家を傷める愛犬の「におい、汚れ、いたずら」、防ぐには?
犬の室内飼育をしていると、とくに悩まされるのは「におい」「汚れ」「いたずら」の3つの問題です。この「三大困りごと」の対策をなにもしないままでいると、家が汚れるだけでなく、傷んでしまうことも。その原因と、解決法を『愛犬のしつけ+15のトレーニング』の著者で、ドッグライフアドバイザーでもあるマルヤマミエコさんに聞きました。
皮膚や被毛のにおいは、月1〜2回のシャンプーで解消
犬と暮らし始めると、室内のペット臭が気になってくるものです。まずは、においの原因と対策について解説します。
長期間に渡って愛犬をシャンプーせずにいると、皮脂が酸化して犬の身体からイヤなにおいがしてきます。だからといって、あまり頻繁にシャンプーをし過ぎると、被毛を守るために必要な皮脂を洗い流してしまうことになります。ですから、月に1〜2回を目安にシャンプーをしてあげてください。
人間用のシャンプー剤は、犬の皮膚や被毛にダメージを及ぼす可能性があるのでNGです。必ず犬用のシャンプー剤を使用してください。
愛犬のシャンプーを家でするのが大変な場合は、お金はかかりますが、トリミング部門がある動物病院やトリミングサロン行ってください。毛穴の奥の汚れまでしっかり取り除いてくれる、ミクロの泡が出る装置を取り入れているところもあります。
耳アカ、口臭…身体の部位のにおいの原因と対策
足裏の汚れ、耳アカ、おしりの被毛にこびりついた排泄物、口の周りの被毛についた食べ物のカス、口臭などが、においの原因になることがあります。
●足裏の汚れ
犬は裸足で歩いているので、どうしても足裏が汚れてしまいます。犬が散歩から帰宅したら、まずは足裏をチェックしましょう。
肉球の汚れは、水で濡らしてかたく絞ったタオルやペット用のウエットティッシュでふいてあげてください。肉球の間の被毛に汚れがこびりついている場合は、ぬるま湯で汚れをやわらかくすると取りやすくなります。
●耳アカ
犬も私たち人間と同じように、耳アカがたまります。とくに垂れ耳の犬種は耳のトラブルが多く、耳の病気がにおいの元になっていることも。耳からイヤなにおいがしたら、動物病院で診察を受けさせてください。
犬の耳掃除を家で行う場合は、市販の耳掃除用の液体クリーナーをコットンに染み込ませ、耳介をやさしくふいて汚れを落としましょう。
耳アカを取り除くために綿棒を使用する人がいますが、あまりいいことではありません。耳アカが耳の奥に入ったり、耳自体を傷めたりすることがあるので、綿棒は使用しないでください。
●口臭
口臭の予防は、なんといっても歯みがきです。ただ、子犬のときから、朝晩の食事のあとの歯みがきを習慣にしておかないと、犬がすんなりと受け入れてくれないケースも。
その場合は動物病院で相談して、歯みがき指導を受けることをおすすめします。
●口の周りの汚れ
長毛で垂れ耳の犬の場合、耳の被毛に食べ物のカスがついてしまい、それがにおいの原因になることがあります。
ダックスフントやビーグル、アメリカンコッカースパニエルなど垂れ耳の犬が食事をする際は、犬用スヌードを使用して耳を食べ物の汚れから守りましょう。
また、口の周りの被毛についた食べカスは、悪臭予防のためにも、食後すぐにふき取ってください。
●排泄物のこびりつき
被毛に付着した排泄物は、においの元になりやすいです。散歩や外出から帰宅したら、お尻の周りに排泄物がこびりついていないか確認しましょう。
もし、被毛に排泄物がこびりついていている場合は無理に取らず、ぬるま湯でやわらかくしてからふき取ってください。
ペットのにおい機能つきの空気清浄機が有効
室内のにおいが気になる場合は、空気清浄機を使用するのがおすすめです。ただ、ひと口に空気清浄機といっても種類はさまざま。できればペットのにおいに特化した機能がついている、機種を選ぶといいでしょう。
空気清浄機ほどの効果は期待できませんが、消臭効果がある備長炭や竹炭を、室内やペットグッズケースなどに入れておくのもおすすめです。
家を汚す原因で多いのは、抜け毛とトイレの失敗
抜け毛対策は、毎日のブラッシングを習慣にすることが大切です。ブラッシングで抜け毛を取り除けば、室内に落ちる抜け毛の量を減らすことができます。
犬のブラシには、ピンブラシ、コーム、スリッカーブラシ、ラバーブラシ、グローブブラシなどがあります。愛犬の被毛の長さや種類、抜ける量などに合わせて、ブラシを選びましょう。
犬の換毛期には、スリッカーブラシ(抜け毛や毛玉が取りやすいように、ピンがくの字になったブラシ)やラバーブラシ(ゴム製のやわらかいブラシ)などを使用するのがおすすめです。
部屋に落ちている抜け毛の処理も、悩みのタネ。とくにソファや毛足の長いじゅうたんにからみついた犬の抜け毛は、掃除機ではなかなか吸い取りにくいもの。そのような場合は、ペットショップや100円ショップで販売されている「抜け毛取りクリーナー」を使用してみましょう。
使い方は簡単。ソファやじゅうたんの上をクリーナーでなでるだけで、犬の抜け毛を取り除くことができます。
犬は散歩やドッグランで遊んでいると草むらに入ったり、土の上で寝転がることもあります。草や土で汚れた身体のままで犬が家の中に入ったら、室内のあちこちが汚れてしまいます。
愛犬が散歩やドッグランから帰宅したら、水で濡らしてかたく絞ったタオルやペット用のウエットシートなどで、足裏や身体をふいてあげること。とくに長毛の犬は、土や草の汚れが被毛につきやすいので、ふき忘れがないかしっかり確認を。
犬の体の大きさに対してトイレが小さいと、前足はトイレに入っているのに下半身はトイレの外にでてしまうことがあります。また、不安やストレスが原因でトイレを失敗してしまうケースも。
トイレは犬の身体に対して大きめのものを選びましょう。トイレの場所に苦手意識がある場合は、置き場所を変えてみてください。
なかにはトイレの素材やペットシーツの使い心地が悪くて、排泄に失敗しているというケースもあります。置き場所を変えてもダメな場合は、別のものに変更してください。
愛犬がトイレ以外の場所で粗相をしてしまった場合は、騒いだり怒ったりせず、無言で片づけましょう。というのも、犬が飼い主の反応して欲しくて粗相していることもあるからです。あくまでも「なにごともなかったように」片づけることが大切です。
犬のいたずらは工夫としつけで防ごう
帰宅したら、キッチンの生ゴミや、リビングのティッシュがビリビリに破られて散乱していた、というような経験、犬の飼い主なら一度や二度はあるはず。
そのようなことが続くようなら、誤飲や誤食の心配もあるので、キッチンの出入り口に柵を取りつけるなどの対策が必要です。
部屋のゴミ箱も犬が届かないところに置き、ティッシュも高いところに上げておくのも忘れないでください。
家具をかんでしまう犬もいます。家具をかまないようにするには、カバーや柵を取りつける以外に、なめると苦い味がするペットのいたずら防止用のスプレーやチューブタイプを使用するのも方法のひとつです。
また、犬が家具をかもうとしたら犬が苦手な音を立て、「家具をかもうとする=いやな音がする」と理解させて、家具をかまなくさせるしつけ法もあります。
ただし、犬によっては、イヤな音を聞かせることが大きなストレスになる場合も。もし、この方法を実践する場合は、必ずドッグトレーナーなどの専門家の指示のもとで行うようにしてください。
困りごとの原因を知れば、対策はきっと見つかります。大切な家で、愛犬と心地よく暮らせるように、日頃から心がけましょう。