ハロウィンでお馴染みのフレーズといえば、「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃイラズラしちゃうぞ」。

仮装した子供に、そう言われたら飴玉の一つでもあげたくなってしまうものである。

だが、もしも「トリックオアトリート」を迫ってきた相手が、筋骨隆々のボディビルダーだったら...。そんなことを考えてしまう貼り紙が、ツイッター上で注目を集めている。

こちらは、東北大学ボディビル部の公式ツイッターが2020年10月20日に投稿したものだ。

撮影場所は東北大学・川内北キャンパスの入り口付近。部室の窓には秋を感じさせる「575」調の貼り紙が目につく。

「鍛えなきゃ
いたずらするぞ
パンプ筋」(学友会 ボディビル部)

日々のたゆまぬ鍛錬が成果につながるとされるボディビルディング。世間がハロウィン色に染まろうと、己は筋肉と向き合い続けていくぞ...、そんな意気込みが伝わってくる。

お菓子より筋肉。部員たちは「パンプキン」よりも「パンプ(アップした)筋(肉)」を求めているようだ。

筋肉に誠実でありながらユーモアあふれる投稿を見たユーザーからは、ツイッターに

「楽しそう笑」
「ギャグのセンス良いですね」
「カボチャ素手で砕きそう」

といった反応が寄せられている。

なぜ、こんな張り紙を掲示しているのだろうか。Jタウンネットは、東北大学ボディビル部に詳しい話を聞いてみた。

「僕らのもとから筋肉が『いたずらに』去ってしまうのです」

10月22日、取材に回答したのは東北大学ボディビル部の公式ツイッターを運営する担当者だ。

「川柳との厳密な区別は定かではないようですが」と前置きしつつ、貼り紙は季節や時事ネタと筋肉をからめた俳句だという。いったい、どんなコンセプトで俳句を貼ったのだろうか。

「『為すべきは筋トレに尽きる』といったところでしょうか。
あくまで『仮の姿』である仮装をしたり、ハロウィンの名においてハイカロリースナックに手を出すのもいいですが、本当の意味での変身は『筋肉の成長』『健全な肉体と魂』によってのみもたらされるものなのです...、ということを言った人は、昨日ラーメンを食べていましたがどうなんでしょう...」(担当者、以下同)

なんてカッコイイ言葉...、と思ったがラーメンを食べることもあるようだ。


注目を集めている貼り紙(画像は東北大学ボディビル部(@tohokubbc306)から)

担当者によれば、こうした「俳句」は毎月更新していて、通りすがる人をクスッとさせるよう意識して制作しているという。

「特定のライターなどはおらず、広報担当の部員数名でアイディアを出し合っています。例えば、1行目と3行目では考える人が異なります。また窓に貼る人、ツイートする人などの分業がなされています」

東北大学ボディビル部が制作する「俳句」は、過去にもツイッター上で話題を呼んだことがある。たとえば、新型コロナウイルスの影響で東北地方を中心に行われる季節行事「芋煮会」が、各地で中止になった時は、「芋煮してえ」と嘆いた。

担当者が先輩部員を通じて話を聞くと、部室前の「俳句」は2015年頃から続けているものだという。現在確認できる最も古いツイートは、2016年の投稿だそうだ。

こうした貼り紙は「部活の認知度アップ」のためでもあり「最近はシンプルに面白いから続けているといった感じです」とも担当者は述べる。

「ついでに新入生も入ってくれたらいいなーみたいなものです」

筋肉と向き合い続けるボディビルダー。部員たちは、ハロウィン期間も鍛えるのだろうか。

「もちろんです。筋トレを継続的に行わなければ、僕らのもとから筋肉が『いたずらに』去ってしまうのです」

ボディビル大会で、彼らは満面の笑みでポーズを決めるのだろう。