トイレットペーパーも値上げされる(写真:PIXTA)

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今年も相次ぐ「値上げ」ニュース。20日には、日本製紙クレシアが「クリネックス」「スコッティ」ブランドのティッシュ・トイレットペーパーを4月1日以降、10%以上値上げすると発表した。

すでに、年始から食パンや小麦粉などの価格が10%近く値上がりしており、今後もパスタや醤油などが順次値上げされていく。

「昨年は食用油や小麦粉など、原材料からあまり加工されていない品目が、原材料の高騰に伴い値上げされていました。今年は、徐々に加工度合いの高い商品にまで値上げが波及していくことになるでしょう」

こう話すのは、流通事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さんだ。

「これまでメーカーは、加工度合いが高い商品については原材料費以外の経費(人件費や広告宣伝費など)のやりくりで、値上げを抑えることができていました。しかし、世界的な原材料費の高騰があまりに急激で大幅なため、企業努力が限界を迎えたのです。しかも理由が『世界共通の資材の高騰』なので、企業としても値上げの言い訳がしやすい状況にあります」

加えて、オミクロン株や南太平洋のトンガで起きた海底火山噴火が、原材料を高騰させ、今後のさらなる値上がりにつながる可能性も否定できない。

「オミクロン株の大流行で物流網がさらに混乱する可能性は高いとみます。物流が混乱すればするほど、品薄や物価の上昇を招くというのは、昨年来の流れと同じです。トンガの噴火などの、自然災害もいい影響は与えません。気候変動による不作や海運の混乱などが起これば価格は上がるでしょう。実際に、各社が価格高騰を見越して買いに走る“思惑買い”により、原油の先物価格が上昇しています」

■食料品の値上げはおおむね10%程度に

18日、日本銀行は’22年度の「消費者物価指数」の上昇率が前年比1.1%となる見込みを発表した。消費者物価指数は、家庭で消費するモノの物価の動向を示す数値。平均的な家計ではどれほどの影響を受けるのだろうか?

値上げの波が来る前である’20年12月の2人以上世帯の消費支出・31万5,007円(家計調査より)を基準にして見てみよう。

’21年12月に消費者物価指数は0.5%上昇した。’22年、そこからさらに1.1%物価が上がると、「’22年の同世帯の消費支出」は「32万64円」になると考えられる。つまり、’20年に比べて今年は、同じ買い物をするだけで月約5,057円も多く支払う必要があるのだ。

今後、冒頭にあげたものに加えて、どのような商品が値上がりするのだろうか。2〜4月に値上げされる商品をリストアップした。

■この春値上げされる26商品

【パスタ・パスタソース】

2月1日からニップン、日清フーズが約2〜9.5%値上げ

【冷凍食品】

2月1日から味の素冷凍食品、ニッスイ、日清フーズ、マルハニチロ、日本ハムが約2〜23%値上げ
3月1日から日清食品冷凍が冷凍麺製品を6〜13%値上げ
3月1日からニチレイフーズが約8〜15%値上げ

【ちくわなど魚肉加工品】

2月1日からニッスイが約5〜13%値上げ
2月28日から紀文が平均約8%値上げ

【ハム・ソーセージ】

2月1日から日本ハムが5〜12%値上げ
3月1日から伊藤ハム、丸大食品が4〜15%値上げ

【食用油】

2月1日からJ-オイルミルズが1kg当たり40円以上値上げ

【ジャム】

2月1日からアヲハタが3〜7%値上げ

【ポテトチップス】

2月1日から湖池屋が6〜11%値上げ

【アルミホイル】

2月1日から東洋アルミエコー プロダクツが15%以上値上げ

【醤油・豆乳】

2月16日キッコーマンが醤油、豆乳を約4〜10%値上げ
3月1日からヤマサ醤油が醤油を約4〜10%値上げ
4月1日からマルサンアイが豆乳製品を約4〜8%値上げ

【マヨネーズ】

3月1日から味の素、キユーピーが約2〜10%値上げ

【チルド麺】

3月1日から日清食品チルドが6〜12%値上げ

【ドーナツ】

3月1日からミスタードーナツが税別価格を10〜50円値上げ

【タイヤ】

3月1日から住友ゴム工業が約10%値上げ
4月1日からブリヂストン、横浜ゴムが7〜10%値上げ

【コーヒー】

3月2日から味の素AGFが約20%値上げ

【ティッシュペーパー・トイレットペーパー】

3月22日から大王製紙が15%以上値上げ
4月1日から日本製紙クレシアが10%以上値上げ

【羽田・大阪・那覇空港の旅客施設利用料】

3月中に国内線で大人(12歳以上)1人あたり80〜120円値上げ

【味噌】

4月1日からハナマルキが5〜13%値上げ

【ドレッシング】

4月1日から日清オイリオ、ピエトロが3〜13%値上げ

【ケチャップ】

4月1日からカゴメが3〜9%値上げ

【ウイスキー】

4月1日からサントリーが5〜28%値上げ

【照明器具・蛍光灯】

4月1日からPanasonicが5〜30%値上げ

【バス・トイレ】

4月1日からLIXILが最大39%値上げ

【壁紙・カーテン】

4月1日からサンゲツが18〜24%値上げ

【首都高速道路通行料金】

4月1日から現状最大1,320円を1,950円に値上げ

【保険料】

4月1日から日本生命が平均1%値上げ

【グリーン車料金】

今春からJR東日本が約30%値上げ

「今年の特徴は前述したように、加工度合いが高い品目も値上げが実施されていくこと。2月から値上げが始まる各社の冷凍食品や、3月のドーナツ、4月のウイスキーなどは加工度合いが高い商品にあたります」

リストを見ると、食品に関しては、おおむね10%前後の値上げ幅であることがわかる。

一方で、「照明器具・蛍光灯」や「バス・トイレ」「壁紙・カーテン」などの項目は、値上げ幅の大きさが目立つが……。

「これは、各ジャンルの購入傾向が関係しているといえます。食品は日々購入する必需品のようなもの。値上げしても急にメーカーの売り上げが半減するなどということはほとんどありません。しかし、家電や住宅に関する商品は毎日購入するものではなく単価も高いため、値上がりによって買ってもらえなくなる可能性が高くなります。そのため、販売個数が減っても利益が極端に減少しないように、あらかじめ値上げ幅を大きくする必要があるんです」

値上がりがわかっている商品は、計画的に買い物をしたほうがよさそうだ。しかし、給料の値上がりは一体いつになるのだろうかーー。