この記事をまとめると

■一口に運転支援システムと言っても性能は車種によって異なる

■今回は運転支援システムが充実したコンパクトモデルを紹介

■日産ノート、キックス、トヨタ・ヤリスクロスの3台を挙げた

運転支援システムが充実したコンパクトモデルは意外と少ない

 運転支援システムと一言で言っても、そのグレードは自動運転のレベルで表現されるもので、将来的には自動運転につながる技術の一端を搭載しているもの、と言い表すことが出来ます。

 この自動運転のレベルは5段階で、そのうちコンパクトカーに搭載されているものはレベル1の「運転支援」で、前走車に追従可能なアダプティブクルーズコントロール(ACC)や、車線内走行を維持するレーンキープコントロールなど、加減速または操舵をアシストするどちらか一方の機能を搭載しているタイプがこれにあたります。

 ACCは完全停止と停止状態保持が出来るものと、車速30km/h前後までの減速のみでそれより低い速度の領域では稼働しないものの2種類に大別できます。その違いはパーキングブレーキの構造で、電磁式パーキングブレーキでは完全停止と停止状態保持が出来ますがそれ以外では完全停止が出来ない、または停止状態の保持が出来ません。

 レーンキープコントロールは走行中のクルマを車線の中に保持してくれる機能ですが、これはカメラを使って車線を検知しているのでカメラの性能が重要となります。

 これらを組み合わせて考えると、運転支援システムが充実したコンパクトモデルは意外と少ないことがわかります。そのなかでも太鼓判と言える3選をお届けしましょう。

1)日産ノート

 さすが日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞車と言わざるを得ない、運転支援技術てんこ盛りなのが日産ノートです。まず高速道路限定での利用となりますが、車線変更をしなければひたすら車線追従してくれるステアリングアシストと、前後のクルマの状態から最適な車速を導き出して走行してくれるアダプティブクルーズコントロールを組み合わせたプロパイロットが、コンパクトカーで随一の性能を誇ります。

 またノートの駆動方式であるe-POWERシステムは、エンジンで発電はしていますが駆動自体は電気モーターで行われ、そのことが運転支援システムの制御にもいい影響を与えています。運転支援システムの制御は全て電気信号で行われます。ここに普通のエンジンとドライブシャフトを使った駆動方式は、電気信号を機械的な制御に変換するため、電気モーターによる駆動に比べてタイムラグが発生します。つまりノートのe-POWERは運転支援システムの制御をシームレスに行う点が有利と言えるのです。

SUVのキックスやヤリスクロスもおすすめ!

2)日産キックス

 お勧めする理由は日産ノートと同じです。このキックスは運転支援システムやe-POWERシステムがノートと共通なのですが、スタイルはコンパクトSUVとなっていて、キックスとノートはライフスタイルによって棲み分けがなされているといってもいいでしょう。

3)トヨタ・ヤリスクロス

 トヨタのコンパクトカーの中で中心的な存在のヤリスシリーズ。その中で完全停止と停止状態保持が可能なアダプティブクルーズコントロール(ACC)を持つ5ドアがヤリスクロスです。

 普通のヤリスのACCは停止状態保持が出来ません。またGRヤリスのなかで完全停止と停止状態保持が出来るACCを持つ1.5リッターのRSは、リヤシートが狭く3ドアハッチバックとなるのでコンパクトカーとしてはお勧めできません。

 ヤリスクロスはSUVとしても使い勝手がよく、バックドアがハンズフリーだったり、ハイブリッド車を選べば100V1500Wのコンセントが使えるなどの魅力があります。

 ACCは優秀と言えますがレーンキープアシストは日産の2車種ほど積極的に介入してこず、ステアリングは自分で操作するもの、という意志を強く感じるものとなっています。

 コンパクトカークラスだけを見ると、運転支援システムで先進を走っているのは日産というイメージが強いようです。もっと高額な車種の運転支援システムであれば日産スカイラインやトヨタMIRAI、SUBARUレヴォーグなどでは手放し運転が出来る自動運転レベル2、ホンダ・レジェンドではよそ見でも対応可能なレベル3となっており、上級車種から先に採用されて、そこから徐々にコンパクトカークラスに技術が下りてくるといったところです。

 なお国産の新型車は2021年11月から、国産の継続生産車は2025年12月からレベル1相当の運転支援システム、もしくは最低でも衝突被害軽減ブレーキを搭載することが義務付けられています。