ラミレス監督

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 プロ野球界の秋は、監督人事で揺れる時期でもある。

 10月5日、横浜DeNAベイスターズからリリースがあった。2年連続で開幕投手も務めた今永昇太投手が左肩のクリーニング手術を行ったという。投球練習が再開できるまでに回復するには2、3か月を要する。つまり、「今季中の復帰」はない。

 「ラミレス監督の采配も『来季』を意識したようなものが続いていました。アクシデントで途中交代させた梶谷に大事を取らせ(3日)、故障明けのオースティンをスタメンで出場させ、改めて適性を見極めていました。完投勝利が目前だった大貫を『怪我をさせたくない』と言って交代させたり…」(スポーツ紙記者)

 今永の手術も来季に向けてのものだろう。「ラミレス監督が2021年の準備を始めた」とも解釈できるが、一部メディアが三浦大輔二軍監督の昇格を伝えた。ラミレス監督の契約任期は「今季まで」。原巨人の独走を許してしまった責任は大きい。経営陣が決断したとしても、決しておかしな話ではない。しかし、ラミレス監督にも「次の話」があるようなのだ。

 「ラミレス監督の采配を評価する声は他球団からも聞こえています。今季の敗因もマイナスには捉えられていません。故障者が多かったのは仕方ないとしても、クローザーの山崎の不振がなければ、巨人と互角以上に戦えたはず」(球界関係者)

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 そもそも、ラミレス監督に「指揮官」の打診をしたのは、DeNAが初めてではない。オリックスが最初なのだ。2015年のちょうど今頃だった。

 オリックスは当時、巡回アドバイザーだったラミレス監督について、「契約は更新しない」と発表した。どういうことかというと、球団はひと足先に福良淳一監督代行の昇格を決めていた。ラミレス監督に「コーチをやって、それから」と“将来の指揮官就任”の含みを持って入閣を打診。しかし、断られたのだ。

 「とにかく、監督に強いこだわりがあり、コーチではダメなんだと。オリックスのフロントは『縁がなかった』と悔やんでいました」(当時を知る関係者)

 そのオリックスだが、中嶋聡代行の昇格を決めていない(同時点)。また、下位に沈む日本ハムも栗山英樹監督との契約が「今季まで」となっており、次の有力候補である稲葉篤紀氏も東京五輪の延期で侍ジャパンから離れられなくなってしまった。

 「小笠原道大ヘッドコーチの昇格案と、外部招聘案の両方で議論されています。阪神の矢野燿大監督もどうなるか分かりません」(前出・スポーツ紙記者)

 一部では、巨人が阿部政権を見据え、「参謀役として迎えるのではないか」と報じていたが…。

 7月22日のヤクルト戦だった。クローザーの山崎康晃が同点で迎えた9回のマウンドに送られた。一死満塁となった時、ラミレス監督は投手コーチではなく、自らマウンドに向かった。監督自らが不振の投手を鼓舞する。ここまでは、ありがちな光景だ。だが、ラミレス監督は違った。

 「対策はできているのか?」

 と、次打者への配球を山崎に質問した。山崎がちょっと考えてから答えた。ラミレス監督は、「だったら、大丈夫だよ」と頷き、ベンチに帰って行った。選手を冷静にさせるそんな接し方も評価されているそうだ。

 近年、監督、コーチが翌年、違う球団のユニフォームを着ているという“横滑り”も続いている。ラミレス監督の動向にも注目だ。(スポーツライター・飯山満)