第二次世界大戦中の日本では、1945年8月6日と1945年8月9日にそれぞれ広島市と長崎市に原子爆弾が投下され、市民を中心に甚大な被害をもたらしました。そんな核兵器が「近代の街並みを襲ったら一体どうなるのか?」を、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがアニメーションで解説しています。

What if We Nuke a City? - YouTube

仕事や試験勉強に精を出す人々が暮らす普通の街があります。



そこに1発の核爆弾が投下されると……というのが今回のシミュレーションの舞台です。



◆第1段階

第1段階は1秒以内の出来事です。爆発から数千分の1秒で、太陽よりも熱いプラズマの球が現れ、直径2キロメートル以上の火の玉に成長します。



火の玉の中の物は、まるで熱したフライパンに垂らした水が「ジュッ」と音を立てて消えるようにして、一瞬で蒸発します。人も、木も、建物も、石でできた彫像も例外ではありません。



火球が発する光は強烈なので、もし運悪くその方向を向いていた人は少なくとも数時間は目が見えなくなってしまいます。



さらに光は熱放射を伴い、爆心地から半径13km、約500平方メートルの範囲は焼き尽くされます。



特に、プラスチック・木・布・人の皮膚や髪など燃えやすい物はほぼ全てが燃えてしまうとのこと。



火災のように熱い炎や熱風が押し寄せてくるのではなく、熱そのものが襲ってくるため、爆発が発生した次の瞬間には全てが燃え上がります。



◆第2段階

第2段階は数秒間の内に起こります。人々はこの頃になってやっと何かが起きたことに気づきますが、すでに手遅れです。



熱を伴った光の後に人々を襲うのは衝撃波です。火球は加熱により圧縮された空気の泡を発生させ、爆発的に膨張させます。



これにより、音速よりも速く、ハリケーンや竜巻より強力な突風が起きます。



爆心地から半径1km以内にあるほとんどの建物は粉々になり、鉄筋コンクリートでできた建物の基部のみが残ります。



木々はつまようじのようにへし折られ、外にいた人々はほこりのように吹き散らされることになります。



衝撃波は爆心地から離れるほど弱くなりますが、それでも175平方キロメートルの範囲内にある建物は、まるでトランプで作ったタワーのように倒壊してしまいます。



街中にあるガソリンスタンドが爆発炎上することで、火災をさらに悪化させます。



爆発で発生したキノコ雲は上空まで伸びて、崩壊した街に暗い影を落とします。



その後、衝撃波により吹き散らされた空気が爆心地に再度流れ込むと、新鮮な酸素が供給され火災はさらに激化します。



爆心地から遠く離れた場所に住んでいても、キノコ雲を写真に収めようと窓際に飛びついた人は、鋭いガラス片となった窓ガラスを全身に浴びることになります。



◆第3段階

第3段階は爆発から数日以内の出来事です。通常、自然災害が発生すると、数時間から数日内には救助隊が駆けつけますが、核爆発は例外です。重度のやけど、裂傷、骨折などを負った何十万人もの重傷者が手当を受けることができず、数分間から数時間以内に死亡します。



倒壊した建物に閉じ込められた生存者や、光で目が見えなくなってしまった生存者は、何が起きたのかも分からず恐怖と混乱の中で、パニックに陥ります。



幸いにも地下鉄などを利用していた人などは、やけどや外傷から守られる可能性がありますが、それでもまだ恐ろしい災いが待っています。



それは、放射性の灰じんなどを含んだ黒い雨です。



黒い雨などの放射性降下物(フォールアウト)は非常に高い線量の放射線を帯びており、特に高い放射線を浴びた人々は数日以内に急性放射線障害で死亡します。



道路などのインフラは遮断され、救助を妨げます。



線路も寸断されて電車は動かず、輸送網は機能しません。電気や水道、通信設備も完全に破壊されます。



近隣の都市から派遣されたヘリコプターも、放射線のリスクなどから活動ができない可能性があります。そうなると、生存者は、水も食料もないまま、がれきの中を歩いて脱出しなければならないことになります。



近隣の都市の病院は、重傷を負った数万人から数十万の人々であふれかえります。



こうして生き残った人々も、その多くが数週間から数年以内に、白血病やがんで命を落としてしまいます。



◆まとめ

核爆発の爆心地から半径1km以内の人々はほぼ確実に即死。半径7km以内の人々も高確率で死に至ります。



半径13km以内にいた人々もIII度熱傷を負い、半径21km以内の人々も受傷します。



核爆発の被害はハリケーン・大規模火災・地震・原子力事故が一度に押し寄せるより甚大なものになります。このような災害に対応できるような国家は存在しません。



多くの専門家が「近年に入り、各国の指導者が公然と核兵器でお互いを脅迫するようになった」と指摘しています。



破滅的な核戦争は、ごく一握りの人々のささいな過ちから起こりえます。



「これを防ぐ手だては、核廃絶を置いて他にない」と、Kurzgesagtは主張しています。