北海道の広さを甘く見てはいけない――道民による、こんな忠告を聞いたことはないだろうか。

これは主に北海道への旅行者に向けて、「午前は札幌、午後は旭川と知床に行こう!」といった無茶なスケジュールを組まないように...という意図で使われることが多い。これらの地域は同じ北海道といえどかなりの距離があり、1日で観光するのはかなり厳しい。

しかし、よく考えてほしい。旅行の行程を考えて、初めて「思ったより広かった」と感じるのは、実は北海道に限った話ではないのではないだろうか。


和歌山も広い(画像ははらしとと@jonchamaさん提供)

ツイッターユーザーの「はらしとと」(@jonchama)さんが投稿した、こんなツイートが話題になっている。

「『北海道の広さを甘く見られてる』とはよく言われるが、もしかしたら『自分が住んでない都道府県の広さを甘く見られてる』んじゃないかって最近思い始めた」

はらしととさんは、自身が過去に一度訪れたという和歌山を例にしたイラストを投稿。「1泊2日で余裕だよね!」だとして、以下の工程を挙げている。

東京→高野山(和歌山県高野町)→アドベンチャーワールド(パンダ、白浜町)→貴志駅(猫の駅長、紀の川市)→熊野本宮大社(田辺市)→くじらの博物館(太地町)→南高梅発祥の地(紀州梅、みなべ町)→和歌山ラーメン(和歌山市など)

県内を飛び回る行程だが、和歌山程度の面積なら余裕だろう――そんな甘い考えからの「1泊2日で余裕」発言だと思われるが、現実はそんなに甘くない。

ツイッターでは、はらしととさんの投稿が話題となり、

「和歌山はマジで縦に長いぞ...(紀北民)」
「しかも都市部から離れれば離れるほど交通機関が...」
「どこか1ヶ所でつまずくと、たぶん2泊3日ですね」
「和歌山の大部分が、僻地です、旅行の計画はものすごく余裕をもって作成しましょう」

といった声が寄せられている。

1泊2日、全然余裕じゃなかった

Jタウンネットは2020年10月23日、投稿者のはらしととさんを取材した。

はらしととさんは生まれも育ちも広島。和歌山には昨夏に1度行ったきりだという。今回の投稿の理由については、

「北海道の広さはしばしば話題になります。しかし、そもそも都道府県の位置もしばしば間違えられるくらいなので、都道府県の広さなどは北海道に限らず(編注:地元民以外には)分かるものではないのではないかと考え、問題提示してみました」

と話している。

イラストに登場する観光地は、はらしととさんが知っている場所を思いつきで書いたという。

はらしととさんは、イラストに登場する観光地を巡る1泊2日の行程表も投稿している。順番を変えつつ、なんとか上記のスポットは全部回れるようになっているが...。

その行程表がこちらだ。


無駄がない...(画像ははらしとと@jonchamaさん提供)

アドベンチャーワールド:滞在時間2時間8分
高野山:滞在時間2時間13分
熊野本宮大社:訪問時間18時11分〜18時58分(参拝可能時間は8時〜17時)

...所々、無理が生じているのがわかるだろうか。

約80万平方メートルの面積を持つアドベンチャーワールドは、しっかり見て回るには「1日では足りない」と言われるほど。高野山も散策に「5時間」は必要とされており、上記の日程では十分に満喫できないだろう。本宮大社に至っては参拝時間が終了している。

はらしととさん自身、アドベンチャーワールドは「5時間かけて周った」とのこと。ツイッターでも、

「高野山いっただけ」
「アドベンチャーワールド 滞在2時間、熊野本宮夜18時からの40分参拝は楽しめそうではないな」
「熊野本宮大社が40分位というのは短いよね。あとこの時間だと、秋から冬はかなり暗いなあ」

といった指摘が寄せられている。

はらしととさんは、投稿に対する反響について、

「秋田や山陰といった地方はもとより、東京や埼玉など人が多く知名度も高い地域からもそう思われている(編注:広さを甘く見られてる)という反応があり、『やっぱりどこでも同じなんだな』と思いました」

とコメントしている。