HKT48松岡はな✕スターダム上谷沙弥選手 撮影/佐賀章広

写真拡大

HKT48のフロントメンバー松岡はなと、女子プロレス団体スターダム所属の上谷沙弥、という異色の対談が実現した。2人は実は元「バイトAKB」出身。2014年9月から2015年2月まで共に活動していたのだ。今回、6年9カ月ぶりの再会。それまで別々の道を歩んできた2人は、一体どんなトークを繰り広げるのか……。(前後編の前編)

【前編はこちら】元バイトAKB同期・HKT48松岡はな✕スターダム上谷沙弥選手が奇跡の再会「当時は時給1000円で…」

【写真】元バイトAKBの同期、HKT48松岡はな&スターダム上谷沙弥選手

――バイトAKB解散後、HKT48のセンターに上り詰めたはなさんと、アイドルを諦めきれず数々のオーディションに失敗してきた上谷選手。ご本人たちの前で言うのも失礼ですけど、当時を振り返るとまさに「天国と地獄」でしたね。



上谷 いや、本当に人生のドン底でしたね。だから、こうやって、はなちゃんの横に並んでお話ししていることって、本当に奇跡だと思う! プロレスに誘われたときも最初はムリだと思ったけれど「ここで立ち止まってしまったらなにも変わらないな」と思ってチャレンジすることにしました。プロレスにビビビッと感じるものもあったので。

松岡 私、あのころのこと、ほとんど覚えていないの。あまりにも忙しすぎて、記憶が残っていないから、自分じゃないと思っているぐらい。でもさ……。

――6年9カ月前に別々の道を歩んできた2人がこうやって再会できるのは本当に奇跡だと思います。いや、ただ会うだけならいつでもできるんでしょうけど、上谷選手はこうやって公の場で会いたい、と。ただ、ちゃんとプロレスで実績を残せないとはなさんと並んで写真なんて撮れない、と言っていたんですよ。


松岡 本当に?

――3月3日に日本武道館でタイトルマッチに出場したことで、もう対談してもいいんじゃないか、と思っていたら、11月17日に開催された『AYAKARNIVAL2021』ではなさんも日本武道館のステージに立ちました。まったく違う道を歩んできた2人が、令和3年に日本武道館という大舞台でそれぞれ輝いた、というのはどこか運命的なものを感じますし、このタイミングで再会することに意味があるんじゃないか、と。



松岡 本当にそうですよね! でもさ、プロレスって絶対に痛いじゃん? それをやろうって思うことがすごいと思う。だって骨が折れたりもするでしょ?

上谷 うん、何度も折れたよ。

松岡 ひーっ! 私、一度も骨折したことないよ(苦笑)。

上谷 最初は練習生のときにエルボー……ってわかるかな? 人を殴る基本的な技(笑)。それを受けたら胸骨が折れて。そのときは息もできない、痛い、しばらく寝たまま動けなくて、これは大変だなって。実際に練習生のままデビューできないで辞めていく子も多いのね、辛くて、痛くて、耐えられなくて。

松岡 そうだよね。試合になったら「痛い!」とか言ってられないでしょ?

上谷 プロレスの醍醐味って、相手の技を避けないで受けることなのね。受けて、受けて、受けて、耐えきって反撃する。

松岡 どうして痛いのに耐えられるの?

上谷 そのために練習して鍛えてる(笑)。

――アイドルがボイトレやダンスのレッスンをするのと同じです。



上谷 あとは気持ち。どんなにやられても、潰されても、どん底に落とされても、あきらめないで攻撃していく。そこにお客さんも共感してくれるんだと思うし、お客さんの応援があるからがんばれる。

松岡 それって、さっき話してくれた、ここまでの沙弥ちゃんの人生と同じだよね? そうだよ、そこで身に着けたんだよ! ますます、すごいよ!!

――ちなみにはなさんはプロレスを観たこと、ありますか?



松岡 ないんですよ…。

――ちょっと上谷選手の映像を見てください。彼女にしかできないフェニックススプラッシュという大技です。



松岡 えっ、えっ、えっ、どわーっ! なんでこんなことができるの? あのヒモの上に立つだけだって難しいよね?

上谷 ヒモ? あぁ、ロープのことね(笑)。

松岡 いくら練習しても、本番では力も入るし、緊張もするでしょ? それにあのヒモってクルクル回るよね?もう頭が追いつかない(苦笑)。

上谷 ぜひ一度、プロレスを観にきてほしい! そうしたら痛い、怖いってイメージも変わると思うし、プロレスの魅力を知ってもらいたい!

松岡 うん、見たい! なんか、すごくハマっちゃいそう!

――上谷選手がチャンピオンになって、福岡で試合をすることがあったら最高ですよね。



上谷 今日、ここにチャンピオンベルトを持ってくることができなかったことだけが本当に残念ですね。今度、会うときにはシングルのベルトを巻いていたい!

松岡 やっぱりチャンピオンになるのってすごいことなんだね。

――HKT48に例えればセンターになるのと一緒です。みんながその座を狙っているし、チャンスもそんなに回ってこないじゃないですか? 新曲がリリースされるのって年に1、2回しかないので。それと同じで一度、チャンスを逃してしまうとなかなか次に挑戦するタイミングが回ってこないんですよ。



上谷 そういう意味では、本当にアイドルとプロレスって似ているなって。今回、こうやってお仕事ではなちゃんに会うっていう夢が叶ったので、次はベルトを巻いて会うのを目標にするね。私もHKT48劇場ではなちゃんを見てみたい!

松岡 うん! お互いにがんばろうね!

この対談の数日後、早くも上谷沙弥にタイトル挑戦のチャンスが巡ってきた。11月27日に国立代々木競技場第2体育館で開催されるスターダムのビッグマッチで「次期ワンダー・オブ・スターダム王座挑戦者決定戦」に出場することが正式に発表されたのだ。この試合に勝てば、おそらく年内にタイトルマッチが組まれるだろう。しかも現在、ワンダー・オブ・スターダムのベルトを巻いているのは上谷が師と仰ぐ中野たむ。この日、中野たむは防衛戦を控えているので、その結果待ちではあるが、今年最後にして最高のチャンスである。
 
その日、松岡はなは『西日本シティ銀行 HKT48劇場』にて開催されるHKT48の10周年記念特別公演のステージに立っている。同じ日、同じ時間にそれぞれのフィールドでビッグイベントに登場する……6年9カ月ぶりに交差した2つの人生、2人の運命はこれから先もまだまだ続いていきそうだ。もっと大きな夢が、きっと待っている。

【合わせて読む】“元バイトAKB”プロレスラー上谷沙弥「ずっとアイドルになりたかった私がリングを選んだ理由」