高速道路を1区間か2区間だけ利用−−日常的な移動ではためらわれるかもしれませんが、それにより、かなり所要時間を短縮できる場合があります。そんな東京圏の「神区間」を紹介します。

ありがたい! 橋の区間だけ高速利用

 日常的な移動で高速道路を1区間か2区間だけ利用するのは、抵抗があるかもしれません。しかし、それにより所要時間をかなり短縮できるケースもあります。今回は東京圏の高速道路で価値ある“チョイ乗り区間”を5つ紹介します。

京葉道路:篠崎IC〜京葉市川IC

 京葉道路で東京都江戸川区と千葉県市川市を隔てる江戸川を渡る区間です。並行して一般道の橋がないため、この橋を利用しないと大きく迂回を強いられます。

 実は、この区間だけの利用は無料です。京葉市川の先の原木ICまで利用すると料金がかかります。京葉道路にはほかにも無料区間が存在しますが、それは現地の条件から料金所を作れないためで、NEXCO東日本は“やむなく無料”としています。


京葉道路の篠崎IC。京葉市川ICまでは無料で通行可(ドラレコ画像)。

第三京浜:玉川IC〜京浜川崎IC

 こちらも都県境の多摩川を渡る区間です。早くに建設された第三京浜は他の高速道路よりも料金体系が割安で、この区間のみの利用は普通車でたった50円。やはり並行する一般道の橋がないため、ここを利用しないと大きく迂回を強いられます。

 ただ現在、この橋の1km下流側で、目黒通りから連続して川崎市へ渡る一般道の橋が建設中です。

常磐道:三郷料金所スマートIC〜流山IC

 一方、埼玉県と千葉県を隔てる江戸川を渡る区間ですが、こちらは普通車で230円かかります。この区間が効果を発揮するのは、3.5kmほど下流に架かる、三郷市と流山市を結ぶ一般道で唯一の橋「流山橋」が渋滞しているときです。交通が集中する流山橋は、“動かない渋滞”に見舞われることがあります。

 三郷料金所スマートICは2008(平成20)年に開設され、2020年には大型車も利用できるようになりました。ちなみに現在、この常磐道の橋と流山橋のあいだに新たな橋「三郷流山橋」を建設中ですが、これは有料の橋になる予定です。

「渋谷〜渋谷」って? 首都高の特に時短効果あるチョイ乗り2区間

 首都高速道路は、均一料金から距離制料金になって以降、チョイ乗り利用の例をウェブサイトで紹介するなどしています。そのなかでも特に時短効果が高い区間を紹介します。

首都高3号線渋谷線:渋谷〜渋谷

 渋谷入口から入り、同じ渋谷出口から出る――ちょっと不思議な感じもしますが、渋谷の出入口は渋谷駅をはさんで東側の金王坂上、西側の道玄坂上の双方にあります。以前は「上り線の入口(西)→出口(東)」しかできませんでしたが、2019年に下り線の入口が金王坂上に新設されたため、「下り線の入口(東)→出口(西)」も利用可能になりました。

 谷間に位置するうえに混雑する渋谷駅周辺を高架橋でパスできるため、首都高速道路によると、一般道で10分のところ、1分まで短縮できるとのこと。同社が紹介する、普通車の下限料金300円で利用できる区間としては、最も時短効果が高いところです。

首都高K1号横羽線・K7横浜北線:浅田→新横浜


首都高K7横浜北線。手前が新横浜側、奥は生麦JCT(画像:首都高速道路)。

 こちらは普通車の下限料金300円では利用できず、490円かかりますが、一般道経由で35分が約10分、実に25分もの短縮になるとされています。

 浅田は京浜工業地帯の目貫通りである産業道路から首都高の横浜方面へ向かう入口です。ここから新横浜までの間は小高い山、かつ住宅街が広がり、一般道ルートは込み入っています。その山を、2017年に開通したK7横浜北線のトンネルでスルーできるのです。