電車の自動運転 JR香椎線全線で実施へ 宇美〜香椎〜西戸崎 「運転士なし」目指す
いずれは「運転士」という資格が不要になっていきます。
自動運転システムにも改良
JR九州のBEC819系電車「DENCHA」(2017年9月、恵 知仁撮影)。
JR九州は2022年2月22日(火)、福岡県福岡市の香椎線で行われている自動列車運転装置の実証運転について、香椎駅より南側の香椎〜宇美でも実施していくことを発表しました。これにより香椎線25.4kmの全線で自動運転が行われます。
香椎線では2020年12月から西戸崎〜香椎で実証運転を実施。ATS(運行管理システム)区間での自動運転は国内初の取り組みでした。最終的には、「運転士以外の係員が乗務する」形を目標としています。
これまで鉄道の自動運転は、レールに信号電流を流すことで列車の速度や位置を感知する、自動列車制御システム(ATC)を利用して行われてきました。しかし、ローカル線などATCが未整備の区間ではそのハードルが高いため、旧来のシステムであるATS(自動列車停止装置。線路上に点在する機器で速度を感知し、異常時に列車を止める)区間でもテストを行うこととしたのです。
香椎線では実証運転にあわせ、自動運転システム(ATO)を線内に整備。ATOは東京メトロ丸ノ内線やJR東日本の常磐線各駅停車など各地で導入が進んでおり、導入線区では基本的に、運転士は「発車ボタンを押すだけ」となっています。このATOが地下鉄乗り入れのないJR路線で導入されるのは初の事例です。
また、今回の運転区間拡大にあわせ、列車の両数により停車位置が変わる場合にも対応。さらに降雪時の減速モードや、速度制限の手前で加速を抑え省エネを図るなど、システムに改良が加えられています。
全線での実証運転の開始は3月12日(土)から。対象列車の本数も、上下線24本から77本に増加します。