「旅の途中、親切な地元民が家に泊めてくれた。布団に入りしばらくすると、ふすまの奥から視線を感じ...」(神奈川県・50代男性)
Jタウンネットの人気コーナー「旅先いい話」には日々、読者の皆さんの懐かしく優しい思い出たちが寄せられている。
編集部でいつものようにお便りに目を通してほっこりしていたら、いい話が一転、まさかの展開になってしまった1通が......。
神奈川県在住の読者・Kさん(仮名、50代男性)の青春時代のエピソードである。
当時15歳だったKさんは、自転車で富士五湖を目指し箱根経由で東京へと戻ってくる旅に出発した。
野宿を予定していたが、偶然知り合った女性の好意で家に泊めてもらえることに。
しかし、そこで見始めたテレビ番組の内容があまりにもタイミング悪く――。
テレビ「日本昔ばなし」の内容は...
私が日本一周を夢見る少年だった頃、サイクリングで旅をしたときの思い出です。
15歳の夏休み、富士五湖を回り、箱根経由で東京に戻るスケジュールを立て、ワクワクして出発しました。
初日は野宿の予定で、相模湖の近くから山中湖に続く道志みちで泊まる準備をしていたら、近所のお母さんに話しかけられました。今夜は雨が降ると言われ、その晩はお母さんのお宅に泊めて頂くことに。
たしか、おばあさんと可愛い小学生の男の子と女の子が住んでいて、夜はカレーライスを頂きました。とても美味しかったのを覚えています。
しかし、その晩のテレビでやっていた日本昔ばなしが問題でした。
それは「旅人が盗っ人だった」と言う皮肉な内容で、私はとても居心地が良い状態ではなくなってしまったのです。今では笑い話ですが、本当に間が悪かったです。
ふすまの向こうから視線を感じる...
その晩は言われた通り大雨だったので、広い部屋に泊めて頂きとても助かりましたが......。
布団に入りしばらくすると、ふすまが開いたり閉まったり......なんだか違和感が。
そちらを見るとこの家の男の子と女の子が、珍しい人間――私のほうを覗いていました。「監視してんのかなあ?」とも思いました。きっとテレビのせいですね。
そして豪雨の中、どうにか寝つこうとすると、今度はボーンボーンと大きな音が。そのお宅には立派なボンボン時計があったのです。
鳴り響く「ボーンボーン」で寝つけなかったのを覚えています。
翌日は朝食も用意して頂いたのですが、たいへん申し訳ないことにお礼も挨拶もせず出発してしまいました。
大人になってから何度か、あのときお世話になったお礼をしたくてお宅を探しに行きました。家のイメージは脳裏にあるのですが、舗装道路になっていて全く場所が分からず、挨拶もできず帰ってきてしまいました。
もしお会いできる機会があれば、当時の感謝の気持ちをお伝えしたいと思っています。本当にお世話になり、ありがとうございました。
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
たまたま出会ったお母さんのお陰で、Kさんが豪雨の中、野宿をせずに済んで良かった。それにしても、気まずい雰囲気の中お礼も挨拶もせずに出発したことで、ますます「盗人っぽさ」が増してしまったのではないだろうか......当時15歳だった少年は、居心地の悪さでそれどころではなかったのだろう。
皆さんも、旅先でKさんのように思いがけない経験をしたことはあるだろうか。
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