日本最難関の大学である東京大学生の経歴を持つ著名人に、子どもの頃から今までに住んできた家の数々についてインタビュー。今回登場するのは、作家、脚本家、画家、CMディレクター、映画監督、作家、エッセイスト、コピーライター、演出家、ラジオパーソナリティなど、型にはまらないボーダーレスな活動で知られるクリエイターの大宮エリーさん。どんな環境で勉強していたかなど、東大生ならではの気になる点もお聞きします。

幼少期の大宮エリーさんは大阪の長屋で暮らし。小学校入学のタイミングで東京のマンションに引っ越しました。

「両親が共働きだったから、私は鍵っ子で。当時の記憶はあまりないんですけど、鍵を忘れて学校に行っちゃって、帰ってきても家に入れないっていうことが多かったですね」

中学、高校はオーケストラ部に所属し、朝練、夕練と多忙な日々を過ごします。部活と勉強、どうやって両立させていたのでしょうか?

「私の場合、机に向かって勉強するというよりも、通学時間をフルに使って、ぶつぶつ言いながら覚えるほうが合っていて」

歩きながらはもちろん、電車、バスなど移動時間をすべて勉強に活用。20分電車に乗る、15分歩く。その時間内でプランを組み立てて、集中して勉強していたそう。

「現役時代、試験のときに隣に座っていた人の貧乏ゆすりが気になって、集中できなかったんです。それも落ちた原因のひとつだと思って」

予期しないハプニングが起こっても動じない心を得るために大宮さんが実践したのが、お風呂の中で集中力を高めるトレーニングでした。お風呂を真っ暗にして、蛇口を少しゆるめてお湯がぽたぽたと落ちるその音だけに集中するというもの。

「本当に効果があったなと実感しているので、集中力がなくて困っている人にはおすすめですよ」


家に興味を持ち始めたのは今のアトリエのリノベから

その後、一浪して東京大学薬学部に入学。写真は東大生時代の大宮さん。初めてのひとり暮らしがスタートしました。当時の住まいはユニットバス、オートロックなしのワンルーム。

「悲惨でしたね。狭かったし、壁が薄くて隣の人の声も聞こえるし。階段も人が歩くたびにかんかん音がするような物件でした」

就職を機に一度実家に戻りますが、独立のタイミングでまたひとり暮らしを再開。そして、15年ほど前に、現在のアトリエを構えました。

「家に興味を持ち始めたのは今のアトリエから。じつはここ、賃貸なんですけど、大家さんを説得してリノベしました。泣きわめかれましたが(笑)」

リノベーションの依頼先は、大宮さんの友人であり、東京・千駄ケ谷にあるインテリアショップ「プレイマウンテン」などを運営するランドスケーププロダクツ代表の中原慎一郎さん。もともと障子で仕切られていた部分に壁をつくり、その壁に本棚を埋め込むような形で造作。大宮さんの著書を収める空間に生まれ変わりました。ヴィンテージの棚や椅子、テーブル、照明などもすべて中原さんセレクト。

「イスもなんてことないように見えますけど、高いんですよ。でも、中原さんが選んでくれたんだからしょうがないって(笑)」

お気に入り&こだわりの雑貨たち

レースのカーテンは、パリの蚤(のみ)の市で購入したヴィンテージ。「あえて乙女チックなブリブリしたものが欲しかったんです」。

 

窓辺に並べられた天然石。石好きな大宮さんのコレクションの一部。

 

空間に彩りを添える季節の花々。自然を感じられる観葉植物や花は、大宮さんにとって欠かせないアイテム。

 

植物に囲まれた仕事スペース

仕事スペースのそこかしこに置かれた、大小さまざまな観葉植物たち。窓から差し込む明るい光と相まって、開放的で気持ちのいい空間に。

 

打ち合わせや動画の撮影場所としても使っているので、飾る雑貨は厳選してすっきりと。

 

小窓から光が差し込む明るいキッチン

キッチンに窓があることが、大宮さんにとって譲れないポイントのひとつ。白を基調にまとめたすがすがしい空間に。

 

「ランドスケープ プロダクツ」中原さんのセンスが光るディティール

木のアイコンは、シールではなく、型をつくってスプレーで吹きつけたペイント! それぞれ微妙に濃淡が違うところに遊び心が感じられます。

 

大宮さんの著書がずらりと並べられた本棚も中原さん作。

 

シンプルでナチュラルな空間だからこそ生まれる発想

ドラマや演劇の脚本を手がけたり、アーティストのツアー映像をつくったり、歌詞を書いたり…。すべての創作活動をこのアトリエで行ってきました。

「個性の強いインパクトのある空間だったら、いろいろな発想が出てこなかったと思うんです。シンプルでナチュラルに仕上げてもらったから、さまざまな作品が生まれ、15年にわたり飽きることなく愛せたというか」

リノベの際、自然の中にいるような空間にしたいと中原さんに伝え、床は無垢材、家具もすべて木製のものでそろえてもらったそう。塩を含ませた雑巾で床を水ふきして浄化するなど、とても大切に使い続けています。

「気の流れがいいみたいで、すごく植物が育つんです。うれしいけど、少し邪魔になってきてます(笑)」

部屋選びのポイントは南向き&風呂に窓があること

一度引っ越すと、長く住む性格という大宮さん。部屋を選ぶ際、譲れないポイントを不動産会社に伝えると、びっくりされると言います。

「お風呂とキッチンに窓があること。朝風呂が好きで、朝の光を浴びてお風呂に入りたいんです。料理もよくつくるので、自然光で料理したいなって。この2か所に窓がある物件って、少ないんですよね」

光は大宮さんにとって、重要なキーワード。南や南東向きの部屋であることも欠かせません。また、バスタイムも大切な暮らしの一部。お風呂は脚を伸ばせるサイズであることが必須条件です。

最後に、今後暮らしてみたい理想の家について話を聞いてみました。

「森の中に、小川の流れる庭がある平屋を建てたいです。家の中のどこにいても自然が感じられる、そんな家がいいですね」

大宮さんの理想の平屋を描いていただきました。こだわりポイントは「どの部屋(リビング、寝室、お風呂)からも庭が望める」こと。

※情報は「リライフプラス プレミアム」掲載時のものです