嵐の活動休止はジャニーズ事務所の転機にも…? - 渡邉裕二

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※この記事は2019年01月27日にBLOGOSで公開されたものです

2018年秋から囁かれていた「活動休止説」

人気アイドルグループ、嵐の2020年活動休止のニュースは一瞬にして日本中を駆け巡った。「まるで大坂なおみの全豪オープン初優勝に水を差すようなタイミングでの発表だった」と揶揄する声もあったほどだが、実は、嵐の〝活動休止説〟は昨秋から囁かれていた。

情報を掴んだ日刊ゲンダイによれば、昨年11月、メンバーの櫻井翔が東京・銀座のクラブラウンジで開いた慶應大学時代の仲間たちとの〝飲み会〟で「嵐は解散する」と言い放ったと言うのだ。周囲は「場を盛り上げるための悪い冗談では」と思いつつも、みんな驚いていたそうだが、その後、今度はメンバーの二宮和也が自身のラジオ番組の中で仲間内での喧嘩を匂わせる発言をしたこともあって、メンバーの不仲説も出始め、話は「もしや…」の方向に発展しつつあった。

「この情報どう思いますか?」

新聞社の記者からそう問われた私は「来年(2019年)は大きなコンサートも予定されているようだし」とし、その上で、

「今年(2018年)のNHK紅白歌合戦の司会は櫻井ですが、2016年は相葉雅紀、2017年は二宮でした。業界内では嵐のメンバーが交代で紅白の司会を務めるのは周知の事実になっているようです。来年、再来年も残りのメンバーが司会を務めるので、少なくとも2020年まで解散はないと思いますよ。嵐は1999年にデビューしましたが、数年間売れなかったので団結力が強い。仲の良さが売りのひとつでもあります」

とコメントした。

記事は12月24日付で掲載された。すると読者からは「いい加減な情報を載せるな」「フェイクニュースを流すな」と批判が殺到した。

それから1ヶ月。今年、嵐は結成20周年という〝節目の年〟を迎えることから東京、大阪、名古屋、福岡、札幌5大ドームで総動員数237万5000人に及ぶ全50公演のツアーを繰り広げている。その真っ只中での「活動休止」発表である。

表向きは「休止」とは言うが、活動再開については明言していない。事実上の「解散」と見ていいだろう。この〝決意〟にリーダーの大野智は、
2017年6月中旬、僕はメンバー4人に集まってもらい自分の気持ち、思いを話しました。
その内容は、2020年をもって自分の嵐としての活動は終えたいと。

嵐20周年、そして2020年という区切りで一度嵐をたたみ、
5人それぞれの道を歩んでもいいのではないか、
また勝手ではありますが、一度何事にも縛られず、自由な生活がしてみたい、
そう伝えました。

その後、メンバー一人一人と何度も話しました。
5人で何度も何度も話し合った結果、
2020年をもって嵐を休止させて頂く結論に至りました。

メンバー個々の思いもあります、
その思いを背負いながら2020年いっぱいまで走り抜きたいと思っています。

急な発表ではありますが、
今までずっと僕らを支え続けてくださった全ての関係者のみなさん、
そして何よりも嵐をずっと応援し続けてくださった全てのファンのみなさん、
申し訳ありません。

言葉では表すことができないくらいの感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。

2020年いっぱいまでの残りの期間、
今できる自分の使命をきっちりと果たしていきたいと思っています。

2019年1月27日
大野智
とのコメントを発表した。

一方、メンバーの不仲節について相葉は「5人で嵐だという気持ちが強い為、1人でも2人でも欠けてしまっては嵐と名乗ってグループ活動をするのは難しいと思いました」と、結束力の強さをアピールした上で、

「嵐のことが大好きです。嵐の為ならなんだって出来ます。気持ちの整理をつけるには時間がかかりましたが、今は納得しています!決して仲が悪くなった訳ではありません。20年目に入り、1人1人との信頼関係や絆は更に強くなっています。本当に4人に出会えたことに感謝です」

とコメントを寄せていた。

年内に結婚するメンバーも?

いずれにしても「20年を一区切りにしたい」と言う気持ちがメンバーの中にあったことは確かだろう。年齢的にも30代の半ばを過ぎた。気持ちの中で「アイドル」と言われることに抵抗を持っていたかもしれない。当然、自らの方向性を考えていたとしても不思議ではない。活動休止後、大野は個人としての活動もしないと言う。しかし、それ以上に年内、あるいは来年にも「結婚」を考えているメンバーもいるようで、そうなったら「他のメンバーに迷惑をかけなくない」との思いもあるだろう。

ただ、今回の活動休止の大きな引き金になったのは「SMAPの解散だった」と言う声もある。SMAPの解散劇は、所属事務所のジャニーズ事務所はもちろん、メンバーにも大きな影響を与えたことは確かだ。

「ジャニーズ事務所のマネジメント体制にも変化が出てきたと言うことでしょう。昨年の暮れに古参の役員も退社していますが、何と言ってもジャニー喜多川社長の後継者としてプロデューサー業に転身することになった滝沢秀明の存在が大きい。これまで嵐は、メリー喜多川副社長の愛娘・藤島ジュリー景子副社長がマネジメントしてきましたが、今後、ジュリー副社長は経営に専念すると言われていますから、あるいは世代交代というのが根底にはあるのかもしれませんね。King & Princeなど新しいグループも登場してきています。今後も何組かが控えていますが、ジャニーズ内のマネジメント体制も大きく変わっているのです」(芸能関係者)。

これはあくまで私の見方であるが、今回の嵐の活動休止は、もちろん大野の提案だったのかもしれない。メンバーの意向を聞いった上での判断だったことは確かのようだが、その一方でジャニーズ事務所にとっても、これまでの体制に「一区切り」をつけるキッカケになっているように思えてならない。

ジャニーズ事務所は、いうまでもなくジャニー社長とメリー副社長によって築かれてきたが、メリー副社長の夫は小説家で評論家の藤島泰輔氏(1997年没)だ。その藤島氏は初等科から大学まで学習院に学び、今上天皇とは御学友だったことでも知られるが、しかし、今年4月に天皇陛下は自らの意思で退位し、5月には新元号となる。メリー副社長も、このタイミングを「自らの区切り」と考えたのではないだろうか。

いずれにせよ、嵐の今後のグループでの活動は、「VS嵐」(フジテレビ系)、「嵐にしやがれ」(日本テレビ系)などの冠番組の出演だけとなる。

それにしても、この発表にニンマリしたのは、NHKだったという。今回の活動休止をトップニュースで扱うなど、SMAP騒動以来の扱い。「これで今年、来年の『紅白』は目玉が出来たと言っていますよ。白組司会での起用は当然として、来年は東京五輪と嵐のラストステージで高視聴率間違いなしと読んでいるようです」(放送記者)。

いずれにしても、今年から来年にかけて日本中に嵐が吹き荒れそうだ。