子どもとスマホに関する疑問や不安を抱く親は少なくありません。ESSE読者の座談会を実施したところ「何歳からもたせるべき?」「ゲーム依存にならないか心配」などの声が上がりました。

そこで子どもの発達に詳しい医師の榊原洋一先生と、ITジャーナリストの高橋暁子さんに、子どもにスマホをもたせるときのアドバイスを聞きました。


子どものスマホルール。いつからもたせる? 約束事は?(写真はイメージです)

子どものスマホルール。いつからもたせる?約束事は?



●スマホはいつからもたせるのが正解?

<榊原洋一先生のアドバイス>「うちはうち」と自信をもって親が決めるもの!
子どもが何歳になったらもたせるべきといった明確な答えはありません。子どもにスマホをもたせる理由は、安否確認のためだったり、子どものコミュニケーションのために必要だと考えたり、それぞれです。
大切なのは、各家庭ごとに親が自信をもってルールを決めること。「周りがみんなもってるから」と言われても、まだ早いと考えるなら「うちはうち、よそはよそ」でいいと思います。


<高橋暁子さんのアドバイス>親の目の届くうちにもたせ、使い方を学ばせるのも手
数年前までは高校に入ってからスマホをもつ子が多かったのですが、ここ最近、中学入学を機会にスマホデビューする子が増えてきました。とくに、都市部では親の共働き率が高いこともあり、早くからもつ傾向があります。
必要になるギリギリまでもたせないという考えもありますが、中学入学前後の時期なら、まだ、子どものスマホの使い方に親の目が行き届く時期。「スマホの内容はいつでも親に見せること」といったルールのもとにもたせ、一緒に使い方を学んで、少しずつ本人にまかせるのもよいと思います。

●子どもがスマホを使うメリットとは?

<榊原洋一先生のアドバイス>優良なコンテンツがたくさん! 社会を生き抜く力になる可能性も
スマホやタブレットなどで見られるデジタル絵本には、優良なコンテンツが多数。テレビとは違い、一方的に画像が流されるのではなく、双方向のやりとりが可能なのがメリット。
新しいツールなので、子どもの発達に及ぼす影響はまだ十分な研究はありませんが、わからないからとすべてを遮断するのはやめましょう。新しい時代には、デジタルメディアを使いこなす力も必要になるはず。親子一緒にどう使うのかを学ぶのも、大切だと思います。


<高橋暁子さんのアドバイス>言葉や映像で表現する力をつける機会に
幼い頃からパソコンやスマホが身近にあり、簡単に発信できる環境にある今の子どもたちは、自己アピールする能力が高まっている印象があります。
写真や動画、短い言葉で伝えたいことを効率よく表現する能力は、将来会社でプレゼンをしたり、自分の思いを多くの人に伝えたりする能力にもつながっていきます。
ただし、とくにSNSは危険と隣り合わせでもあるので、野放しにするのではなく、大人が見守りながら使い方を学んでいくとよいでしょう。

●これだけは親子で約束!

SNSトラブル回避の基本

・LINEやチャットでは、必要なやりとりだけにして人の悪口や、きつい言い方をしない
・自分や家族、友達の個人情報は書かない、言わない
・直接の知り合い以外とはつながらない

●教えてくれた人
【榊原洋一先生】


医学博士・小児科医。お茶の水大学名誉教授、日本子ども学会理事長、チャイルドリサーチネット所長。小児科学、発達神経学、国際医療協力、育児学などを長年研究。発達障害研究の第一人者。著書も多数。

【高橋暁子さん】

ITジャーナリスト。元小学校教員。Webの編集者などを経て独立。SNSやスマホの安心安全利用などをテーマとし、メディアなどに多く出演するほか、学校などを回って講演することも多い。1児の母。

<イラスト/深川優 取材・文/ESSE編集部>