120年越しの大変貌! 日本初の立体交差駅「折尾」改良大詰め さらば最後の地上ホーム
九州・折尾駅の高架化工事が大詰めを迎え、「最後の地上ホーム」がまもなく廃止されます。もともと高架の鹿児島本線と、地上の筑豊本線、そして両線をつなぐ短絡線が複雑に絡み合っていた駅、まるで迷路のような構造は一新されました。
同じ駅でもほぼ別の駅 最後の地上ホーム廃止
124年前に誕生した「日本初の立体交差駅」、その改良工事が大詰めを迎えています。まもなく、その象徴でもあった「ほぼ別の駅」が廃止され、ひとつの高架駅に統合されます。
折尾の新駅舎と高架線(乗りものニュース編集部撮影)。
改良工事が行われているのは北九州市の西部、JR折尾駅です。もともと、南北に延びる筑豊本線(福北ゆたか線・若松線)と、高架で東西に延びる鹿児島本線が立体交差しており、地上と高架にそれぞれのホームがありました。
これとは別に、筑豊本線の飯塚方面と鹿児島本線の小倉方面をつなぐ短絡線が駅南側の地上を通っており、この短絡線上にも、「鷹見口」と呼ばれる駅舎とホームが存在。本駅舎から150mほど離れ、改札も別々だったこの鷹見口が、2022年3月12日(土)に廃止されます。
もともと、筑豊本線〜鹿児島本線の直通列車は折尾を通過していましたが、JR九州発足後の1988(昭和63)年に鷹見口を設置。「本駅舎と鷹見口の行き来を申告すれば途中下車とみなさない」「黒崎駅まで乗って折尾駅へ折り返してもOK」などの特例が設けられていましたが、これらも廃止されます。
同じ駅でありながら別の駅のような存在だったためか、折尾駅では「3月12日(土)以降は、鹿児島本線や若松線(筑豊本線)へののりかえが、大変便利になります」という文言が掲示されています。
迷路のようだった複雑な駅がスッキリ!
「日本初の立体交差駅」を「全面的な高架駅」にする折尾駅の改良工事は、2000年代に計画され、10年以上の歳月をかけて実施されてきました。鹿児島本線のホーム位置を基準として、同線と筑豊本線、そして短絡線を新設の高架線へ、2017(平成29)年から順次移行してきました。
特に、地上で鹿児島本線と直角に交わっていた筑豊本線は、高架化により線形が大きく変わっています。飯塚方面から北へ延びていた線路は、やや西に膨らむ形で山をトンネルで貫いたのち、鹿児島本線の高架へ取りつき、さらに若松方面へ分かれるという線形に。その分かれ目の位置にホームが設置されています。
すでに新駅舎は2021年から供用が始まっており、2022年3月12日からは、短絡線ホームの代替となる1・2番線ホームの使用が開始されます。これにより、分散していたホームは全て高架駅へ集約。かつては迷路のように通路や階段でつながっていた東口・西口・北口・鷹見口の各出入口も、新駅舎の1か所へ集約されます。
短絡線のA・B乗り場の移設先となる折尾駅1・2番線(奥)。3月12日の供用開始を待つ(乗りものニュース編集部撮影)。
とはいえ、駅周辺ではまだまだ整備工事が続きます。特に駅の南側は筑豊本線の線形が大きく変わったため、今後は地上線やホーム、そして短絡線も撤去されることになります。北九州市の折尾総合整備事務所によると、これらを撤去してからようやく本格的な整備に取り掛かれるとのことで、今後さらに変貌しそうです。
ちなみに駅南側には、かつて西鉄の路面電車「北九州線」のターミナル駅もありました。その駅が入っていたビルや、隣接する商業ビル「オリオンプラザ」も解体され、現在はいかにも「工事中」というような風景が広がっています。
一方で周辺には、西鉄北九州線が筑豊本線の短絡線をまたいでいたレンガ造りのアーチ高架橋が途切れた状態で一部現存しており、これは土木技術史上においてもきわめて貴重な遺構とされています。この地の鉄道の歴史を感じさせる構造物の今後も注目されます。