MITテクノロジーレビュー(MIT Technology Review)のCEO、エリザベス・ブラムソン・ボードロー氏によれば、同社の収益の3分の1はイベント収益となっているという。

コロナウイルスのパンデミックによる米国での活動制限が、同社にとっても大きな打撃となっていることに疑いの余地はない。

同氏は「当社でもっとも集客力の高い最大のイベント、エムテック・デジタル(EmTech Digital)についての判断は完全にAIにゆだねた」と語る。

「どうすべきか。延期か、それともバーチャルイベントへ変更するか?」という判断が求められた。イベントの予定されていた3月25日の2週間ほど前に、後者の選択をとることが決まった。同社は3日間、合計20時間にわたってイベントの配信を行った。その結果「イベントのスポンサー収益の50%分を浮かせられた」とブラムソン・ボードロー氏は語る。同社は「残る50%をデジタル商品につぎ込んだ」という。オンラインになったことによるオーディエンスの減少も、予想ほどではなかった。

ある程度の成功を収められた原因は、イベントを双方向性にするため迅速に取り組んだ成果だ。「当社が提供する価値は双方向性にある。同じように双方向性を実現するプラットフォームが必要だった。プログラミングチームは、コミュニティに寄り添いながらデジタルに双方向性を実現するため懸命に取り組んでくれた」と同氏は振り返る。

今回米DIGIDAYはブラムソン・ボードロー氏にMIT傘下であることのメリットやイベントのライブ配信の改善点、不況のなかでの支出の重要性などについて伺った。

以下に、同氏へのインタビューの一部をお伝えしよう。なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。

いまの消費者はかつてないほど寛容

「現在、オーディエンスはかつてないほど寛容だ。デジタルで生じる問題や技術的なバグ、そもそもデジタルフォーマットに合わないコンテンツについても大目に見てもらえる。それは、私たち誰もがこの問題に立ち向かっているという共通理解があるからだ。いまの状況は誰かが意図して作り出したものではない。だからこそ、この状況を活かして実験的な試みを行うべきであり、当社は実際それによって得るものが大きかった」。

資金があるなら、いまこそ使うべきだ

「ここ3年で当社は抜本的な改革を行った。いまは攻勢に出るべきであり、痛みを伴う人員削減は不要と考えている。不況というのは成長のための投資を行う絶好のチャンスであり、金があるならばより力をつけるために使うべきだ。有名なのはニューヨーク・タイムズ(The New York Times)が2009年に行った投資だろう。私や当社の目標と取り組みは、現状を活用することにほかならない」。

ネットワーキングの要素をバーチャルで再現

「MITテクノロジーレビューのイベントの魅力は、MITに人を集める力があり、ユニークかつ考え抜かれたイベントに技術の専門家らが集う点にある。イベントではどのような技術であれ、世界でトップの人々と話すチャンスがある。もしそうでなくても、同じ分野に興味がある人間とつながりを持てるのだ。ではリアルのイベントが開催できないときに、こうした双方向性の体験をどうやったら維持できるだろうか? YouTubeでもAIについての意見は聞ける。だが、当社が提供する価値は双方向性にある。同じように双方向性を実現するプラットフォームが必要だった。当社のプログラミングチームは、コミュニティに寄り添いながらデジタルに双方向性を実現するため懸命に取り組んでくれたのだ」。

PIERRE BIENAIMÉ(原文 / 訳:SI Japan)