36万fpsで撮影した落雷の映像。空と地面、双方からの稲妻が「つながる」瞬間
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中国科学院の研究者が、1コマあたり38万分の1秒の超高速度撮影を使用して、落雷が発生し、上空と地面からの稲妻がつながる瞬間の様子をとらえることに成功しました。

落雷と言えば、その字のごとく雷雲から稲妻(リーダー)が下へのびて地面へ落ちるように思われがちですが、実際は雷雲から発せられるいくつもの稲妻のなかのひとつを、地面からの放電(ストリーマー)が迎え、中間でつながることで非常に強力な雷光を発生させます。

空気は非常に強力な絶縁体ですが、雷雲はその上昇気流のなかで空気中の水分を冷却、細かい氷の結晶を作り出します。それが気流によって互いにぶつかりあい、正と負の電荷に分離します。そして、雷雲の底部には負の電荷が集まり、一方で地面付近には正の電荷が誘起します。その電界強度が強まると、雲間から放電現象が生じゴロゴロと雷の音をたて始めます。

この放電現象は空気中の絶縁を破壊して発生します。そしてその放電が強まり、正の電荷を蓄えた地面に近づくと、地面側からそれを迎え撃つように上向きの放電が放たれて双方がつながり、電荷を上空に注入します。これが落雷と呼ばれる現象です。雷雲からは多くの稲妻が発せられますが、地面からの放電は落雷1つに1か所だけであり、どこで接続点が形成されるかは予測できません。

今回の研究では、北京にある高さ325mの気象観測塔への雷撃をとらえています。映像から、落雷は上空の稲妻と地面からの放電が中間点で接続することで電荷の流れる経路ができあがり、その強烈なエネルギーによる強い発光が起きていることがわかります。

AGU

より詳しく見ると、下向きの稲妻と上向きの放電が互いに23mの距離以内まで近づくと、接続というよりはその距離をジャンプするかのように1つの導電経路を形成しています。研究者は、いくつにも枝分かれしている稲妻の先端が、ある一定範囲内で束のように地面からの放電とつながるのか、それとも枝分かれしたうちの1本だけが接続して落雷になるのかが、これまではっきりしなかったものの、超高速度撮影の映像では、2番目のシナリオ、すなわちいくつもの枝のうちの糸のように細い1本が最終的な接続点になることを示しているように見えるとしています。

Jiang et al/Geophysical Research Letters/AGU

この細い糸は採取的に落雷チャネルとして非常に強烈な現象へと成長しました。研究者は、この研究の結果は、雷災害の理解を向上させ、落雷発生モデルの変更や改善をサポートするために利用できるとしており、さらに詳しく現象を知るための観察が必要だとしています。

Source:American Geophysical Union