な情報を発信しているが、本当に情報が必要な人に届いているのかわからない」(子育て中の親)

「人が多く集まる場所に行くのは禁止だと言われているが、結局大型ショッピングセンターなどに集まると思う」(中学生)

などの声が上がったという。

主催した政治活動家の原田謙介氏は、「一斉休校という判断自体に対してではなく、『運用』に不備がある。多くの方が生活の中で混乱と不安が生じているにもかかわらず、改善するための施策が出てきていません」と指摘。

「今日のこの会の声が、少しでも政治の場に届き、議論の要素のひとつになればと思っています」とした。