魔法瓶で失敗しらず!「黒豆」の超簡単な炊き方【神谷よしえさんの「12カ月の手仕事」#6】
12月の手仕事:魔法瓶を使って簡単「黒豆」作り
おせち料理のひと品として、黒豆を手作りされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、やわらかくなるまで煮込む必要があるため、皮が破けてしまったり焦がしてしまったりと失敗することも多いと聞きます。時間がかかるのに上手にできないと、悲しくなってしまいますよね。
「おせちのなかでも黒豆は人気のひと品。『まめに暮らす』という意味の縁起物として、黒豆は欠かさず入れるという方も多いですよね。
私は、黒豆がお店に並び始めると年の瀬を感じます。黒豆を炊いて、あれをやって、これをやって……ソワソワと年末モードになってしまいますね。でも、黒豆をいっぺんにたくさん炊いて人にお裾分けをするととても喜ばれるので、楽しい季節でもあります。良質の豆で炊いたときの艶感としっとりした味わいは格別です。
今回は、おせちに欠かせない黒豆を魔法瓶を使って炊く方法をご紹介します。びっくりするくらい簡単で、きれいにできますよ!」
火にかける時間は10分!黒豆煮のレシピ
調理時間:約2日(火にかける時間は約10分)
保存期間:目安は1週間~1カ月
「黒豆は温度が急激に下がると、皮が割れたりシワが寄ったりときれいな仕上がりになりません。魔法瓶に入れておくと保温効果で温度がじんわり下がっていくのですが、この間に豆がやわらかくなるんです。
魔法瓶は、普段使っているもので大丈夫。最近のものは、高性能で冷めにくくてとても便利ですよね。使い古したものや冷めやすくなった魔法瓶は、途中で温めなおせば十分使えます。広口のものなら、豆の出し入れがラクにできてさらに使いやすいですよ。
冷蔵であれば、一週間ほど保存が可能です。冷凍保存する場合はチャック付き袋に入れてしっかり密封することで1カ月保存できます。冷凍すると風味が落ちてしまうので、早めに食べてくださいね」
材料(作りやすい分量)
・黒豆……50g
・砂糖……50g
・しょうゆ……小さじ1杯
・水……500cc
・古釘(なくてもOK)……数本
「黒豆は、皮が薄く大粒で粒がそろったものがおすすめ。丹波産なんかがよいですね。見た目の美しい、もっちりとした噛み応えが味わえます。黒豆は、新しいものはやわらかくなりやすいが、古いものは硬くなってしまうので要注意です」
下準備
・黒豆は、やさしく洗っておく
・砂糖、しょうゆ、水を鍋に入れ、沸騰させて火を止める。黒豆と古釘を入れて、1日(24~30時間)置く
・魔法瓶に熱湯を入れて温めておく
「豆を漬け込むときに古釘を一緒に入れると、黒々としたきれいな艶のある仕上がりになります。数本は束にして、お茶パックに入れると便利。もちろん、鉄玉子を使用してもいいですよ。
ご自宅にない場合は、無理に入れなくても大丈夫。色は黒くはなりませんが、味に変わりはありません」
作り方
1. つけたおいた黒豆を汁ごと鍋に入れ弱火で炊く。沸騰したらアクを丁寧に取り、温めておいた魔法瓶に移して半日(6~12時間程度)置く
2. 半日経ったら硬さをみる。硬い場合は再度鍋に移して、沸騰したら魔法瓶に移す。さらに半日置いて硬さをみて、やわらかくなっていたら鍋に戻す
3. 煮汁が半分になるまで煮詰める
4. 粗熱が取れたら密閉容器に移して保存する
「アクは雑味のもとになるので、その都度取り除きましょう。強火で煮込むと皮にしわが寄ったり破れたりしてしまうので火加減には注意してください」
「黒豆を指でつまんで軽くつぶれるくらいやわらかくなっていたら、煮詰めてOKのサインです。
完成後は、煮汁にしっかり浸して密封容器に入れて保存してください。豆が煮汁に浸っていないとシワが寄ったりカビたりする原因になります」
魔法瓶であっという間!小豆煮のレシピ
調理時間:約半日(火にかける時間は約5分)
保存期間:目安は1週間~1カ月
魔法瓶で簡単に黒豆を炊く方法を教えていただきましたが、じつは黒豆に限らずどんな豆でも上手に炊くことができるそうです。特に皮がやわらかい小豆は、黒豆よりもさらに短時間で作れます。
「寒くなるとぜんざいが恋しくて、小豆を炊きたくなりませんか?小豆なら黒豆よりももっと簡単に魔法瓶で炊くことができますよ。半日ほどできれいな小豆煮ができますし、少量のぜんざいを作りたいときは350ml程度の小さな魔法瓶でOKです」
材料(作りやすい分量)
・小豆……50g
・水……250cc
下準備
・小豆は洗っておく
・魔法瓶に熱湯を入れて温めておく
作り方
1. 鍋に小豆とたっぷりの水(分量外)を入れ、沸騰したら5分ほど煮て10分ほど置き、煮汁を捨てる(渋きり)
2. 再度鍋に小豆と水を入れて沸騰したら、温めておいた魔法瓶に入れて半日置く
3. 半日経ったら硬さをみる。硬い場合は再度鍋に移して、沸騰したら魔法瓶に移す。さらに数時間置いて硬さをみる
4. やわらかくなっていたら密閉容器に移して保存する
「どんな豆を炊くにしろ、上手に作るポイントは温度。きれいに仕上げるためには、豆の温度を60~70℃でキープし続けることが重要なんです。この“温度を一定に保つ”ことが、魔法瓶なら簡単にできるという訳です。
同じく温度を一定に保てるヨーグルトメーカーでも同じ要領で作ることができると思いますよ」