60〜80代一人暮らしのお金事情。心を豊かにする生き方まとめ
人生100年時代と言われ久しい今、老後資金などの不安を抱える人もいるのではないでしょうか。実際、60〜80代の女性たちはどのようにお金と向き合っているのか、ESSEonlineで注目された記事をまとめてご紹介します。
毎月12万円のパート収入でやりくりしている60代ブロガーのショコラさん。コロナ禍で感じたこと、日々のやりくりについて伺いました。
――ショコラさんは、現在は月12万円と予算を決めたうえで生活されています。
「正社員で働いていた会社を57歳で退職し、パートタイムになったときの収入は10万円でした。少々不安はありましたが、60歳になったら企業年金基金が出ることはわかっていたので、それまでは手取りの10万円で生活していこうと決めていました。会社の退職金の半分は老後の資金に貯金しましたが、もう半分は急な出費が出たときの予備費として持っていようと思いました」
――住宅ローンは払い終えていたとはいえ、生活費が月10万円だと節約も必要になってきますよね。
「それがあまり苦じゃなかったんです。節約も水筒を持っていったりお弁当をつくっていったりの、無理のない範囲でやっていました。たまに数千円ほどですが赤字も出ていたけれど、“今はこれだけしかないけど、60歳になったら年金が出る”と考えていました」
――期限があったからこそ、努力もはかどったのですね。
「なので、年金が出るようになり、さらに会社が変わり生活費が12万円になったときは、その2万円がすごく大きく感じて嬉しかったです。仮に毎月30万円使ってたら、2万円にそこまで差は感じなかったかもしれないじゃないですか」
36歳で夫と死別。ふたりの子どもを育て上げ、今は一人暮らしを楽しんでいる60代シニアブロガーのりっつんさんに、お金のことを伺いました。
りっつんさんは贅沢な暮らしをしていたわけではありませんが、月の出費を書き出してみたところ、14万2000円ほどかかっていました。りっつんさんの年金収入は11万円。仕事は続けていますが、いつかは辞める日が来ます。そうなると、月々3万2000円の赤字になってしまいます。
仕事を辞めた後の人生、ずっと赤字続きだったら…? 不安になるのも当然です。
そこでまず、支出の内容を細かく吟味しました。そして費目を
・基礎生活費=生活に必要な出費(衣食住、医療費など)
・ゆとり費=生活をより楽しむための出費(交際費や趣味、旅費など)
に分けたのです。すると、生活に絶対必要なお金は約9万3000円/月とわかりました。
「元々料理好きで外食の機会も少ないですし、住居費は固定資産税のみ。車をもっていないので保険やガソリン代など大きな維持費が不要なのも幸いしました」
さらに、
・電力会社を見直す
・通信費は光回線+大手キャリア→格安SIMに乗り替え
・契約していた貸金庫を解約
ひとつひとつは数千円でも、集めると月1万円もの節約になりました!
「個人事業主として青色申告することもアドバイスしてもらいました。これで所得控除も受けられるようになって、年10万円もの節税になったんです」
細かな作業ですが、プロの力を借りたことで、年間約20万円ものスリム化に成功したのです。
若い頃から「貯金が大好き」で「ムダが嫌い」。東京郊外の賃貸団地に暮らす小笠原洋子さん(71歳)は「ケチじょうず」を目指して充実した日々を楽しんでいます。ユーモラスでアイデアフルな、その暮らしぶりを拝見しました。
小笠原さんが心がけている一番大切なことは「みじめにならないこと」。1日に使えるお金は1000円ですが、おしゃれだって楽しみます。いえ、1日1000円生活でも「楽しめる」んです!
そんな小笠原さんの暮らしぶりの一端を、ご紹介しましょう。
・セロハンテープは捨てない!
冷蔵庫脇にストックしているセロハンテープたち。最終的にゴミになるまえに、もうひと働きしてもらう。小さい事でも毎日積み重ねれば効果はあります
買ってきた物についているセロハンテープなどは、はがしたあと、冷蔵庫にセットした透明板に張りつけてとっておきます。生ゴミはスーパーでもらった薄いビニール袋に入れ、水分をしっかり絞ってできるだけ小さくまとめ、この「中古のセロハンテープ」でぎゅっと封をします。
食品のパッケージも捨てません! ラップ代わりに使ったり、切った野菜をちょいと仮置きするのに重宝します。オシャレなシリアルの箱は折りたたんだビニール袋のストッカーに
これを自治体指定のゴミ袋にためるようにすれば、小さな袋でも一杯になるまでに当分かかるほど、ゴミを減らせます。
・果物や野菜は皮ごと・種だって食べます
果物の皮は大抵、食べられます。苦みがあったりして「おいしくない」場合もありますが、栄養たっぷり。ピーマンも種ごと。カボチャの種は周りについた繊維質がおいしいし、硬い種は干してからフライパンで炒るとおいしく食べられます!
・永遠のひと鍋料理!
お鍋を洗わず、毎日具材をたし、少しずつ味を変えながら料理を「リレー」する、それが「永遠のひと鍋」。もとより濃い味つけが苦手なので、調味料はほとんど使いません。
たとえば、
1の鍋:白菜と豚肉をショウガや昆布と煮ます。これを一食分より少し多めにつくっておくのが一日目。
2の鍋:二日目は少し残しておいた「1の鍋」に鶏肉とネギを追加…この調子で少しずつ材料をたし続け、素材に合わせて味つけも少しずつ変えてゆきます。
・今の自分に似合う服を着る!
お金のかかる白髪染めやパーマはナシ。身なりはきちんとしたいから、2か月に一度、格安カットのお店で整えます。服も「顔のそばに白い色を持ってくるなど、白い髪に似合うコーディネートを考えます」。
さすがは長年アートのお仕事をしてきただけあって、小笠原さんは本当におしゃれ!
お兄さんのお下がりのニットをリメイクしたり、リサイクルショップで掘り出し物を見つけたり、上手におしゃれを楽しんでいます。
昨年秋に発売された一冊の本が、静かに話題を呼んでいます。キリスト教の牧師でもある、ミツコさん(74歳)の、明るく心豊かなひとり暮らしを綴ったエッセイ、『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』がそれです。
ミツコさんとはいったいどんな方なのでしょうか?
ミツコさんは戦争直後の1946年、牧師の家庭に生まれました。8人きょうだいの5番目。家族のほかにも信者の人たちが出入りする家で、大勢に囲まれて育ったと言います。
「貧乏には慣れています」
著書でそう言いきるミツコさん。お父さまはどんなにお金に困っていても「うちよりもっと困っている人に分け与える」という方だったようで、その精神はミツコさんにも受け継がれています。
ミツコさん自身は、月7万円の年金で生活のすべてをまかなっているのです。
その内訳は、おおよそ次のようなものだといいます。
私たちの目から見たら、必要最小限度の出費のように思われます。が、ミツコさんは7万円でも「なかなかの収入」と書いています。
月々の出費のうち、通信費が占める割合が多め。牧師という仕事柄、いろいろな方の相談に乗ることが多いためです
生まれたときからキリスト教徒として生きてきたミツコさんにはあるものに感謝して、その中でどうにかする習慣が身についているのです。子育てや夫の看病、教会の運営で精いっぱいだったころから比べれば、ひとりでこれだけのお金が使えるのは「お金持ち」の感覚なのだそうです。
世界最高齢プログラマーとして話題になった若宮正子さん(86歳)。定年後にパソコンを始めてアプリを開発、そして世界に羽ばたく夢を果たしました。
「日々の暮らしは年金で十分なんですよ(笑)」
目の前でニコニコとほほえむ若宮さんは、現在86歳。シルバーヘアが美しい、小柄で上品な女性…ですが、じつは「世界最高齢プログラマー」として、2018年には国連に招かれたり、皇室の「秋の園遊会」に招かれたりしたスゴい人なんです!
60代からパソコンを学び、80代でゲームソフトまで開発して世界に羽ばたいた若宮さん。だれもが彼女に会いたがり、話を聞きたがります。
コロナ前には自宅でパソコン教室を開いてシニアにパソコンの楽しみ方を伝授したり、全国各地から招かれて講演をしたり、取材を受けたり。本だって数々執筆しました。現在は日本政府からの要請で、デジタル改革ワーキンググループのメンバーとして平井卓也デジタル改革担当大臣のお手伝いをしています。
「日経新聞の記者さんに笑われたんですよ。普通はリタイアして年金生活になると納税額もどんどん収束していくのに、80代になってから青色申告するようになるなんて珍しい、って(笑)」
それでも若宮さんの暮らしぶりはいたって質素です。
というのも「興味のあること以外はどうでもいい」からなんだとか。
「食道楽でもない。食器集めが趣味なわけでもない。オシャレな暮らしにも興味なし(笑)。だからどうでもいいことにはお金は使いません」
食器は「軽くて丈夫でラクだから」プラスチックのものを愛用。家具類は最小限なので、お掃除はルンバ任せ。食事はつくりおきのスープを冷凍しておいて、気まぐれみそ汁にしたりスープにしたり。
「駅前に住んでいるから、夕方デパ地下へ行くと、お惣菜が安くなるのよ!(笑)」
<文/ESSEonline編集部>
60代70代80代の「お金のこと」ESSEonline殿堂入り記事まとめ
●65歳、毎月12万円のパート収入でやりくり。お金の不安の減らし方
毎月12万円のパート収入でやりくりしている60代ブロガーのショコラさん。コロナ禍で感じたこと、日々のやりくりについて伺いました。
「正社員で働いていた会社を57歳で退職し、パートタイムになったときの収入は10万円でした。少々不安はありましたが、60歳になったら企業年金基金が出ることはわかっていたので、それまでは手取りの10万円で生活していこうと決めていました。会社の退職金の半分は老後の資金に貯金しましたが、もう半分は急な出費が出たときの予備費として持っていようと思いました」
――住宅ローンは払い終えていたとはいえ、生活費が月10万円だと節約も必要になってきますよね。
「それがあまり苦じゃなかったんです。節約も水筒を持っていったりお弁当をつくっていったりの、無理のない範囲でやっていました。たまに数千円ほどですが赤字も出ていたけれど、“今はこれだけしかないけど、60歳になったら年金が出る”と考えていました」
――期限があったからこそ、努力もはかどったのですね。
「なので、年金が出るようになり、さらに会社が変わり生活費が12万円になったときは、その2万円がすごく大きく感じて嬉しかったです。仮に毎月30万円使ってたら、2万円にそこまで差は感じなかったかもしれないじゃないですか」
●60代一人暮らし。固定費を見直して心にも余裕が
36歳で夫と死別。ふたりの子どもを育て上げ、今は一人暮らしを楽しんでいる60代シニアブロガーのりっつんさんに、お金のことを伺いました。
りっつんさんは贅沢な暮らしをしていたわけではありませんが、月の出費を書き出してみたところ、14万2000円ほどかかっていました。りっつんさんの年金収入は11万円。仕事は続けていますが、いつかは辞める日が来ます。そうなると、月々3万2000円の赤字になってしまいます。
仕事を辞めた後の人生、ずっと赤字続きだったら…? 不安になるのも当然です。
そこでまず、支出の内容を細かく吟味しました。そして費目を
・基礎生活費=生活に必要な出費(衣食住、医療費など)
・ゆとり費=生活をより楽しむための出費(交際費や趣味、旅費など)
に分けたのです。すると、生活に絶対必要なお金は約9万3000円/月とわかりました。
「元々料理好きで外食の機会も少ないですし、住居費は固定資産税のみ。車をもっていないので保険やガソリン代など大きな維持費が不要なのも幸いしました」
さらに、
・電力会社を見直す
・通信費は光回線+大手キャリア→格安SIMに乗り替え
・契約していた貸金庫を解約
ひとつひとつは数千円でも、集めると月1万円もの節約になりました!
「個人事業主として青色申告することもアドバイスしてもらいました。これで所得控除も受けられるようになって、年10万円もの節税になったんです」
細かな作業ですが、プロの力を借りたことで、年間約20万円ものスリム化に成功したのです。
●71歳一人暮らしで1日1000円。ケチな生活をむしろ楽しむ
若い頃から「貯金が大好き」で「ムダが嫌い」。東京郊外の賃貸団地に暮らす小笠原洋子さん(71歳)は「ケチじょうず」を目指して充実した日々を楽しんでいます。ユーモラスでアイデアフルな、その暮らしぶりを拝見しました。
小笠原さんが心がけている一番大切なことは「みじめにならないこと」。1日に使えるお金は1000円ですが、おしゃれだって楽しみます。いえ、1日1000円生活でも「楽しめる」んです!
そんな小笠原さんの暮らしぶりの一端を、ご紹介しましょう。
・セロハンテープは捨てない!
冷蔵庫脇にストックしているセロハンテープたち。最終的にゴミになるまえに、もうひと働きしてもらう。小さい事でも毎日積み重ねれば効果はあります
買ってきた物についているセロハンテープなどは、はがしたあと、冷蔵庫にセットした透明板に張りつけてとっておきます。生ゴミはスーパーでもらった薄いビニール袋に入れ、水分をしっかり絞ってできるだけ小さくまとめ、この「中古のセロハンテープ」でぎゅっと封をします。
食品のパッケージも捨てません! ラップ代わりに使ったり、切った野菜をちょいと仮置きするのに重宝します。オシャレなシリアルの箱は折りたたんだビニール袋のストッカーに
これを自治体指定のゴミ袋にためるようにすれば、小さな袋でも一杯になるまでに当分かかるほど、ゴミを減らせます。
・果物や野菜は皮ごと・種だって食べます
果物の皮は大抵、食べられます。苦みがあったりして「おいしくない」場合もありますが、栄養たっぷり。ピーマンも種ごと。カボチャの種は周りについた繊維質がおいしいし、硬い種は干してからフライパンで炒るとおいしく食べられます!
・永遠のひと鍋料理!
お鍋を洗わず、毎日具材をたし、少しずつ味を変えながら料理を「リレー」する、それが「永遠のひと鍋」。もとより濃い味つけが苦手なので、調味料はほとんど使いません。
たとえば、
1の鍋:白菜と豚肉をショウガや昆布と煮ます。これを一食分より少し多めにつくっておくのが一日目。
2の鍋:二日目は少し残しておいた「1の鍋」に鶏肉とネギを追加…この調子で少しずつ材料をたし続け、素材に合わせて味つけも少しずつ変えてゆきます。
・今の自分に似合う服を着る!
お金のかかる白髪染めやパーマはナシ。身なりはきちんとしたいから、2か月に一度、格安カットのお店で整えます。服も「顔のそばに白い色を持ってくるなど、白い髪に似合うコーディネートを考えます」。
さすがは長年アートのお仕事をしてきただけあって、小笠原さんは本当におしゃれ!
お兄さんのお下がりのニットをリメイクしたり、リサイクルショップで掘り出し物を見つけたり、上手におしゃれを楽しんでいます。
●「お金がないほうが幸せかも?」74歳、月7万円で暮らす一人暮らしで感じたこと
昨年秋に発売された一冊の本が、静かに話題を呼んでいます。キリスト教の牧師でもある、ミツコさん(74歳)の、明るく心豊かなひとり暮らしを綴ったエッセイ、『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』がそれです。
ミツコさんとはいったいどんな方なのでしょうか?
ミツコさんは戦争直後の1946年、牧師の家庭に生まれました。8人きょうだいの5番目。家族のほかにも信者の人たちが出入りする家で、大勢に囲まれて育ったと言います。
「貧乏には慣れています」
著書でそう言いきるミツコさん。お父さまはどんなにお金に困っていても「うちよりもっと困っている人に分け与える」という方だったようで、その精神はミツコさんにも受け継がれています。
ミツコさん自身は、月7万円の年金で生活のすべてをまかなっているのです。
その内訳は、おおよそ次のようなものだといいます。
《ミツコさんの支出内訳》
公営住宅の家賃 6000円
社会保険料 約4000円
水光熱費 約8000円(月平均)
通信費(スマホ・固定電話) 約10000円
食費・雑費 約40000円
公営住宅の家賃 6000円
社会保険料 約4000円
水光熱費 約8000円(月平均)
通信費(スマホ・固定電話) 約10000円
食費・雑費 約40000円
私たちの目から見たら、必要最小限度の出費のように思われます。が、ミツコさんは7万円でも「なかなかの収入」と書いています。
月々の出費のうち、通信費が占める割合が多め。牧師という仕事柄、いろいろな方の相談に乗ることが多いためです
生まれたときからキリスト教徒として生きてきたミツコさんにはあるものに感謝して、その中でどうにかする習慣が身についているのです。子育てや夫の看病、教会の運営で精いっぱいだったころから比べれば、ひとりでこれだけのお金が使えるのは「お金持ち」の感覚なのだそうです。
●86歳現役プログラマー。夢を叶えながらも暮らしは質素に
世界最高齢プログラマーとして話題になった若宮正子さん(86歳)。定年後にパソコンを始めてアプリを開発、そして世界に羽ばたく夢を果たしました。
「日々の暮らしは年金で十分なんですよ(笑)」
目の前でニコニコとほほえむ若宮さんは、現在86歳。シルバーヘアが美しい、小柄で上品な女性…ですが、じつは「世界最高齢プログラマー」として、2018年には国連に招かれたり、皇室の「秋の園遊会」に招かれたりしたスゴい人なんです!
60代からパソコンを学び、80代でゲームソフトまで開発して世界に羽ばたいた若宮さん。だれもが彼女に会いたがり、話を聞きたがります。
コロナ前には自宅でパソコン教室を開いてシニアにパソコンの楽しみ方を伝授したり、全国各地から招かれて講演をしたり、取材を受けたり。本だって数々執筆しました。現在は日本政府からの要請で、デジタル改革ワーキンググループのメンバーとして平井卓也デジタル改革担当大臣のお手伝いをしています。
「日経新聞の記者さんに笑われたんですよ。普通はリタイアして年金生活になると納税額もどんどん収束していくのに、80代になってから青色申告するようになるなんて珍しい、って(笑)」
それでも若宮さんの暮らしぶりはいたって質素です。
というのも「興味のあること以外はどうでもいい」からなんだとか。
「食道楽でもない。食器集めが趣味なわけでもない。オシャレな暮らしにも興味なし(笑)。だからどうでもいいことにはお金は使いません」
食器は「軽くて丈夫でラクだから」プラスチックのものを愛用。家具類は最小限なので、お掃除はルンバ任せ。食事はつくりおきのスープを冷凍しておいて、気まぐれみそ汁にしたりスープにしたり。
「駅前に住んでいるから、夕方デパ地下へ行くと、お惣菜が安くなるのよ!(笑)」
<文/ESSEonline編集部>