経済産業省は6月26日に「2019年版不公正貿易報告書」を公表した=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】日本政府は先月1日、半導体などの材料3品目の韓国向け輸出規制強化を発表したが、その5日前に「安全保障を理由とする輸出規制は貿易・投資の自由化を阻害しかねない」とする内容の報告書を公表していたことが16日、分かった。対韓輸出規制措置の理由に安全保障を挙げた日本政府の自己矛盾を示したもので、注目される。

 日本の経済産業省は、大阪での主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)開幕を2日後に控えた6月26日に「2019年版不公正貿易報告書」を公表し、安全保障を理由とする輸出制限例外を容易に認めれば、自由貿易秩序が形骸化すると批判した。

 特に、米国の通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウムへの関税賦課など、安全保障を理由とした貿易制限措置が乱用されれば、世界貿易機関(WTO)を中心とする多国間貿易体制が空洞化しかねないとした。

 同報告書が公表された3日後、安倍晋三首相はG20サミットで自由貿易と開かれた市場の重要性を強調。その2日後の7月1日、日本政府は対韓輸出規制を発表した。このとき、日本はあいまいな根拠を挙げた末、安全保障上の輸出規制はWTO協定で例外と認められているという論理を展開した。

 国際通商法に詳しい宋基昊(ソン・ギホ)弁護士はこれについて、日本政府は韓国に輸出規制を加えたことに対し、安全保障に基づく貿易管理という体裁を維持してきたとし、「報告書は日本政府自ら限界と矛盾を露呈したものだ」と述べた。日本の措置が貿易に関する主流とどれほどかけ離れており、論理的基盤も不十分であるかを如実に示しているとの指摘だ。

 関税貿易一般協定(GATT)第11条1項は、加盟国が輸出許可などによって輸出を禁止したり、制限したりすることを禁じている。

 報告書は「数量制限」の章で輸出規制の影響について、企業の予見可能性を害し、貿易・投資の自由化の妨げともなりかねないと指摘。輸出数量制限が長引けば、産業の発展や経済的利益を損なう可能性があるとした。

 宋氏は「報告書はWTO協定に違反した不公正貿易が何なのかに関する日本の考えを示している。日本が考える貿易秩序が何なのかに照らしても、(韓国に対する)輸出規制はつじつまが合わない」と重ねて指摘した。

 また、韓国はWTOと国際社会を相手に、日本に対する論理上の優位を守っていくことが重要だとし、「日本に隙やミスを見せないようにすべきだ」と話した。