持続性どう確保するか…全国実証で「MaaS」事業化へ正念場
「独立採算を交通に求めることが根本的な間違い。何でもビジネスとして採算性を求めると日本の多くの地域が住めなくなる」と、スマートモビリティチャレンジ推進協議会企画運営委員会の石田東生委員長(筑波大学名誉教授)は断言する。免許や運賃、都市交通計画など、交通は官民一体で開発されてきた分野だ。自動運転を皮切りに新しい交通サービスがMaaSとして提案され、自治体が交通事業者に支払ってきた補助金を軽減する可能性が出てきた。スマモビチャレンジでは参加自治体の多くが地域交通を持続可能にすることを目指している。
福井県永平寺町の河合永充町長は「移動の最適化でなく、地域課題の最適解が必要だ」と指摘する。永平寺町は1940年代に鉄道を中心に発展し、駅を中心に人口集中が起きた。自動車の普及で90年代に中心部から郊外へと人口が拡散した。社会インフラが拡散的に整備されたため、河合町長は「コンパクトシティーは難しい」と説明する。2018年度予算では地域鉄道の負担金が4000万円、路線バスは900万円、コミュニティーバスは4620万円と一般会計の1%超をあてて支えている。
スマモビチャレンジでは自家用車を使った貨客混載の事業モデルを開発する。ドアからドアまで、需要に応じて車両を運行するために予約運行管理システムを構築する。運転免許のいらない時速6キロメートルで走るモビリティーや福井大学医学部付属病院と連携した遠隔診療も検討する。河合町長は「課題はどう収益をあげて持続可能な事業にするか。地域のJAやスーパー、県外企業も含めて議論していく」と力を込める。
大津市は自動運転車やバス、比叡山延暦寺へのケーブルカーなどをつなぐMaaSのアプリケーション(応用ソフト)を開発する。一括で複数の交通手段を予約し、決済もできるようにする。電子決済は観光振興の目玉だ。
