アメリカの大手半導体メーカー・Intelが、サプライヤーに対して「新疆ウイグル自治区の人々を強制労働させて作られた製品の不使用」を求める書簡を送った結果、中国のメディアや消費者からバッシングを受けたと報じられています。

US chip maker Intel triggers Chinese media backlash after telling suppliers to avoid Xinjiang labour | South China Morning Post

https://www.scmp.com/tech/big-tech/article/3160698/us-chip-maker-intel-triggers-chinese-media-backlash-after-telling

Intel facing China backlash after Xinjiang statement | Reuters

https://www.reuters.com/article/china-xinjiang-intel/intel-facing-china-backlash-after-xinjiang-statement-idINL1N2T800V

Intel faces backlash in China over stance on Xinjiang - Protocol - The people, power and politics of tech

https://www.protocol.com/bulletins/intel-china-backlash-xinjiang

中国で新疆ウイグル自治区の人々を対象とした監視や拷問、強制労働など厳しい弾圧が行われていることを受けて、アメリカの連邦議会上院は2021年12月16日に、ウイグル人の強制労働に関与している企業との取引を禁止する「ウイグル強制労働防止法」を全会一致で可決しました。しかし、この問題に対するアメリカの大企業の足並みはそろっておらず、例えばAppleやナイキ、コカ・コーラなどは以前、同法に反対するロビー活動を行ったことが指摘されています。

Appleは「ウイグル人強制労働防止法」に反対するロビー活動を展開している - GIGAZINE



by Andrew Guan

中国における人権侵害の懸念が高まる中、Intelは12月に英語・日本語・マレー語・中国語・ヘブライ語で公開したサプライヤー向けの書簡の中で、「新疆ウイグル自治区の労働力、ならびに調達品、サービスを使用しないよう徹底することが求められます」と述べて、同社のサプライチェーンから新疆ウイグル自治区での労働搾取により作られた製品やサービスを排除する方針を鮮明に打ち出しました。



Intelの発表に対し、中国のメディアは猛反発。中国のニュースポータルのGuancha.cnが「これは明らかに中国市場に対する最大級の犯罪です」と報じたほか、政府系メディアの環球時報は社説の中でIntelが中国市場で2020年における総収入の約26%を稼いだと指摘した上で、「Intelは餌をやる手にかみついた」と批判しました。

こうした報道に反応した中国のネットユーザーは、SNSのWeiboでIntel製品のボイコットを呼びかけ、この問題に関連したハッシュタグは2億7000万回以上ものアクセスを記録しました。これを受けて、Intel Coreのブランドアンバサダーである歌手のWang Junkaiの事務所は即日「Intelとのすべての契約を打ち切ります」と発表。Wang Junkai自身もWeiboに「国益がなにより優先です」と投稿しました。

この件について、中国の日刊英字紙・South China Morning PostやロイターはIntelに問い合わせを行いましたが、記事作成時点ではコメントを得られていないとのことです。