ドイツ、イタリア両国首相の見守るドルトムント・ベストファーレンシュタディオンで行われた準決勝。14大会連続16回目出場ドイツ対12大会連続16回目出場イタリアによる因縁の一戦は0−0のまま突入した延長後半、2得点を挙げたイタリアが2−0辛勝で決勝へ駒を進めた。

現地オッズ予想通り拮抗した試合は延長後半、ついに決着が付いた。延長後半14分、FWデル・ピエロ(31=ユベントス)による右CKのこぼれ球を拾ったMFピルロ(ACミラン=27)が冷静にキープ、フリーでペナルティエリア内右にいたDFグロッソ(28=パレルモ)にラストパス。今大会絶好調のグロッソがダイレクトで利き足の左インサイドで巻き、ファーサイドのネットを揺らした。駄目押し点は延長後半終了間際、相手ボールを奪った主将DFカンナバーロ(31=ユベントス)の果敢なオーバーラップから、相手陣地左にいたフリーのFWジラルディーノ(23=ACミラン)に繋ぐ。82年スペイン大会優勝時(7月5日)に生まれたジラルディーノが相手DFを引き付けながら中央にドリブル突破、最後は自分の動きで生まれたフリーのペナルティエリア左付近に走りこんだデル・ピエロにゴールをお膳立するラストパス。グロッソのゴールと左右対称となる左のエリア、得意の角度から放たれた右足インサイドのシュートがネットを揺らし勝負あり。

先制点を挙げたグロッソは試合後、TVインタビューで「言葉が見つからない。我々は色々な問題(カルチョ・スキャンダル)と直面していた。グループの結束による勝利だ」と興奮を隠さずに語った。延長前半14分に途中出場して駄目押しゴールを決めたデル・ピエロは「まだ決勝が残っている。強豪との対戦で厳しい展開だったが、我々の執念が相手より勝っていた」と満面の笑顔でインタビューに応えている。開幕前に発覚した「審判操作」「ドーピング隠蔽」「粉飾決済」などのカルチョ・スキャンダルに加え、元代表DFペソット(35=今季限りで引退・現ユベントスマネージャー)の自殺未遂。優勝候補と謳われながらも代表には常に“暗い影”が付きまとっていた。だが、アウェイでの試合を極端に苦手とするカルチョ文化で挙げたこの勝利が選手達の精神的成長を端的に現していた。“実力的には優勝も”と囁かれたイタリアが精神面での弱さと言う弱点を克服した今、24年振り4度目の優勝は不可能では無い。