元巨人でツインズの解説者を務めるダン・グラッデン氏【写真:小谷真弥】

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元巨人のダン・グラッデン氏はツインズ専門ラジオで解説者を務めている

 元巨人のダン・グラッデン氏が23日(日本時間24日)、Full-Count編集部のインタビューに応じ、打撃不振に苦しむエンゼルス大谷翔平投手の現状を解説した。俊足巧打の1番打者としてツインズ時代の1987、1991年と2度のワールドシリーズ制覇に貢献。1994年には巨人の日本一に貢献した。大谷が2試合連続3三振を喫した22日(同23日)を現地解説し、「引っ張るだけの打者になっている。それが彼の直面している問題だ」と指摘した。

 ツインズ専門ラジオ「WCCO」で2001年から解説者を務めるグラッデン氏。「オオタニはメジャーリーグにとって素晴らしい存在。打撃もできる支配力を持った投手だ。彼を見るために多くの人が球場に足を運ぶ」とした上で、後半戦で当たりが止まっている打撃を冷静に分析。打撃の改善点を指摘した。

「逆方向に打つパワーがある反面、今の狙いは右翼方向だけになってしまっている。そこだろうね。引っ張るだけの打者になってしまうと、問題を抱えてしまう。それが今、彼が直面している問題だ。三振も多い」

 今季から導入された“飛ばないボール”について、大谷は「引っ張った打球の方が飛ぶ」と分析。昨季までは中堅から左翼方向の本塁打が目立ったが、今季は右翼方向へのアーチが増えた。グラッデン氏は今こそ昨季までの打撃スタイルを意識すべきと説いた。

本塁打王争いを占う「『タイトルを取りたい』と意識が強くなり始めると…」

 現在、両リーグ最多34本塁打。今季の本塁打数については「今34本なら、もう20〜25発。55本塁打は打つだろう。ここなら投手も勝負してくれる」と予想した。続けてキング奪取へのアドバイスも送った。

「対抗馬のゲレーロJr.も良い打者だ。彼らは共に幾分打者有利の球場でプレーしている。要はどちらが怪我せずにプレーし続けられるかだろうね。『タイトルを取りたい』と意識が強くなり始めると、タイトルは取れない。そこもカギを握るだろう」

 大谷は日本人初の本塁打王がかかっている。日本人が屈強なスラッガーに挑んでいるが、グラッデン氏にとっては驚きではなかったようだ。巨人時代に同僚だった松井秀喜氏のヤンキースでの活躍を見てきたからだ。「オオタニは背が高いが、マツイは体がデカかった。彼らは共にパワーがある。共にベリーベリーグッドだ」と称賛。日本人選手はコンタクトヒッターが多いとの見方もない。「マツイのパワーはここでも通用した。イチローだって50本塁打できただろう。とにかく本塁打を打ちたいと思っていたら打てていただろう。打率は下がっていただろうけどね」。

 巨人時代には球史に残る大乱闘で強烈なインパクトを残した。今も当時と変わらないブロンドの長髪をキープする。「楽しかったね。(巨人は)いいチームだった。ヨミウリとヤクルトはライバル関係にあることを学んだ。ナガシマとノムラは若い頃に対戦していた。いつもビーンボールの投げ合いになっていたね。私もぶつけられたからね」と懐かしんだ。野球への情熱も変わらない。大谷をはじめ日本人選手に熱い視線を送っていく。(小谷真弥 / Masaya Kotani)