なぜいま大人気? 全国にその数13万6000台! いつかは欲しい大人の隠れ家「キャンピングカー」の魅力とは

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コロナ禍でも右肩上がりの成長を続けるキャンピングカー市場

 近年、快適なキャンプや気ままな車中泊を楽しむ旅のツールとして、キャンピングカーの人気が高まっています。

メルセデス・ベンツをベースにしたキャンピングカー、「ハイマー B-MLI780」の広いベッドルーム。いつかはここで寝てみたい。。

 キャンピングカー人気の高まりは、国内生産台数や売り上げにも反映されています。

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 キャンピングカーメーカーが加盟する日本RV協会の調べでは、国産キャンピングカーの生産は、2011年が3815台だったのに対して、昨年2021年は2倍越えとなる8165台まで拡大。右肩上がりの成長を見せています。

 売上高も新車と中古車を合わせて、2021年は635億4000万円にもなり、対前年比109%となる過去最高を記録しています。いまや国内のキャンピングカー保有台数は、13万6000台にものぼるというから驚きです。

 消費者の関心の高さを示すのが、キャンピングカーイベントの集客です。

 2022年2月に開催された日本最大のキャンピングカーの展示イベント「ジャパンキャンピングカーショー2022」には、4日間で述べ2万3775人が来場。しかし、これはコロナ過の影響を受けたもので、コロナ前となる2019年には、3日間で6万7848人の来場を記録しており、消費者のキャンピングカーへの関心の高さがうかがえます。

 キャンピングカーのニーズ拡大には、近年のアウトドアブームの影響だけでなく、車中泊ブームの後押しもあります。

 日本RV協会によるユーザーアンケートでは、キャンピングカーの用途について回答者の94%が「旅行」と回答。それに次ぐキャンプは、56.2%と半数に留まります。つまり、意外なことにキャンピングカーオーナーの半数は、キャンプには出向いていないのです。

 そんな車中泊旅を楽しむキャンピングカーオーナーたちに魅力を聞くと、多くの人が「フットワークの軽さ」を挙げます。

 大まかな目的地だけを決め、気分や状況に合わせて宿泊地を決めることで、計画や時間に縛られない自由な旅を楽しんでいるというわけです。

 宿泊は車内でおこなえるため、宿泊地としてはRVパークに代表される宿泊可能な有料駐車スペースや車中泊可能な道の駅、宿泊可能な温泉施設などが活用されています。

 また小さな子どもがいる家族は、深夜や早朝に目的地に向かうような、前乗りにも活用されていると聞きます。朝に目的地に到着できていれば、日帰り旅行でもしっかりと遊べるというわけです。

 さらにペットとの旅を楽しむためにキャンピングカーを購入するケースも多いそうで、これはペット同伴可能な宿泊施設が限られることや、ペットを自由に休ませることが出来ることなどが理由のようです。

 またコロナ禍でも売り上げが減少しなかった理由は、三密を避ける移動と休憩が可能なことや家庭や出先でのワーキングスペースの確保、災害時への備えなどが理由で、キャンピングカー需要が落ち込まなかったことが挙げられます。

 さらにコロナ禍では国内外の旅行や消費も制限されるため、経済的にゆとりのある人たちの高額商品であるキャンピングカーへの関心が高まったこともあったようです。

キャンピングカーといってもさまざまな種類がある

 キャンピングカーにはさまざまな種類がありますが、日本で主流なのは、ハイエースなどのワゴン車をベースとしたものです。

アルミボディのアメリカンキャンピングトレーラーも超人気

軽自動車ベースのキャンピングカーも手軽な価格で人気だ

 見た目はワゴン車のままですが、内部にベッドやシンクなどのキャンピングカーの機能を備えた「バンコンバージョン(バンコン)」とトラックやハイエースなどのキャビンを使い、専用のキャンピングカーボディを載せた「キャブコンバージョン(キャブコン)」の2種類がほとんど。

 近年は価格とサイズが手頃な軽自動車ベースのものも増加中です。ボディサイズが小さく価格も現実的な軽キャンピングカーは、1名から2名程度の就寝が基本になります。そのため、釣りやマリンスポーツなどのベース基地や夫婦2人旅、今流行中のおひとり様キャンプ「ソロキャン」などに活用されているようです。

 またキャンピングカーまでの設備は備えず、後部をベッド化できる車中泊仕様のワゴンや軽自動車も人気です。

 こちらは簡単なシートの変更や部品の追加など無改造で就寝スペースを確保できるもので、価格も比較的安価だったり、愛車に部品を追加すること作ることができたりするのもメリット。

 また車中泊仕様が人気なのは、日本の環境の良さも反映されています。道の駅やコンビニ、温泉施設などが充実しているため、トイレ、風呂、食事に困るシーンがほとんどないからです。

 これはキャンピングカーも同様で、いまやキャンプ場でも、住宅と変わらずきれいなトイレが整備されているため、後処理が必要となる車載のトイレは未使用だったり、非装着だったりするほどです。

※ ※ ※

 前出の日本RV協会によれば、近年のキャンピングカー人気を受けて、新規参入する企業も増えているとのこと。

 それでもニーズに対して、キャンピングカーの流通数と生産台数が追い付いていない現状なため、業界の右肩上がりの成長に繋がっているようです。

 これはキャンピングカーを生産するメーカーが中小規模の会社がほとんどで、年間の生産台数にも限りがあることも理由のひとつ。このため、バックオーダーを抱えているケースも多いのです。

 またキャンピングカーの購入検討者の多くが、乗用車の購入よりも時間をかける傾向にあるため、急激な需要減が起きにくいという現状もあるようです。