50歳、断捨離で人生をリセット。「本当に必要なもの」だけ残すコツ
コミックエッセイ『1ヵ月でいらないモノ8割捨てられた! 私の断捨離』(講談社)の著者でイラストレーターのなとみみわさん。「人生の第2章は絶対に自分を幸せにしたい」と断捨離を決意したなとみさんに、ご自身が実感した「断捨離の極意」を教えてもらいました。
50歳で断捨離。『自分軸』で考えて幸せを手に入れる!
イラストレーターのなとみみわさんは、子どもが独立し、介護していた義母を看取ったあと、49歳で離婚、おひとりさまに。
「自由になりたくて覚悟を決めて離婚しまたが、実際に一人になると寂しくて…。時間が空くのが怖くて友達と会う回数を増やしたり、仕事もパンパンに詰め込んだりと、あえて毎日を忙しくするように。そうすると、家はどんどん汚れ、ご飯もつくらなくなっていました」となとみさん。
「部屋が散らかっていても死にはしないけど、心が少しずつ死んでいく気がする」と思っていたころ、一般社団法人断捨離代表・やましたひでこさんと出会い、断捨離の扉を開けることに。
●モノを捨てられず、小さい頃から探し物ばかり…
なとみさんが断捨離を始める前は、部屋がモノで溢れていたそう。
「人からもらったモノを捨てられないし、小さい頃から探し物ばかりしていました。部屋は雑誌や書類が積みあがり、脱いだ服も山積みで寝る場所がない有様で。しまう場所に迷ったら入れておく“とりあえずBOX”が6個もあったんです。
いざ片づけ始めると“もったいない”“思い出があるから捨てられない”となってしまい、最後は“めんどくさい、まっいいか〜”と思考停止してしまうタイプでした」
●物事を「自分軸」で考える習慣をつければ、捨てられる
どうして、なとみさんのように「モノを捨てる」ことに悩んでしまうのでしょうか?
断捨離代表のやましたひでこさん曰く、「断捨離はただ捨てるのではなく、今の自分に必要か必要じゃないかを見極める力を育てること」なのだそう。
「まだ使えるモノを捨てるのはもったいない、いつか使える、誰かが使える…と、モノ軸で考えてしまうと捨てられません。このモノ軸から『自分軸』で物事を見るように変えられると、“これは今の自分に必要? ふさわしい? 心地がいい?”と自分中心に考えられて、断捨離ができるようになります」とやましたさん。
なとみさんは、「自分軸って最初はピンとこなくて。でも“これは今の自分に必要?”と考えることを絶えず続けていくと、スーパーに買い物に行っても“このパンを食べて私は幸せなのか”と一瞬でも考えるように。そうすると、自分にとって必要かどうかを感覚的に考える実感がわいてきて、“あ、自分軸ってこれのことか!”と分かるようになりました」
●考えるよりまず行動!ちょこちょこ断捨離の1か月
なとみさんは、モノを「自分軸」で見るようにしたら、1か月でデスク、キッチン、クローゼット、玄関、収納と8割の断捨離ができたそう。
「『靴下1足、ごみ1個拾ったところから断捨離はスタートする』とやましたさんに言われて、帰宅後すぐにやってみました。今日はプリンターまわり、今日はデスクの引き出し全部とか、この場所だけ今日はやろう! と決めてスタート。
断捨離に自信がついてきたら、キッチンやクローゼットなど広いスペースに挑戦しました。引っ越し祝いでもらったホットプレート、ビアサーバー、ソーダストリームは友人に譲ったり、使っていないホットサンドメーカーも処分したり。
キッチンの断捨離が終わったときは、使いたい鍋がすぐとれて“探す”アクションがなくなるって快適! と感動しました」
●「自分を大切にする」ことは、自分が過ごす空間を快適にすること
モノを探すことが当たり前だった生活から、探さない生活の快適さを知ったなとみさんは、「空間に“ゆとり”が生まれると、心にも“ゆとり”が生まれる」というやましたさんの言葉を実感して、無性に仕事をしたくなったそう。
「挫折もあったし、部屋もすぐ散らかるし、ダメだなと思うことも。なんでこんなの買ったんだろうと後悔しながらも、自分軸で判断して捨てたことで、ネット通販のポチリ魔だった買い物の仕方は確実に変わりました。
モノをとっておけば大切しているか、というとそうでもありません。“自分を大切にすることは、自分が過ごす空間を快適にすること”と考えれば、捨てることにそんなに罪悪感を持つ必要はない、と思うようになったのも大きな変化です。
1か月断捨離を続けたことで基礎力はつき、一回散らかってもまたすぐに片づけられるようになりました」
●断捨離は筋トレと一緒。「選択力」と「決断力」を日々鍛える
「断捨離って大掃除のようなイメージでしたが、毎日続けることが大切だった」となとみさん。
やましたさん曰く、「片づけなきゃ、捨てなきゃという考えに縛られ過ぎるとストレスになりますが、毎日コツコツ筋トレすれば、トレーニングした分だけ筋肉がついてレベルアップするのと一緒。毎日少しずつ自分軸で考える“選択”と“決断”のトレーニングをしていると、今の自分に必要か必要じゃないかの見極める力がついていきます。
この力が育つと、モノだけじゃなくて、考え方や人間関係も本当に必要なモノだけ残して、あとは全部手放せるようになり、心と体もすっごく軽くなります。
メソッドやコツにとらわれずに、“好きなもの”と“ないと困るもの”だけを残して、好きなところから断捨離を始めてみましょう」
●断捨離を続けることは、小さな幸せの積み重ねのようなもの
最後に、断捨離で今後の暮らしが快適になるイメージを持てるようになったのでしょうか。
「将来についてまだ迷いや不安がいっぱいありますが、“幸せになりたい”という気持ちは“自分から逃げるな”ということでもあるのだと、最近思うようになりました。
自分軸で考え続けるのは、自分の人生を幸せにするための方法のひとつで、断捨離はその手段。人生に迷っているときこそ、断捨離をやってみると自分と向き合うことになります。そうして、自分が大切なものに気がつけば、本当に欲しいものもちゃんと手に入れることができる。私は頑張って稼いだお金も限りある時間も、自分の幸せのためにきちんと使おうと思いました」
子どもが独立して、残りの人生を考え始める50歳前後は断捨離のよいタイミングかもしれません。未来の幸せのために、まずは自分のスペースから断捨離をはじめてみませんか?