詐欺メールに流用された「特別定額給付金」の公式画像(京都・京丹波町公式サイトより)

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総務省を騙った巧妙な詐欺メールが送られているとして、ネット上で注意喚起の動きが広まっている。

2回目の特別定額給付金を受けられるという嘘の記述に基づき、個人情報などを入力させようという内容だ。2021年8月18日現在、日本において特別定額給付金の再支給は予定されていない。

「個人情報根こそぎ持っていく気」

特別定額給付金は、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として2020年に実施されたもの。国民1人当たり10万円を給付。申請方式は郵送またはオンラインで、東京都はほとんどの市区町村で8月末ごろが申請期限日となっていた。

この給付が再度おこなわれるとした詐欺メールが、翌21年になって大きな注目を集めている。きっかけとなったのは、あるツイッターユーザーの8月17日のツイートだ。

受信したメールのスクリーンショットを添付し、投稿文で「なんかどえらい詐欺メールきたんだけど 手がこみすぎてて騙される人いるかもしれない 個人情報根こそぎ持っていく気やで」とつづった。

総務省の名前で届けられたメールは、「[お知らせ]二回目特別定額給付金の特設サイトを開設しました」と題し、偽の特設サイトに誘導しようとするもの。メール本文では総務省の公式画像を流用し、リンク先の偽サイトの名前を公式と同じ「ぴったりサービス」にするなどして信憑性を高めようとしている。

偽サイトには氏名や生年月日、クレジットカード番号などの入力項目があり、さらに運転免許証など個人を証明できる書類の提出が求められる。

詐欺メールに注意喚起を呼び掛けるこの投稿は、18日夜時点で6万7000件のリツイート、4万6000件の「いいね」が寄せられるなど注目を集め、ツイッターでは

「いや 凄いわこれ ぱっと見た感じ騙されるわ」
「こわいなぁ、手の込んだのが増えてる」
「クオリティーが高すぎて、わかった上で見ても騙されそうになる」

といった反応が寄せられている。

同様の詐欺メールが届いたのは、この投稿をしたユーザーだけではない。ツイッターで調べると、少なくとも20人以上が受信したことを報告していた。

総務省「注意喚起の実施が重要」

同様の詐欺メールについては、総務省が昨年10月15日や11月25日にも公式ツイッターで注意喚起の投稿をしている。21年8月18日昼に総務省公式ツイッターを確認したところ、過去の投稿がリツイートされていた。

18日にJ-CASTニュースの取材に応じた総務省地域政策課の担当者によると、リツイートは16日朝、注意喚起のため行ったという。

話題となったツイートの以前に、偽メール及び偽サイトを認知していたそうだ。「今回のような給付金支給を騙ったメールについては、定期的に存在を確認しており、確認された都度、注意喚起を実施している」という。

担当者は詐欺メールの詳細な動作を把握しているわけではないとしつつ、予想される被害について、「給付金支給を騙ったフィッシングサイトに誘導し、支給に必要と騙った要件を入力させ、入力者の個人情報を搾取し、悪用するものと考えられます」と答えた。

詐欺メールを受信した場合の対応は、

「決してリンクにアクセスせず、当該メールを削除していただくよう」
「また、万が一、入力してしまった場合は、最寄りの警察に相談するように」

と伝えた。今後の対策については、「ホームページやSNSを通じた注意喚起の実施が重要と考えており、引き続き、関係機関とも連携の上、対応してまいります」とした。