HKT48松岡はな✕スターダム上谷沙弥選手 撮影/佐賀章広

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HKT48のフロントメンバー松岡はなと、女子プロレス団体スターダム所属の上谷沙弥、という異色の対談が実現した。2人は実は元「バイトAKB」出身。2014年9月から2015年2月まで共に活動していたのだ。今回、6年9カ月ぶりの再会。それまで別々の道を歩んできた2人は、一体どんなトークを繰り広げるのか……。(前後編の前編)

【写真】元バイトAKBの同期、HKT48松岡はな&スターダム上谷沙弥選手

HKT48の人気メンバーでセンターの経験もある松岡はな。スターダム所属の女子プロレスラーで今年の『シンデレラトーナメント』の覇者、上谷沙弥。まったく接点がなさそうなふたりではあるが、実は意外なところで深い結びつきがあった。

それは『バイトAKB』出身、ということ。バイトAKBとは2014年9月から2015年2月まで展開されたプロジェクトでアイドルに憧れる女の子たちがメンバーや研究生ではないけれど、アルバイトとしてAKB48の活動のお手伝いをできる、というもの(とはいえバイトAKBになるには1万人を超える応募があったオーディションを勝ち抜く必要があったので相当な狭き門だった)。そのメンバーの中に松岡はなと上谷沙弥がいたのである。

バイトAKBは2015年2月28日に秋葉原のAKB48劇場で特別公演を開催し、それを最後にメンバーはバラバラに。松岡はなはその年の5月におこなわれた『第2回AKB48グループ・ドラフト会議』でHKT48・チームHから1巡目で指名され、そのままHKT48入り。翌年にはセンターに大抜擢されて話題を呼んだ。一方の上谷沙弥は今でこそトップレスラーとして認知されているが、ここに辿り着くまでには苦難の道のりを経験してきている。バイトAKB終了から6年9カ月。それぞれのステージで輝くふたりのヒロインが運命の再会を果たした。

上谷 あっ、はなちゃん!

松岡 久しぶり〜っ!

(ここからしばらくお互いに笑顔を浮かべ、飛び跳ねながらグルグル回転する、という不思議なアクションで喜びを表現しあった)

――6年9カ月ぶりに再会すると、人間、こんな感じになるんですね(笑)。



上谷 うぅ、あぁ……緊張しすぎて言葉が出てこない(苦笑)。

松岡 はなも昨日からめっちゃ緊張してた(笑)。

――まずはバイトAKBで活動していたときのお互いの印象から聞きましょう。



松岡 ダンスがめっちゃうまくて、やさしいお姉さん! 私はそのとき中学生だったから、周りはみんなお姉さんだったけど、その中でもすごく話しやすくて、結構、一緒にいた記憶がある。

――上谷選手は「はなちゃん、私のこと、覚えていてくれてるかな?」と不安に思っていたみたいですよ。



松岡 覚えてるでしょ、絶対! だって、すごく話もしたし、一緒に写真も撮ったもん。その写真、いまでも持っているから。

上谷 えっ、本当に? たしかにバイトAKBは人数も多かったし(最大で53名)、あくまでもバイトだから全員が集まってなにかをやるってことが少なかったから、それこそ、ちゃんと話をしたことがない子もいるけど、はなちゃんとはよく一緒になってた。

松岡 仕事ではなかなか会えなかったけど、最初にみんなでCMの撮影をさせていただいたぐらい? でも、レッスンは一緒にやってたからね。

ーーそうなんですよね。バイトといいつつTVのCMにはじまって、AKB48のいろんなイベントにも登場したり、いまになって思えばバイトの範疇を超えたすごい経験の連続でしたよね。



松岡 ありがたい。しかも時給1000円、もらえる(笑)。

――さすがに取材をしていても、当時の個々の印象は残っていないんですけど、2014年に紅白歌合戦のリハーサルを取材していたら、そこに間に合わない正規メンバーの代わりにバイトAKBの子たち何人かやってきて踊っていたことは印象深いです。こんなこともやるんだ、と。



上谷 あっ、私、そこにいました!

――なんと! リハーサルとはいえ紅白のステージに立つなんて、とてつもなく貴重な経験ですね。ちなみに上谷選手から見た、はなさんの印象は?



上谷 いつも楽屋でテスト勉強を一生懸命やっていた印象がある、はなちゃんは。

松岡 えっ、マジ? 全然、覚えてないや。いつも勉強してたなんて、あのころの私、偉い! アハハハ!

――ステージでの印象はどうでした?



上谷 いや、もう別格だった。特別な存在。

松岡 そんなことないって!

上谷 スタイルもいいし、かわいいし、ダンスもうまい。当時からセンターに抜擢されることが多かったから、ドラフト1位で指名されたのも納得だった。

――そこからはなさんは最短距離でセンターまで駆けあがるんですが、当時、上谷選手は……。



松岡 すごく気になる! だってさ、プロレスラーになったって知ったのも、今年に入ってからだし、そのときも「なんで、なんで?」って。やさしいお姉さんのイメージが強かったから、もうギャップがすごすぎて!

上谷 えーっとね、これは話すと長くなるんだけど……。

松岡 うん、いいよ。すごく聞きたい!

上谷 はなちゃんがドラフトで指名されたころ、私も48グループのオーディションをいくつも受けたのね。NGT48の1期生オーディションとか。

松岡 えーっ、そうだったんだ!

上谷 NGT48のオーディションは最終審査まで行ったけど落選して、それから48グループに限らず、いろんなアイドルのオーディションを受けては数えきれないほど落ちて。

――最終審査まで行って落ちたら、なかなか諦められないですよね。しかもバイトAKBとしてAKB48劇場のステージにも立っているから、なおさら。



上谷 そうなんですよ。劇場では普通の公演のバックダンサーとしても出させていただいたりしたので、本当に憧れが大きくなってしまって。そんなときに太田プロダクションのオーディションで拾っていただいて。

松岡 え、えーっ! 知らなかった。

上谷 ただアイドルではなく女優志望枠みたいな感じだったので、演技のレッスンに通いながら小さなお仕事をさせていただいていたんだけど……やっぱりね、アイドルを諦めきれなかったのね。

松岡 うんうん(うなづきながら拍手)。

上谷 そんなときにたまたま目にしたのがプロレスとアイドルを融合させたプロジェクトのお知らせで。そのとき、私はプロレスにまったく興味がなかったから、ちょっと戸惑っていたけど、このまま立ち止まっていられないなって。そのオーディションに合格したことがプロレスと接するきっかけになって、今に至ります。

松岡 すごーい! なんかドラマみたいな話だけど現実のことだよね。

――そのあいだにはなさんはもうHKT48のセンターとして活躍していました。



松岡 いやいや、センターに立たせていただいてありがたい話です。

上谷 街を歩いていると、いろんなところから『最高かよ』(松岡はながはじめてセンターを務めたHKT48の楽曲)が流れてきて、すごいなぁ〜って。

――やっぱり励みになりましたか?



上谷 励みにもなったし、心から応援してもいたけれど、やっぱり……悔しくって、はじめのころはTVの歌番組とかは見ることができなかった。

松岡 えっ……。

上谷 ついこのあいだまで一緒のグループで活動していた子が、超人気アイドルのセンターに立っていて、ものすごくキラキラしている。それなのに私はダメダメで、もうなにやってるんだろうって。(後編へ続く)

【後編はこちら】元バイトAKB同期・HKT48松岡はな✕スターダム上谷沙弥選手が奇跡の再会「プロレスって痛くないの?」