銀座&有楽町のアンテナショップ巡り 北海道から沖縄まで「故郷の味」を探し - BLOGOS編集部

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※この記事は2019年01月09日にBLOGOSで公開されたものです

皆さま、年末年始は実家に帰省し、有意義な休みを過ごされましたでしょうか。いやいや、「仕事で実家になんて帰れなかったよ…」という方もいらっしゃることでしょう。

そんな少し心が荒んでいるあなたにオススメしたいスポットがあります。それは「アンテナショップ」。



東京都にはアンテナショップが数多く存在しており、一般財団法人・地域活性化センター(https://www.jcrd.jp/)の調査によると、2018年の都内アンテナショップは過去最高を記録したそうなのです。そんな東京都の中でも、千代田区有楽町には多くのアンテナショップが密集しています。

つまり、この年末年始に帰省出来なかった方は、アンテナショップで地元の食材を集めれば故郷に帰った気分だけでも味わうことができるのです!

早速、選りすぐりのアンテナショップ9軒(10県)から「お正月にその県で食べる物」「おせちのように、火を使わなくて良い商品」の条件を設けて商品を選んでまいりました。

【北海道 どさんこプラザ】

連日、ソフトクリームを求める行列が絶えず、新鮮な海産物から北海道産のじゃがいもを使ったホクホクのコロッケまで買えちゃうこちらのアンテナショップ。イクラやカニ、生モノを食べたいところですが…。

(左から時計周りに)チーズいか、にしんの甘露煮、さんま丼、つまみ鱈

アンテナショップの店員さんに「火を通したくありません」「お酒のアテにしたいです」「地元でお正月に食べるものは」とお聞きしたところ、こちらの4商品が挙がりました。

まず、一口サイズの小さな真イカの中にたっぷりと濃厚なクリームチーズが入った「チーズいか」。ビールに日本酒、ワイン、どんなお酒にも合う万能おつまみです。スライスして食べると、イカとチーズの絶妙なバランスが際立っておススメとのこと。スライスしたものを焦げ目が出来るまで焼いても美味でした。

にしんの甘露煮」は老若男女、どの世代も美味しく食べられる逸品で、北海道では年越しそばの上に乗せ「にしんそば」として食べる事もあるのだとか。


実際にそばの上に乗せて食べてみると、にしんの脂と甘さが出汁に溶け出して独特の深いコクとなり、上品な味わいへと変化しました。作ったものにはネギがないですが…北海道のにしんそばにはネギが不可欠だそうです。

また、にしんそば同様お正月に食べるものとして「さんま丼」が挙げられました。お正月だけでなく、一年中売れる人気の商品だそうです。新鮮なさんまを炭火でふっくらと仕上げてあるので、あったかご飯の上に乗せるだけで絶品丼になりました。タレと山椒は別になっていて、味の調節が自分で出来るのも嬉しいポイント。

北海道からの最終エントリーは、「つまみ鱈」。見た目はさきイカですが、比較にならない程しょっぱいこの商品。このままお酒のおつまみにして食べても美味なのですが、「お茶漬け」にして食べると塩辛さが軽減されつつ鱈の旨味が出汁に加わって、シメにうってつけの一品に。

【秋田県 秋田ふるさと館】

(左から)養老昆布 かすべ煮、藤倉の豆腐カステラ

秋田美人は一体何を食べているのか気になりますよね。綺麗な店員さんにお正月に何を食べるのか聞いてみると、秋田でも地区ごとにお正月食べるものは異なる、とした上でこの2品を教えてくれました。

かすべ煮」と書かれた真っ黒な煮物。「かすべ=エイの干物」という意味だそうで、かすべを水で戻してから甘辛く煮詰めるため、完成までに何日もかかるのだとか。味は、淡白で癖がなく、臭みもないので見た目と裏腹にとても食べやすく、おせちの一品に加えたい美味しさでした。

見た目は卵焼きのような「豆腐のかすてら」は名前の通り、豆腐を使ったカステラで、素朴な味がどこか懐かしい。とても甘く、ギュッと詰まった食感がクセになります。ヘルシーなので女性にオススメ。

【石川県 いしかわ百万石物語 江戸本店】

金箔アイスが食べられる石川県のアンテナショップ。最近人気の加賀棒ほうじ茶もお店で楽しむことができ、若い女性やカップルの来店が多かったです。

(上から)奇跡の珍味 ふぐの子醸し漬、金沢のピクルス 加賀れんこん

店員さんに「おつまみありますか」と尋ねたところ、「ふぐの子がおススメです!!!」と即答いただきました。その名も「奇跡の珍味 ふぐの子醸し漬」。石川県白山市美川町のみで製造が許可されているというこの商品。フグの卵巣には、肝などと同様に毒素が多く含まれているため、食用にする事は禁止されているのですが、卵巣を二年以上塩漬け及び糠漬けにして、毒を消しているそう。手間暇がかかっているからこそ、発酵食品独特の濃厚な味わいが口の中に広がり、少量でいつまでもお酒を飲み続けることのできる最高のアテ。石川県の日本酒にもよく合います。

ちょっとクセの強いのは苦手だな…という方には、加賀れんこんを使った「金沢のピクルス」がおすすめです。見た目もおしゃれで、酸味がキツすぎずやさしい味わい。肉厚で粘りが強いのが特徴的な加賀れんこんの良さを残し、どんな料理との相性も抜群です。

【富山県 いきいき物産】

(左から)漁師のおやつ 白えび燻製、棒S クリーミー揚げチーズ(5本入り)、ますくん

めでたい時には、ます寿司は外せません!としつつも、火を通さないおつまみを教えてくださった店員さん。「漁師のおやつ 白えび燻製」は富山湾の白えびの燻製干物。おせんべいのようにパリパリと食べられる軽い食感なので、お酒のアテとしてだけでなく、子どものおやつにもピッタリです。次に、「棒S(ボウズ) クリーミー揚げチーズ」はまず見た目がお洒落で、一本ずつの小包装で食べやすい。蒲鉾もチーズも揚げてあるのでコクがあってまろやかでした。

最後に「ますくん」はその名の通り鱒の燻製で、歯ごたえがしっかりしており、少し炙ってから食べると風味がアップして、より美味しくいただけます。

【和歌山県 わかやま紀州館】

お酒のアテばかりではなく、甘い飲み物や食べ物も魅力的です。その中でも、和歌山の「みかん」と「梅」をご紹介。

(左から)とまと梅、きわみ(200ml)、味一しぼり(200ml)

とまと梅」は紀州の”南高梅”を、印南(いなみ)町で栽培されている糖度8%のミニトマト”優糖星”の果汁に漬け込んだ逸品。果肉が柔らかく、酸味も強くなく優しい味わい。後味にトマトがふわっと香り、おやつ感覚で味わえるフルーツ梅干しです。「マツコの知らない世界」で紹介され、マツコさんが絶賛したことで更に人気になったそう。

2種類の無添加みかんジュース「きわみ」と「味一しぼり」は、共に濃厚で一口飲むだけで口の中にみかんの味わいが広がり、なんとも懐かしい味わい。「味一しぼり」は糖度12度以上のみかんだけを使用しており、大地が感じられる後味も魅力的です。

北山村 じゃばら果汁100%(100ml)

そして和歌山のアンテナショップで多く目についたのが「じゃばら」という果物の商品。

レモンやゆずのように酸味が強く、みかんのような後味が不思議なこの果物、和歌山県の北山村にしか自生していないというのです。そんなじゃばらは、様々な商品になっていますが、気軽にその美味しさを楽しめる「じゃばら果汁」をご紹介。ストレートのチュウハイにじゃばら果汁を入れると、ライムやレモンでは出せない絶妙な酸味に仕上がります。

【徳島・香川県 トモニ市場】

トモニ市場は香川と徳島、二つの県を一度に楽しむことができるアンテナショップ。

(左から)金運のあんもち雑煮、しいたけかりんとう、いわし黒ごま魚骨せんべい

店員さんのイチオシは徳島県の「いわし黒胡麻 魚骨せんべい」。かつてこちらのアンテナショップの近くにあった干物屋さんで扱われていた商品で、その店舗が閉店する際、食べられなくなるのを惜しむ声があり、アンテナショップで扱うことになったそう。多くの人が虜になったこの商品は、甘く味付けされ黒ごまたっぷりで、骨ごと丸ごと食べられるので健康的なおやつ。噛んだ時の”骨っぽさ”が気にならず、パクパク食べることができました。

しいたけかりんとう」は見た目以上に甘く、後味にかすかにしいたけの香りがするなんだか不思議な体験をしたような気分に。

そして、火を通すものなのですが、餡入りのお餅を使用した香川県のお雑煮「金運のあんもち雑煮」をご紹介します。



こちら、いりこと白味噌仕立ての味噌汁に大根、人参(写真は人参なし)、餡いりの丸餅を入れた讃岐の郷土料理。香川県では正月三が日、おせちと一緒に食べる定番品で、変わり種のお雑煮として扱われることが多いとのことでした。白味噌に餡入りのお餅は甘すぎるのでは…と思ったのですが、食べてみると決して甘すぎず、意外な相性に驚きます。いりこの出汁も効いており、うどんが美味しい香川ならではの旨味を感じました。

【広島県 広島ブランドSP】

OYSTER KITCHEN MARUICHI

広島といえば、ぷりっぷりの牡蠣。「OYSTER KITCHEN MARUICHI」は広島産の大粒牡蠣のオリーブ漬けです。牡蠣に白ワイン、オイスターソースなどを絡めて焼き上げ、ローリエと唐辛子と共に、オリーブオイルに漬け込んであるそうで、しっかり味のついたオイルが牡蠣に染み込んでワインとの相性抜群のおつまみです。パスタソースとしての使用も美味しそう。常温で保存できるのもGOODポイントでした。

(左から)れもん銘菓 せともち、こし餡 生もみじ、抹茶 生もみじ、クリームチーズ モミジ、お餅 もみじ饅頭

広島の鉄板土産といえば「もみじ饅頭」。

こし餡 生もみじ」「抹茶 生もみじ」は共に生地部分がモチモチしていて、口の中の水分を持っていかれがちなもみじ饅頭のイメージが変わりました。少し変わり種の「チーズクリーム モミジ」は甘さ控えめ。「お餅 もみじ饅頭」は、お餅が全面に入っておりお得感があります。柚子の風味が美味しい一品です。

れもん銘菓 せとこもち」はレモンの餡をはさんだお餅を薄い生地でどら焼きのように包んだもので、爽やかな味が楽しめます。

【福岡県 ザ・博多】

美食の街「福岡」のアンテナショップは、観光客が求めるお土産系の商品が多い印象。大阪のアンテナショプでも感じたのですが、大都市のアンテナショップは地域ならではの商品も勿論置いてありますが、旅行に行った際に買いたい商品が目立ちました。

(左から)明太えのき、カリカリ 鶏皮

そんな中で、店員が教えてくれた人気おつまみ1品目は「明太えのき」。明太子の磯っぽさがたっぷり詰まった、ご飯のお供にぴったりの商品。スプーンひとすくいでお茶碗2杯はいけます。後味が結構ピリッとするので、辛いのが苦手な方は要注意。2品目「カリカリ鶏皮」は、唐揚げっぽい見た目なのですが、脂の多い鶏皮のみなので、ガツンとくる男らしい味。これはビールがとてもすすみます。塩を追加するのがおすすめ。

【沖縄県 わしたショップ本店】

店内で沖縄料理を味わうこともできるアンテナショップで、紅芋タルトなどのお土産商品や、沖縄特有の調味料などの品揃えも抜群です。

(左から)塩せんべい、チップス ケックンミニ スパイシー味、中味汁

「今年は里帰りできないんです」と少し寂しそうだった店員さんがおすすめしてくれた、「塩せんべい」はお麩のような軽い食感のおせんべいにしっかりと塩がふられており、無限に食べられます。食パンのような使い方をして食べることもあるそうで、主役にも引き立て役にもなれる万能お菓子でした。

伊江島小麦チップス ケックンミニスパイシー味」は沖縄特産品の島とうがらしを使用したスパイシーな味付けがクセになり、一度食べ出したら止まらない旨さ。トルティーヤチップスのようですが、生地が薄く重くないので1袋すぐに食べ終わってしまいます。



最後に紹介するのは、沖縄でお正月に食べられる定番料理「中味汁」。

ルールを少し外れ、火を通す必要があるのですが、レトルトなのでお湯で温めるだけという手軽さ。「中味」というのは豚の内臓を意味しており、匂いが気になるのかと思ったのですが、下ごしらえをしっかりしてあるようでほぼ無臭でした。中味はとても柔らかく、ふわふわとした食感で、共に入っているこんにゃくには歯ごたえがあり、食感の違いが面白い。出汁の味はシンプルなお吸い物のようなのですが、モツ特有の出汁が出て深い味わいになっていました。生姜を入れるともっとさっぱりして美味しかったです。

以上、有楽町周辺にある21件のアンテナショップから独断と偏見で選んだ9件を周り、各地の郷土料理を楽しみました。各地で味付けや使用している食材は異なるものの、はじめに掲げたお正月ルール「火を通さずに食べることにできる食材」に限定すると「煮付け」や「干物」が多かった印象です。

故郷の味が恋しくなった際や、ちょっと旅行気分を味わいたい時に是非アンテナショップへ足を運んでみてはいかがでしょうか。そして、今年のお正月は故郷に帰れなかった皆様が、次の大型連休の際は故郷に戻って懐かしの味を思う存分味わえるよう祈っております。【清水かれん】

※ 本記事に掲載の情報は2018年12月時点のものです。