欧米ではミレニアム世代を中心に、お酒は飲めるけれど、あえて飲まない選択をする「ソーバーキュリアス(Sober Curious)」というライフスタイルが急速に広まっている。多様性や個性を尊重する風潮に、飲み過ぎは健康を害すというヘルシー志向も手伝って、世界でのみならず日本でもこの傾向が見て取れる。そんななか、クラフト日本酒と低アルコールカクテルという新たな商品をもって日本のアルコール市場に挑んでいるブランドが存在している。Glossy Hot Liveでは、そんな新しい視点で酒造に携わる2名が登壇し、日本のアルコール市場の未来について語ってもらった。
酒類を自ら製造するには法律上免許が必要で、取得するのは簡単なことではない。Koyoiはパートナー企業と手を組んでカクテルを製造しているが、「いちばん大変だったのがこのパートナー探しだった」と石根氏は振り返る。「日本各地を訪れたが、低アルコールカクテルという新ジャンルに一緒に挑戦してくれる酒蔵がなかなか見つからない状況に。最終的に製造を快諾してくれた老舗の酒蔵と巡り会えたのは約50軒目。なんとかリリースまでこぎつけることができた」。低アルコール市場には大手酒造メーカーをはじめ、さまざまな企業が参入し、いままさに伸びており、Koyoiは伸び代のあるこの市場でのポジション確立を狙っている。「コロナ禍でアルコールをネット購入する人がぐっと増え、自宅でもお酒を楽しむという文化ができつつある。その流れに乗って、顧客とコミュニケーションをしっかり取り、一人でも多くファンを作っていくことがいまは重要。あとはデータドリブンを実行し、手に取りやすい、買いやすい、そして届いてからWOW体験を提供していく。デジタル初のクラフトアルコールメーカーを今後も目指す」。WAKAZEも三軒茶屋に醸造所を作るまでは、他の酒蔵に委託していたが、「伝統的な日本酒を扱っている酒蔵に新しいチャレンジをお願いするのはむずかしかったと聞いている」と戸田氏。清酒を造るために必要な免許を新規に取得するのは厳しく、そんななか活路を海外での展開、そして、米と水で造るお酒をベースとして、比較的に免許が取りやすい区分の新しいお酒造りにシフト。クラフトビール的にお酒を造れる醸造所が誕生した。「WAKAZEが先駆者的存在になっているが、ここ3年くらいでクラフトSAKEを造る醸造所が5、6軒ほど増えた」と、新しいお酒造りの流れができていると戸田氏。それに日本酒の多くはいままで飲食店で流通していたため、パンデミックで市場は大きくダメージを受けた。戸田氏は、「飲食店ではペアリングで食事とお酒を味わってほしいという思いがあるが、緊急事態宣言中、飲食店で自由に飲めなかった期間は、家庭での需要が増えたのは確か。家でも気軽にヘルシーに日本酒が飲めるというメッセージを伝えていきたい」と締めくくる。縮小しつつある日本のアルコール市場全体を明るく盛り上げていきそうな、低アルコールカクテルとクラフト日本酒。ライフスタイルにもマッチする新たなアルコール飲料が、今後どうムーブメントを起こしていくのか、その動向に注目していく。Written by Manami RenNavigator by Mei Kawabata