ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg
。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。

第38回は、犬を迎えて7年。特別な日と、ともに過ごしてきた日々について。

犬と過ごしてきたかけがえのない2557日



2014年8月11日。犬を迎える計画をしていたところ父と母が「一度見に行ってみよう」とお店を訪ねると、母が抱っこした犬を離せなくなって連れて帰ってきて思いがけずわが家の転機となった日である。それから7年。あっという間でもなく、7年の歳月が確かにあったのを感じる。




8月11日、この日は毎年いつもより少しだけ特別なご飯を用意している。


ヒト用と見紛うようなパッケージの犬用デリを食卓に置いて「これ犬のやからね」と念のために母に言っておくと、「そう美味しそうやなぁって思って」と笑った。


お皿に盛りつけていたら犬は自分のご飯と察したらしく強い視線を感じる。
私がレンジで少し温めすぎて妹が冷ましがてらほぐしているのも横に張りついて見ている。じれったいと言わんばかりの熱視線だ。しかし犬の間合いであるのに、妹の準備が整うまで待つ姿に7歳の落ち着きが見られる。


お肉も野菜もお口に合ったようで、ハグハグッと勢いよく食べ進める。
そう、そんなに美味しいの。空っぽになったお皿をベローンときれいに舐めてごちそうさん。




写真のなかで犬が着けているオレンジの首輪は、ご飯の前にプレゼントしたのだ。首輪は大体1年半くらいで変える。既製品の首輪はだいたいS、M、Lとサイズ展開されていて、サイズが上がるにつれてベルトが太く長くなる。


犬の首周りなら適用サイズはMサイズだが、これまではグイグイとリードを引っ張って猛進することもあったから、ベルトが太いと首への負担が分散されるかなとLサイズの首輪を選んでいた。だがそれではブカブカで頭から抜けてしまうので、首周りに合うようドライバーでベルト穴を三段階ほど開けて、着用していた。


そう思って見ると、少し太め

前号
で書いたが、犬も年齢でいえばシニアチームである。最近はリードを引っ張っていかないし、それならMサイズの方が軽くて着けていて楽かと、Mサイズのオレンジ色に新調した。犬も年齢によってなにが楽かは変わるから、そのつど最適解を探したい。

うちでも作られている柿やみかんと同じ色の首輪はよく馴染んだ。母と妹にお披露目すると「かっこええやん!」「何色でも似合うなぁ!」などと親バカの声が上がり続けている。あいだに挟まれた犬はどことなくおすまし顔だったが、そのあとは妹と白熱のキャッチボールを繰り広げた。


おすまし


ナイスキャッチ

以前と比べたら少しは落ち着いたというだけで、西の言い回しをすると“いらんことしぃ”な側面も健在だ。いらんことをしているときは私からかくれているつもりなのか、おそろしく静かなので逆にわかりやすい。


その夜、少し雨が降っていたが軒下でやろっかと、妹と花火をした。どちらからともなく花火で文字を書こうとなった。大人がふたりして軒下から早々に出ていって、火が消えない程度であるが小雨のなか真剣に遊んだ。

では妹による花火文字「犬」をご覧ください。


7年、日数にすると2557日を共に過ごしてきた。


じつを言うと上京しようか悩んだ時期もあったが、やっぱり犬と離れたくない気持ちが勝った。しかもそれは犬から私を奪うことにもなるんよなぁ。どうしても、どうしても犬と離れられない。それだけで和歌山を出ない理由になり得る。


2557日もの間、犬はいつなんどきも可愛く、さらには一昨日より昨日、昨日より今日、“たった今の犬”がいっとう可愛い。犬の可愛さ天井知らずである。未だにおはようと挨拶しながら「えっ、あなたまた可愛くなってるやん…!?」と新鮮な感動が生まれるのだ。きっと8年目もそんな日々の連続だと予感している。


この連載が本『inubot回覧板』
(扶桑社刊)になりました。第1回〜12回までの連載に加え、書籍オリジナルのコラムや写真も多数掲載。ぜひご覧ください。

【写真・文/北田瑞絵】



1991年和歌山生まれ。バンタンデザイン研究所大阪校フォトグラファー専攻卒業。「一枚皮だからな、我々は。」で、塩竈フォトフェスティバル大賞を受賞。愛犬の写真を投稿するアカウント@inu_10kg
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