一連のカルチョ・スキャンダル判決により04−05、05−06シーズン優勝剥奪、セリエB降格に加えマイナス30ポイント(勝ち点)からのスタートが決定した名門ユーベ(ユベントス)。ジョバンニ・コボリ会長が控訴する動きを見せているが苦しい状況に変わりは無い。苦しい事情はクラブ経営者、幹部だけに止まらない。2季連続優勝(どちらも剥奪)に導いた名将カペッロのレアル・マドリー移籍後、新監督の座に就いたフランス人ディディエ・デシャン(37)も予想以上の判決に焦りを隠し切れない。

判決翌日の15日、新体制のもと行われた初練習後デシャンは「控訴により少しでもペナルティが軽減することを期待する。マイナス10ポイントからのスタートなら何とか(セリエA昇格も)狙えるが・・・」と戸惑いながら報道陣に語った。またセリエB降格により多くのスター選手が移籍する可能性について「みんなにはユーベに残るよう電話で説得した。特に代表主将を務めるカンナバーロの様な選手がいると心強いのだが」と苦しい胸中を明かしている。

W杯で大活躍したカンナバーロにはレアル・マドリー、チェルシー、バルセロナなど欧州CL制覇を狙う名門が興味を示している。セリエB降格を機にフランス代表MFビエィラ、スウェーデン代表FWイブラヒモビッチなどへのオファーも殺到する事が予想される。「合理性」と「強運」を兼ね備えるデシャン新監督だが、この状況を打破する事は容易ではないだろう。