高速道路ETC専用化が始まります。


ETCレーンのイメージ(画像:写真AC)。

 NEXCO高速道路3社と首都高速、阪神高速、本州四国連絡高速道路は2020年12月17日(木)、高速道路ETC専用化に向けたロードマップ(計画)を発表しました。

 国土交通省の社会資本整備審議会国土幹線道路部会は9月、「持続可能な国土幹線道路システムの構築に向けた取組」中間とりまとめを公表。この中で、ポストコロナ時代を見据えて加速すべき取り組みとして「高速道路等のキャッシュレス化、タッチレス化の早期実現」を盛り込んでおり、高速道路各社はこれを受けて今回のロードマップを策定しました。

 首都高速や阪神高速、NEXCO各社の都市部区間では、早ければ2021年度から一部の料金所をETC専用に試験的に変え、その後運用状況を見ながら順次拡大。2025年度にはETC専用化をほぼ完了させます。本四高速やNEXCO各社の地方部区間は、2022年度から専用化に着手。10年後の2030年度頃には、都市部・地方部とも全線がETC専用に移行する計画です。

 なお、近畿圏の都市部は、2025年4月に開催予定の「大阪・関西万博」への影響も考慮し、計画は適時変わる可能性があります。また、料金所の構造や交通量が多く、並行・接続する一般道を含めた渋滞などの課題がある第三京浜、横浜新道、横浜横須賀道路、京葉道路、東関東道の料金所については別途、検討が行われます。

ETC車は免許やナンバーを確認される?

 ETC専用化に際しての課題は、非ETC車(現金車)の扱いです。ETC専用料金所に非ETC車が進入した際、現在の案として「サポートレーン」(仮称)の運用が構想されています。

 具体的には、非ETC車をサポートレーンに誘導し、料金精算機で精算。もしくはカメラを通じて利用者の連絡先と免許証、もしくはナンバーを遠隔で確認し、料金は配布するチラシの案内に沿って支払ってもらう――といった方法です。ETC専用化完了後はサポートレーンを廃止しますが、非ETC車が進入した際はナンバーをカメラで読み取り、判明した車両から料金を事後徴収する手順が検討されています。

 このほかETCの普及促進に向けて、クレジットカードを所有していない人でも作れる「ETCパーソナルカード」のデポジット下限引き下げ(現行2万円から、案として3000円に)や、車載器購入助成など、利用のハードルを下げる取り組みも検討されています。

 国交省によると2020年現在、高速道路におけるETCの利用率は92.8%(6月)、最も高い東京湾アクアラインは98.1%(1月)に達しています。しかしETCが普及する一方で現金車の料金収受コストは上昇。2018年時点でETC車が1台36円なのに対し、現金車は6倍の217円になっているといいます。

 国交省と高速道路6社はETC専用化の目的として、料金収受や管理コストの削減をはじめ、料金収受員の人員確保が困難であること、感染症リスクの軽減、戦略的な料金体系の導入が容易になり混雑緩和につながることなどを挙げています。