60代は小さく暮らす。ミニマルな生活に変えてよかった3つのこと
年齢を重ねて、体力的に無理がきかなくなった、という人も多いですよね。また、体力面だけではなく、お金のことなど老後の心配は尽きません。どうしたら心穏やかな老後を過ごせるのだろう? と考えている人も多いのではないでしょうか。そこで、50代から本格的にミニマルな生活を始めたという、現在60代・カナダ在住のミニマリストでブロガーの筆子さんに、60代以降の人こそミニマルな暮らしをすべき理由を教えてもらいました。
60代こそミニマルな暮らしをすべき3つの理由
シンプルライフはどんな世代の人にも恩恵がありますが、とくに60代以降の人におすすめです。なぜなら、ミニマルな暮らしは老後の生活をとても明るくしてくれるから。
年齢を重ねると、肉体的に衰え、若いときのように無理がききません。さっさと動くことができない上に、疲れやすくなります。さらに、病気にもなりやすいし、どこかに痛みが出ることもあるでしょう。
こんなふうに考えると、年を取ってからの生活はお先真っ暗な気がします。しかし、ミニマリズムを取り入れてみることで、とても明るい生活になります。
●1.心身ともにラクになる
必要なものだけを持つミニマルな暮らしは、心身のストレスを軽減します。
いったんものを持つと、それを管理する手間が生じます。所持品が多ければ多いほど、手入れやメンテナンスをしなければならないものが増えるため、考えることや、やるべきことも増え、心身ともに疲れてしまいます。
私自身、ものを減らしてみて分かりましたが、ものが多いと散らかりやすく、あとの片づけが大変です。
たとえば、食器をたくさん持っていると、いろいろな食器を使ってしまい、洗い物が増えます。さらに、たとえ洗わずに流しに放置しても、次の食事で使うものに困りません。ものがたくさんあると、出しっぱなしにしやすいのです。
同じことが洋服にも言えます。洋服がたくさんあると、どれを着ようか毎回迷ってしまいます。また、洗濯して取り込んだあとにすぐ畳まなくても、次に着る服があるので、部屋の片隅に洗濯物をためても平気になります。
必要な分だけを持って満遍なく使うようにすれば、家事がたまらず、重労働をせずにすみます。
ものが少ないと、探しものも減ります。必要なものだけが、取り出しやすい場所にちゃんとおさまっているシンプルな環境を想像してみてください。見た目もスッキリして、気分がいいし、家事の負担が少なく、肉体的にも精神的にもとてもラクです。
●2.お金が残る
楽しい老後を送るのに、どうしてもクリアしなければならないのは、お金の問題です。老後は、現役時代のような高い給料は見込めないので、節約をしたいところです。この点でも、ミニマルライフが役立ちます。
ミニマルライフが板についてくると、余計な買い物をしなくなるので、大幅に節約できます。ものをどんどん買って消費する生活を続けていると、人ひとりが暮らすのに必要なものは、私たちが思っているよりずっと少ない、ということに気づくことができません。
すべてが大事で、買わなければならないもの、消費しなければならないもののように思えます。しかし、必要なものだけを持つ生活を試みると、大事だと思っていたものは、べつになくてもよかった、と気づきます。
私も若いころは、たくさん服を持っていました。数を数えたことはありませんが、洋服ダンスひとつにはおさまらず、ファンシーケースやベッド下専用の収納ボックス、母の部屋にある押入れにもしまっていました。
どれも着るつもりで買いましたが、その多くがたんすの肥やしと化しました。それなのに、季節が変わるとまた新しい服を買っていたのです。
ミニマリストになって、ワードローブを20着未満にしたら、これで充分暮らせることに気づきました。私は、ずっと家で仕事をしていたため、会社勤めや、接客の仕事をしている人は、もっと服がいるかもしれません。
しかし、60代以降は通常、もうバリバリとは働かないので、そんなに服はいりませんよね? 若い頃のような消費生活を続けていると、そのことに気づかないのです。
ミニマルライフを目指すと、「ああ、こんなにいらない」と気づき、消費する量がぐんと減り、ものに使うお金も少なくなります。
手持ちのものが減ると、買い換える分も減るし、管理に使うお金も減ります。
さらに、必要なものについて考える習慣がつくので、本当にいるものや、体験にお金を使うようになります。すると、浪費が減り、買い物の満足度があがるのです。
●3.楽しい
ミニマリストになって、いちばんよかったと思うのは、情緒が安定し、いつも心穏やかに暮らせるようになったことです。
毎日、楽しいのです。
所持品を減らすと、ものの手入れをしなくてすむし、プチ倉庫のような家に住まなくてもよいのです。さらに、お金の心配も減るので、身軽になってストレスも少なくなります。それはとても自由な気分です。
自分にとって大事なものや、意味のあることを選択するようになるので、より自分の価値観に沿った暮らしになっていきます。ミニマルライフは、だれかの期待に合わせて動くのではなく、自分のしたいことをする暮らしです。
それに、ささやかなことに楽しみや喜びを見いだせます。毎朝、自然のなかをのんびりスロージョギングしていると、気分がいいし、とくに理由がなくても、心が弾みます。
レストランで豪華なディナーを食べなくても、自分でちょっとしたものをつくって食べるだけで、おいしくて、うれしい。
私は料理が苦手なので、本格的なレシピはあまり参考にしません。たまたまだれかが、ブログにメモ書きのように書いているレシピや、YouTubeで軽く発信されている料理のつくり方を見て、気が向いたらつくっていますが、上手くできるととてもハッピーです。たとえ失敗しても、次はこんなふうにしてつくってみようと思い、それはそれで楽しいのです。
こうしたシンプルな楽しみを見つけられるのは、ミニマルライフの醍醐味です。生活の規模を縮小せざるを得ない老後には、ささやかな楽しみを見つけるスキルは大いに役立ちます。
ミニマルな暮らしは自分自身への恩恵もありますが、一方で残された人への愛ある行動であるとも言えます。ものだらけの実家の片づけで苦労している人は本当にたくさんいるので、残された人のことも考えてミニマルな暮らしにシフトしていきましょう。