冬の手仕事「丸ごとみかんのコンポート」作り。中川たまさんに教わる簡単アレンジ2品

じゅわっとおいしい!みかんのコンポートのレシピ

調理時間:10分(皮をむく時間や漬け時間は除く)

冬といえば、みかんがおいしくなる季節。この時期は自分で箱買いしたり、お歳暮でいただいたりして、“みかん渋滞”がおきている……なんてご家庭も多いのではないでしょうか?そんなとき、みかんをおいしく飽きずに楽しむ方法として、おすすめしたいのがコンポートにするアイデアです。

この記事では、果物が大好きな料理研究家の中川たまさんに、旬のみかんをコンポートにする方法と、手軽でおもてなしにぴったりのアレンジレシピを2品教わりました。

料理家/中川たまさん ケータリングユニット『にぎにぎ』を経て独立。現在は料理教室を主宰する傍ら、雑誌やイベントなど多方面で活躍中。旬の食材を使い、ご家庭でも再現しやすいレシピを多数開発している。季節の手仕事や保存食作りが得意。著書に『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方 』(日本文芸社)や『私の好きなサラダの食べ方』(グラフィック社)など

「毎年この季節になると、あらゆる産地のみかんを少しずつ取り寄せ、そのおいしさを心ゆくまで楽しんでいます。同時によく作るのがこのコンポート。作り方も簡単ですし、みかんが日持ちしやすくなるメリットがあります。酸っぱいみかんや甘さの物足りないみかんも、コンポートにすればおいしく食べられます。

今回は、私がよく作るふたつのアレンジレシピも一緒に紹介します。どちらもコンポートのシロップごと使うので、みかんの旨味や栄養を余すことなくいただけます。ほどよい甘さがついているので、味が決まりやすく手軽に作れますよ」

材料(作りやすい分量)

・小さめのみかん……6個(約300g)
a.はちみつ……30g
a.砂糖……60g
a.白ワイン……100cc(1/2カップ)
a.水……200cc(1カップ)
a.レモン果汁……50cc(1/4カップ)

作り方

1. みかんの皮をむく

みかんは、皮をむき白い筋も丁寧にとります。

「みかんの白い筋までキレイにとると、仕上がりの食感がよくなります。筋がむきやすい方向があり、みかんのヘタがある頭のほうからむくのがおすすめ。竹串を使ったり、都度みかんを水に濡らしたりすると、筋が取れやすくなりますよ。

私はみかんの皮むきに没頭するこの時間が割と好きで、気づくと1時間経っていた!なんてことも(笑)。手仕事に集中して無になる感覚がいいのかもしれませんね」

2. 調味料を入れて煮る

鍋に(a)の材料と1を入れ、中火にかけます。沸いたら火を弱め2分ほど煮ます。みかんがしっかり浸るように、深い鍋を使いましょう。

「だいたいコンポートを作るときは、甘さは果物の重量に対して約30%ほどにします。砂糖だけでなくはちみつも使うことで、コクをプラス。砂糖は味により深みが出るキビ砂糖を使うのもおすすめでよ。風味豊かに仕上げてくれる白ワインや、味を引き締めてくれるレモン果汁も欠かせません」

「沸騰したらアクが出てくるので、おたまやスプーンを使って取り除きましょう。弱火で煮ていくと、だんだん煮汁が透明になっていきます」

3. 粗熱を取る

2分ほど煮たら火からおろして粗熱を取り、冷蔵庫で半日ほど寝かせて完成です。蓋つきの保存容器に入れ、みかんがシロップにしっかりと浸かった状態で、10日ほど保存ができます。

「半日からひと晩ほどみかんを漬けると味がなじみます。ミントやレモンバームなどを入れて保存しても、ハーブの風味が加わっておいしいですよ。

保存するときはみかんがシロップに浸かるようにしてくださいね。浸かっていない部分から傷みやすくなるので、深めの保存容器を使うのがポイントです。深皿に入れ、ラップで密閉してから保存する方法でも構いませんよ」

シャリシャリ食感が楽しい!みかんコンポートのグラニテ

調理時間:5分(冷凍時間は除く)

かき氷のような食感がたまらないグラニテは、食後のおやつのほか、食事の合間のお口直しや来客時のおもてなしにもぴったりなデザートです。コンポートをシロップごと凍らせるだけなので作り方は簡単。一緒にハーブを凍らせても、風味よく仕上がりますよ。おすすめはミントやレモンバームなどのハーブです。

材料(400ccバット分)

・みかんのコンポート……3個分
・コンポートシロップ……200cc(1カップ)

作り方

1. みかんは1cm幅の輪切りにし、バットにコンポートシロップと一緒に入れたら、そのまま冷凍庫で冷やし固める

2. 食べる直前にフォークでかくように崩してから器に盛る

コツ・ポイント

・ふわふわの食感に仕上げたい場合は、冷凍中に何度かフォークで崩して空気を含ませるのがおすすめ

しょうがでポカポカ。みかんコンポートのホット白玉

調理時間:20分

みかんを温めて食べる、冬にぴったりのデザート。コンポートのシロップを使うので、簡単に作ることができます。しょうがが入っているので、食べ進めると体がポカポカに温まりますよ。水の代わりに豆腐を使う白玉は、おどろきのもっちり食感です。ほっこりする味わいに、ぜひ癒されてください。

材料(2人分)

・コンポートのみかん……2個
a.コンポートシロップ……200cc(1カップ)
a.しょうがのスライス……4枚
a.お好みで煮豆……適量

〈白玉〉
・白玉粉……30g
・絹豆腐……35g

作り方

1. ボウルに白玉粉を入れて、固まりを手でほぐす。豆腐を加え、滑らかになるまでよく捏ねる

2. 1を6等分にして、たっぷりの水を沸かした鍋に入れてゆでる。浮いてきたら取り出して、水につけておく

3. みかんのコンポートを1cm程度の輪切りにする

4. 鍋に(a)を入れ、ひた煮立ちさせたらみかんと2を加えて火を止める

みかんのおいしさを満喫できるコンポート

コンポートにすることで、日持ちしやすくなるうえに、白ワインの風味でちょっと大人の味わいに変化するみかん。中川さんが「コンポートは失敗しにくい料理」と話してくれたように、簡単な工程でチャレンジしやすいレシピです。

さらに、ご紹介したアレンジレシピ以外にも、シロップごとワインに加えてサングリアにしたり、ゼラチンで固めてゼリーにしたり、さまざまな方法で楽しめます。コンポートを作ったら、旬のみかんの楽しみ方がさらに広がっていきそうですね。

取材・文/大瀧亜友美
写真/宮本信義