私たちの脳内では様々なホルモンが分泌されています。そして、心身の健康を保つために働いています。6月21日の『多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N』では、いわゆる「脳内ホルモン」「脳内物質」と言われているものを取り上げました。具体的にどんな物質が、どういう働きをしているのでしょうか。代表的なドーパミン、アドレナリンについて、自然科学研究機構生理学研究所教授の柿木隆介さんに尋ねました。

幸せホルモン

脳内ホルモンは、あまり役に立ってないようなものも含めて、今、100種類以上あると考えられています。

多田「よく聞くものではどんなものがありますか?」

柿木先生「一番有名なのはドーパミンです。最近は『幸せホルモン』とか言われています。
僕たちが幸せな気持ちになる、例えばギャンブルで儲かった、好きな人といい感じになる、そんな時に出ます。一種の快楽ホルモンです」

多田「これが出ると幸せを感じるのか、それとも幸せを感じる時に働くんですか?」

柿木先生「どちらかというと、幸せを感じる時に出て、それを倍増する感じです」
 

ドーパミンを出すには

多田「ドーパミンを意識して出すことはできますか?」

柿木先生「難しいですが、日々『自分はよくやった』とか頑張ったとか、そういう風に自分を褒めるといいです。そういう時に出ます。

男性の場合は割と自然にでます。酒を飲んだり、結構快楽が多いですが、まじめ女子は意識してないとなかなか出てこないです」

多田「いろんなことを肯定的にとらえて、前向きに進んでいこうという気持ちがあれば、知らず知らずのうちにドーパミンを分泌させているということですね」

柿木先生「一番わかりやすいのは、疲れて風呂に入って、ビールを飲んでほろ酔い加減の時、ドーパミンが出ています。心も身体も疲れが取れる感じがします。
その時、脳の中にアルファ波というリラックスした時に出る脳波も出ています」
 

アドレナリン

多田「他にはどんなホルモンがありますか?」

柿木先生「アドレナリンもよく使いますね」

多田「何か活発にやる時、『よっしゃー、アドレナリン分泌させて』みたいに言いますね。どんな作用をほどこしてくれるホルモンですか?」

柿木先生「アドレナリンは心も身体もピークに持っていくホルモンです。原始時代から、天敵が来ると、アドレナリンがバーッとでます。

よく『闘争か逃走か』と言いますが、一瞬でそれを決めて、どちらにしても必死にならないと死んでしまう。その時にアドレナリンが出ます。
もうひとつ、ノルアドレナリンという似たような物質、この二つがいっぱい出ます」
 

『火事場の馬鹿力』

多田「アドレナリンが分泌されると、身体でどんなことが起きますか?」

柿木先生「交感神経が猛烈に活動して、体中に酸素とブドウ糖を出します。
全ての細胞がそうですが、ヒトは酸素とブドウ糖で生きています。これらは血液でしか送れないので、血流をよくしないといけない。
脈拍が増え、一回の血圧が上がる。そうすると手も震えるし、呼吸も増えるし、という極限状態になります。いわゆる『火事場の馬鹿力』、これがアドレナリンです」

多田「意識してアドレナリンをたくさん出すことはできますか?」

柿木先生「これは難しいです。自律神経ですから、自分ではどうにもならない。『これは頑張らないといけない』と身体がなっていく」

多田「本能的なものですね」

柿木先生「それが出ない人は平和だけど、ぱっとしない感じになります。
アドレナリンは高峰譲吉さんという日本人が発見しました。ジアスターゼ(デンプン分解酵素)も発見して、ノーベル賞の候補にもなりました」

多田は柿木先生に「脳内物質については、まだお聞きしたいことがたくさんあるので、またお話をお願いします」と、続編を打診しました。

毎日自分を褒めて、ドーパミンを出して、幸せ気分でいきたいですね。
(みず)
 

多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N
2019年06月21日08時16分〜抜粋(Radikoタイムフリー)