究極のハンドヘルドマシン「Cosmo Communicator」 開けばキーボードスマホ、閉じればケータイの実力を徹底解説

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●PDAの直系進化系 ハンドヘルドスマートフォン登場!
リンクスインターナショナルは8月22日、英国大使館にて記者発表会を開催し、英国Planet Computers製のQWERTYキーボード搭載スマートフォン「Cosmo Communicator」の国内販売を発表しました。
発売は9月末頃を予定しており、想定販売価格は10万円前後となる予定です。

本機のスタイルを見て、懐かしさを覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

手のひらサイズのQWERTYキーボード付きハンドヘルドマシンと言えば、1980〜1990年代にPDA業界で一斉を風靡した「PSION」(サイオン)シリーズに代表される伝統的スタイルです。

本機はまさに、PSIONやその当時のOS「Symbian OS」(さらに前身のEPOC OS含む)を開発したデイビッド・ポッター氏や、クラムシェル(折りたたみ)型PDAの開発者であるマーティン・リディフォード氏が開発に携わった、
ハンドヘルドPDAの「直系」とも言えるハンドヘルドスマートフォンなのです。


PDAやスマートフォンの黎明期に名機を次々と開発した名クリエイターが集結して作り上げた



●開けばキーボードスマートフォン、閉じれば携帯電話というスタイル
本機の最大の特徴は、
・本体を開くとモバイルノートパソコンのように使える
・本体を閉じると携帯電話として利用できる
2wayのスタイルです。

本機には前身のモデルとなる「Gemini PDA」という機種がありましたが、
こちらは背面(天板面)に携帯電話の機能がありませんでした。

メインディスプレイには、
アスペクト比18:9の5.99インチ・FHD+(2160×1080ドット)のTFT液晶を搭載。

そのディスプレイサイズに合わせられたキーボードは、
・本体を両手で持って使う
・テーブルに置いてタッチタイプ
このどちらの使い方でも使いやすい絶妙なサイズ感です。

なおリンクスインターナショナルが販売するモデルは日本語キーボードのみとのことで、英語配列を希望している人には若干残念かもしれません。


筐体サイズギリギリまで敷き詰められたキーボードのガジェット感が素晴らしい



キーストロークは2mmを確保。キーピッチは14mmと狭いが確実な打鍵感があり打ちやすい



OSには標準でAndroid OSが選択されているほか、
・Sailfish
・Debian
・Kali
これらのOSも必要に応じてインストールできるマルチオペレーティングシステムが採用されています。


開発環境向けマシンとしても、実用度の高い拡張性を備えている


キーボードでは、
パソコン向けキーボードでWindowsキーやコマンドキーがある位置に、アプリキーが備えられています。
このキーを押すと、ディスプレイ下部にアプリバーが表示される仕様になっています。

アプリバーには任意のアプリを登録でき、素早く呼び出せるアプリランチャーとして利用できます。

また本モデルにはビジネスシーンでも活用できる専用アプリとして
・AGENDA(スケジューラー)
・NOTES(テキストエディター)
・AIRMAIL(メーラー)
・DATA(データベース作成)
これらがプリインストールされています。


アプリバーは大いに活用したい機能の1つ


本体背面には、
・2400万画素カメラ
・指紋センサー
・1.91インチ タッチディスプレイ
を備えています。

背面ディスプレイは、
通話着信の表示のほかに、連絡帳の連絡先を呼び出して表示させ、発信することも可能です。
また、自撮り撮影時のディスプレイとしても使え、撮影した画像確認もできます。

両サイドにLEDが内蔵されている指紋センサー部は、指紋での本人認証のほか、通話や終話、音楽再生時の音量調整なども行なえます。
背面のスリットはスマートスピーカーとなっており、耳を近づけると耳を検知してマイクとスピーカー機能を切り替えるようになっています。


閉じたままでも様々な機能が使える



●充実した通信環境と拡張性能
通信機能では、DSDV(デュアルSIM/デュアルVoLTE)に対応したnanoSIMカードスロットを搭載しているほか、eSIMにも対応しています。
またmicroSDカードスロットも備えており、必要に応じてストレージ容量も拡張できます。

ただしAndroid OSの制限上、2つのSIM環境までしか対応していないことや、nanoSIMカードスロット1基とmicroSDカードスロットが排他利用となることから、
・nanoSIM+nanoSIM(eSIMとmicroSDは利用不可)
・nanoSIM+microSD+eSIM(nanoSIM 1基が利用不可)
こういった組み合わせでの利用となるため、あらかじめ理解したうえでの利用が必要です。

日本国内でのeSIM利用については現在確認中とのことですが、Gemini PDAではユーザーによって仮想移動体通信事業者(MVNO)サービスの「IIJmio」での利用が確認されているため、本機でも同様に利用できる可能性があるとのことです。

利用できるLTE通信の電波周波数帯も日本向けにカスタマイズされており、
・1、2、3、4、5、7、8、11、18、19、26、28、41、71
これらのバンドに対応しています。


DSDVとmicroSDを同時に利用したい場合はeSIMの活用が必須となる


拡張面では、
NFCを搭載するほか、外部拡張端子としてUSB Type-Cポートを2基搭載。
そのうち1基はMedia Tekの急速充電規格「Pump Express」に対応しています。

そのほかの基本性能は以下のとおりです。
・SoC:Media Tek製「Helio P70」
・メモリー(RAM):6GB
・内蔵ストレージ(ROM):128GB
・アウトカメラ:2400万画素
・インカメラ:500万画素
・イヤホン:3.5mm × 1基
・バッテリー:4,220mAh
・サイズ:171mm(幅)×79.3mm(奥行き)×17.3mm(厚さ)
・質量:326g


キーボードバックライトも搭載する



●「ポケットの中のオフィス」 いつでもどこでもビジネス環境を持ち歩ける
Cosmo Communicatorの魅力は、ビジネスワークでも使える多様性と、その名の通りコミュニケーターとしてのコンパクトさです。

物理キーボードを備えたスマートフォンと言うと、BlackBerryシリーズなどがあります。
しかし、ストレートタイプであるためにビジネスなどの資料を扱うには画面が小さく、単時間の文字入力は可能ですが、長時間の文字入力などにも不向きでした。

Cosmo Communicatorであれば、テーブルなどに置いて長文や長時間の文字入力もストレスなく行え、デスクでのワークスタイル同様に資料確認やデータ編集も容易です。
また、上着のポケットに入れてどこにでも持ち歩け、移動中に通話やメッセージの送受信も携帯電話のように扱えます。

本体のデザインとスタイルから、一般的なスマートフォンの縦画面用アプリなどは利用しづらいというデメリットはありますが、
・ビジネスでのメールチェックやスケジュール管理
・資料の閲覧や編集、デスク作業
・超小型の開発者向けモバイルマシン
このような使い方に適しています。
ノートPCよりもフットワークを軽快に、スマートフォンよりもビジネスライクなモバイルライフを満喫したい方には、オススメできる逸品でしょう。


執筆 秋吉 健