皆さんは、「お持たせ」という言葉を使ったことはあるだろうか。


これは「お持たせ」?(画像はイメージ)

デジタル大辞泉(小学館)によれば、「お持たせ」とは「御持たせ物」の略。

「来客を敬って、持ってきた土産物をいう語。多く、その客へのもてなしにその品をすすめるときに使う」

と書かれている。つまり、手土産を貰った側が使う言葉ということだ。

しかし、ツイッターで「お持たせ」を検索してみると、こんな投稿がかなりの数見つかる。

「早くお持たせのお菓子買いに行かなきゃ」
「そしてお持たせ用の手土産を購入」

どうやら、自分が持っていく土産物のことも、「お持たせ」と表現される場合があるらしい。

この用法はかなり一般的なようで、「今月のおもたせ」というコーナーをもつ女性誌もあるほどだ。

「お持たせ用」の商品も販売されている

店舗側でも、「ちょっとしたお持たせや、お手土産にもどうぞ!」というように、「お持たせ」用の商品を販売する例もある。

例えば、リーガロイヤルホテル京都では2020年のクリスマスケーキを「えらべる『おもたせChristmas』」という名称で販売している。


「えらべる『おもたせChristmas』」(画像はプレスリリースより)

Jタウンネットが同館の総支配人室を取材したところ、このケーキはかなりのボリュームがあり、4人家族でも多いと感じるほどの量があるそう。販売促進の担当者によると、

「パーティーに持っていって皆さんでお召し上がりいただくというイメージで作らせていただいております」

とのことで、単なる手土産というだけではなく、「みんなでシェアして欲しい」という気持ちを込めて「おもたせ」という言葉を使っているそうだ。

実は、先述のデジタル大辞泉の「おもたせ」の項にも補説として、

「近ごろでは、客が持ってきた土産物を受けた側からいうのではなく、『このお菓子がお持たせに最適です』のように、客が持って行く手土産の意で使うことが増えている」

と記載されていた。

Jタウンネット編集部が20年10月9日、小学館の大辞泉編集部に問い合わせたところ、補説が加筆されたのは07年のこと。理由は、

「当時、監修の先生のご提案により」

とのことだった。10年以上前にはすでに、目にすることが少なくない用法だったのだろう。

とはいえ、ごく少数ではあるが、土産物自体を「お持たせ」と呼ぶことに違和感を覚える人もツイッターで発見できた。

実際のところ、この用法はどれくらい広まっているのだろうか。